土地を貸し付けた際に受け取った権利金と保証金は、何所得として申告したらよいのでしょうか?

 

事例で検討

 

この度、M社が社屋を建設することになり、所有している土地をM社に貸し付けることになりました。この契約により、私は、権利金1,500万円、保証金2,500万円を受け取りました。

 

不動産鑑定士の算定によると、この土地の時価は4,000万円とのことでした。この場合、私はいくらの金額を、何所得として申告すればよいのでしょうか?

 

権利金等は何所得になるの?

 

不動産所得は、土地・建物等の不動産、船舶または航空機の貸付による所得で、地上権、永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させる一切の場合を含むことになっています。

 

ただし、借地権や地役権の設定によって、権利金等を取得した場合には、実質的には、土地の一部分(上土部分)の譲渡対価とするのが相当と考えられます。

 

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よって、その実態に即して、一定のものは不動産所得から除いて、譲渡所得として課税することになっています。

 

これは、借地権が、まったく別個の権利として取引の対象にされている事例が多いからです。また、借地権の設定された土地の所有権は、もはや底地権(地代請求権)だけになっているためです。

 

譲渡所得とされるのは

どのような場合?

 

建物や構築物の所有を目的とするための借地権や、地役権を設定したり、借地権を転貸して、その対価として支払いを受ける権利金などの金額が、次の金額の10分の5を超える場合には、その対価が譲渡所得の収入金額とされます。

 

建物や構築物の全部の所有を目的とする、借地権や地役権の設定の場合
・土地の価額(借地権を含みます)

 

建物や構築物の一部の所有を目的とする、借地権の設定の場合
・その土地や借地権の価額×B/A

 

B:Aのうち、その借地権に係る建物や構築物の床面積
A:建物や構築物の全体の床面積

 

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土地の値段の10分の5を超えるかどうかが

明らかでない場合は?

 

借地権や地役権の対価が、土地の値段の10分の5を超えるかどうかが明らかでない場合はどうしたらよいのかということですよね?

 

その場合には、借地権や地役権の設定の対価として受け取る金額が、その設定によって受ける地代の年額の20倍以下のときは、その設定の対価は、譲渡所得にはならないものと推定されることになっています。

 

なので、借地権の設定に伴って、通常の場合に比べて、特に有利な条件で金銭の貸付け(名称が違ったり、同じような経済的性質をもっているものも含まれます。)その他特別の経済的な利益を受けるときは、それは、借地権の設定の対価に含まれることになります。

 

ご質問の場合の保証金は、この特別な経済的な利益を受けたことになります。

 

 

具体的な経済的利益の計算方法は?

 

特別の経済的な利益は、貸付けを受けた金銭から、その金額に通常の利率(年3.0%)の10分の5で複利計算した現在価値相当額を控除した金額とされています。

 

 

私の場合はどうなりますか?

 

2,500万円×(1−0.640※)=9,000千円 。この9,000千円が特別な経済的利益の金額になります。

 

※0.640:年利1.50%で契約期間が30年の複利現価率です。
※契約期間の定めがない場合は、借地権の存続期間は30年になります。ただし、平成4年7月31日以前の借地権でしたら、旧借地法になりますので、存続期間は60年です。

 

 

借地権付きの土地を売却した時の

譲渡所得は?

 

実際には借地権付きの土地を購入する人などいないと思われます。ですが、仮に地主が借地権が課税された土地を借地権付きで第三者に売却したと仮定した場合、譲渡所得はどのように計算すればよいのでしょうか?

 

この場合は、借地権の設定時に譲渡所得が課税されていますので、取得価額はその時の譲渡所得の取得価額を差し引いた金額になります。

 

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