不動産で相続税対策!
アパート・マンション経営・建物修繕で節税!
今回は、アパートやマンション経営の相続税対策についてのお話です。
更地にしている土地にマンションやアパートを建てて土地の評価額を下げることによって、相続税を大幅に下げることが可能です。また、小規模宅地の特例である貸付事業用宅地を適用すれば、合わせて評価額を下げることもできます。
マンションやアパートを建設し収益を生み出すものにするために貸し出す、といった相続対策を行っている人は少なくありません。
ここで、法人をどのように動かしていくのかというと・・・
まず法人を設立して、役員や社員に自分や家族を入れます。そして、法人がアパートやマンションを所有しているという形式にするのです。このようにすると、収益として得られる家賃収入を自分だけでなく、家族にも分散させることができるようになります。
結果的に個人で所有する財産を法人に移転させることができるので、個人の相続財産を減らすことが可能となるのです。
また法人化することによって、相続の対象がアパートの不動産ではなく事業に代わりますので、不動産をそのまま相続するというよりも円滑に相続を進めることができます。
さらに、生前贈与としての側面もあります。つまり、年間110万円の贈与税の非課税枠を超えて役員や社員に給与として支払うことができるのです。
また経費として認められる範囲も大幅に認められます。なので、個人が支払う所得税も考慮しながら役員報酬を決めれば、トータルの税金を抑えることも可能です。
法人化することのデメリットは?
まず法人化する際に法人設立に伴う諸経費がかかります。また事業が好調で黒字の場合には、法人税が大幅にかかることも考えられます。
さらに1年間の収支を法人として税務署に提出する際の申告においては、個人の税務申告よりもかなり複雑になるケースが多いです。そうすると、税理士に依頼しなければならず、その際には税理士への報酬が発生することになります。
ということで、法人化する際にはこうしたデメリットもあるのだということを頭に置きながら視野に入れてみることをおすすめします。
建物を修繕しても相続税対策になる!
続いて、もし建物を修繕するのであれば、生前中に行った方が相続税対策になるというお話です。つまり、建物の修繕をするのなら生前中にした方がお得ということです。
それでは事例を使って説明していきます。
例えば老朽化したアパート(築30年)を持っている人がいたとします。この建物の評価額は1,000万円です。このアパートは老朽化してきたので建て替える必要があるということで建替案、取り壊して新しくマンションにしましょうということになりました。
この建築費は1億円で銀行からの借入れで建てていこうと検討中です。このケースで2つのパターンを考えます。
1つは、お父さんが亡くなった後、相続した後に子供の世代で建て替える案です。要するに、お父さんが亡くなってから子供がゆっくりやろうかなということですね。
もう1つは、お父さんが元気なうちに、親の世代で建て替えをする案です。この2つの案ではどちらがお得なのかを考えてみたいと思います。
子の世代と親の世代どちらで建て替えた方が有利なの?
まず相続をした後に子の世代で建て替えをしようかと考えた時、お父さんが亡くなってしまった時にどれくらい相続税がかかるのかを考えます。
お父さんの所有財産、相続税の評価額は旧アパートの建物1,000万円です。その他に財産が5億円あったとします。これを合計すると5億1千万円です。相続税額はすべて合計すると1億9,500万円かかりました。
一方、親の世代で建て替えた場合、お父さんが元気なうちに建替えた場合はどうなるのかというと・・・
まず父の所有財産というのは、新しいマンション建物4,200万円です。これは何かというと、1億円で購入した物件、固定資産税の評価額はおおよそ7割から6割になります。ここでは6割で計算しています。
そうすると、建物評価額は4,200万円になります。つまり、固定資産税の評価額が6千万円(1億円×60%)、また人に貸している場合には30%の割引を受けられますので6千万円×70%=4,200万円ということです。
すると、新しいマンションは4,200万円の評価額、その他の財産は5億円、これは先ほどと同じです。そして借入金1億円、銀行から1億円借金していますからね。
これを全部合計すると、財産額は4,200万円+5億円−1億円=4億4,200万円になります。ここで相続税を計算していくと、支払う相続税は1億6,500万円になります。
この2つの案は同じ物件の建て替えです。それなのに、お父さんが亡くなった後に建て替えようとした場合には1億9,500万円、亡くなる前に建て替えをした場合には1億6,500万円です。つまり、その差額3,400万円が節税につながるのです。
建物の修繕の場合は?
このケースでは全部建て替えというかなり規模の大きな話になっていますが、これはちょっとした建物の修繕においても同じ考え方を取ります。
例えば、その建物の屋根の修繕に1,000万円かかるといったときに、預金を1,000万円を残したままだと1,000万円分の相続税がかかりますが、1,000万円を使って修繕をした場合に、その建物の評価が1,000万円上がるかというとそんなには上がりません。
つまり、1,000万円分投入しているのですが、上がる評価が1,000万円よりも少なければ、その分評価額の圧縮につながるということです。
なので、もし建て替えや修繕など、そういった物件を所有している場合には、ぜひ相続税対策の一環として早めに検討されることをおすすめします。
墓費用で相続税対策とは?
ちなみに、これと同じ手法でよく用いられるものに“お墓”があります。お墓の費用は相続税が非課税とされています。なので、亡くなる前にお墓を買えば、預金通帳に入っているお金がお墓という非課税の資産に代わるので、その分相続税は減ります。
ですが、これが亡くなった後にお墓を買おうと思うと、預金という財産を相続したうえでお墓を買うことになるので、一度税金を支払わなければならないのです。
ということで、お墓を早めに買うのも1つの相続税対策になるということになります。