事例で検討
5年間の海外勤務を終え、本年9月に帰国しました。本年の医療費は、海外勤務中のものが70万円、帰国後のものが30万円です。
この場合、医療費控除の対象になる金額はいくらになるのでしょうか?
アドバイス
帰国後に支払った30万円だけが、医療費控除の対象になります。
海外勤務中の医療費は、
医療費控除の対象にはならないのですか?
医療費控除の適用が受けられる人は、居住者に限られています。
また、1年のうちに居住者期間と非居住者期間がある人の場合は、居住者期間内に支払った医療費だけが医療費控除の対象になります。
ですから、ご質問の場合、海外勤務中は非居住者になり、帰国後は居住者になりますので、帰国後の医療費30万円だけが、医療費控除の対象になることになります。
事例で検討
夫はサラリーマンで、これまでは家賃収入があるので毎年確定申告していました。ところが、一昨年12月に海外赴任になり、今年も確定申告をしようと思ったら源泉徴収票がないと言われました。
医療費が10万円を超えたので医療費控除を受けたいのですが、源泉徴収票がないと確定申告はできないのでしょうか?
旦那さんの海外勤務が1年以上にわたることが決まっている場合には、旦那さんは非居住者になります。非居住者の場合、国内における所得(旦那さんの場合には不動産所得)だけを申告することになります。
源泉徴収票がないのは、旦那さんが海外赴任された後、給料から所得税が控除されていないからです。つまり給与所得に課税されていないということなのです。
よって、所得控除は、基礎控除のみで配偶者控除も控除できず、社会保険料控除も生命保険料控除も医療費控除もできないということになります。