公正証書遺言の時間・証人・作成部数は?
取消しや書き直しはできるの?
遺言の取り消しは結構ある話です。自身で自筆で書く自筆証書遺言で、それを後から自分で破いて捨ててしまう、これも取消と言えば取消しです。
一方、公正証書遺言で遺言書を作成した場合、取り消しはどうすればいいのでしょうか?作成した遺言書が、後から自分の状況や新たな考えと合わなくなってきたようなケースです。
そのような場合は、その遺言書の内容を取り消して、新たな内容で書き直しする必要があります。
実際、公正証書遺言の取り消しや書き直しは、公証役場でもかなりあります。この場合は、以前に作った内容を全部取り決す、あるいは一部を取り消す、これはどちらも可能です。
ですから、遺言書というのは一度作ったら終わりではなくて、その後亡くなるまで何回でも書き直しすることができます。
ただ、公正証書遺言であれば、当然そこに毎回費用がかかってきますので、あまりそう度々は書き直しできないわけですが、あまりにも過去と違った状況になったのであれば、随時書き書き直ししていった方がよいと思います。
ただし、その時にもし認知症になっていたら、原則として書き直しはできませんので、早めに書き直ししておくことをおすすめします。
公正証書遺言にかかる時間は?
公正証書遺言にかかる時間はどれくらいか、さらに、専門家がそこに携わった場合にはどうなるのか、ということについてのお話です。
自筆証書遺言の場合は、各自のペースで書かれますから、かかる時間も様々です。一方、公正証書遺言の場合は、3週間から1ヵ月くらいの時間がかかります。
その間に打ち合わせ、本人から色々な状況を聞いたり、預金の通帳や戸籍を集めたり、色々と資料を取り寄せたり、あるいは資料を提出してもらったり、そういったこともあります。
1回で済まなくて、二度三度かかるケースもあります。書く文章の内容についても、これでいいのかなど、そういったことを色々と打ち合わせします。
また、本人が書きたい内容についても、こういうふうに書くとこんな問題があるとか、そういった部分の話し合いもあります。その後、原案を作成して、公証役場に行って、公証人と打ち合わせをして、そしてできた文章についてまた本人と話し合いをします。
このような形で1週間に1回程度の話し合いをしたとしても、やはり3〜4回やれば1ヵ月くらいはかかってしまいます。
ということで、一応遺言書作成にかかる時間の目安としてはそのくらいを見ていただければよいと思います。なお、最後は公証役場に本人に行ってもらって、内容を確認して、それから署名をして捺印をするという流れになります。これで大体1ヵ月ということになります。
公正証書遺言の証人とは?
公正証書遺言を作成する時には、必ず証人を2人立てる必要があります。
この証人が実際にやることは、そんなに複雑なことではありませんし、特別な能力や資格が必要なものでもありません。というのは、証人はその場に立ち会って、遺言の内容を確認するというのが主な仕事になるからです。
あとは遺言に署名して自分の印鑑を押すというのが仕事です。なので、特別な能力や資格は不要です。
ただ、この証人になる人は、その遺言の内容と基本的には無関係な人、友人や知人など遺言とは直接無関係な人であればなれます。逆に、身内とか遺言書に関係のある人はなれないことが多いですから、その辺は注意して下さい。
公正証書遺言は何部作るの?
公正証書遺言を作成すると、部数としては3部できることになります。当然、内容が同じものが3部できるのですが、このうちの原本1部が公証役場に保管されます。これは、本人が亡くなるまで、亡くなったであろう時まで、その間公証役場に保管されることになります。
残りの2部は本人に返されます。この2部については、本人が持ったり、遺言の執行者が持ったりします。
このように3部同じものができますので、そのうちの1部を紛失したとか、訂正・修正・偽造したということがあっても、原本は公証役場に合って何の変更もありません。
つまり、公正証書で遺言を作ると、変造・紛失のトラブルが防げるということです。しかも、ずっと保管されているので安心です。
単に公正証書にするだけでは足りません!
遺言には、自筆証書遺言と公正証書遺言があって、両者を比較すると断然公正証書遺言の方がおすすめです。
ただ、遺言を公正証書にすればそれでいいのかというと、決してそうではありません。形式としてはとにかく公正証書にするとして、もう1つのポイントはその中身です。つまり、遺言の中身をよく考えなければならないということです。
例えば、「全財産を妻に」とか「兄弟で2分の1」とか、それでも公正証書遺言としては成立するのですが、これでは非常に中身が薄いです。
ですから、もっと深く、あるいは具体的に色々なケースを考えて、例えばどういう順番で相続が起こるかわかりませんし、今後色々なことが発生するかもしれませんから、そういったことも考えて、色々なケースを考えて遺言を作成することが大切です。
ということで、単に公正証書にすればいいというわけではないということですね。