どうなる年金制度改革法案!
日本の仕組みと問題点は?改正しないと破綻?
実は厚生労働省は6月27日に、厚生年金の給付水準に関する調査を公表しています。この「給付水準」とは、所得代替率とも呼ばれているものなのですが、これはわかりやすく言うと、現役世代の平均的な手取り月収に対する年金額の割合のことです。
例えば、現役世代の平均の手取り月収が40万円で、年金の受取額が20万円だとしたら、この給付水準は50%(20万円÷40万円)となります。
厚生労働省によると、現在35歳の夫婦の場合、年金を受け取る65歳時点の給付水準は50.6%とおよそ半分と試算しています。
ただし、現在35歳の人が85歳以降になりますと、40.4%まで下がると試算されています。また、現在30歳の夫婦の場合ですと、70歳の時点で50%を切って47.4%になると試算されています。
年金制度については、今年中に政府でも本格的な議論が始まります。
なお、現役世代による年金の保険料支払いについて、現行は60歳までとなっているものを、65歳までとして5年間延長すること、さらに年金の支給開始年齢を現行の65歳から68歳まで引き上げる案がすでに出ています。
日本の年金制度の仕組みと問題点は?
あなたもご存知の通り、日本は少子高齢化が進んでいますから、年金制度が破綻するとまでいかなくとも、将来の年金制度の見通しが明るいなと考えている人は少ないと思います。
実際、日本が現在の年金制度を維持するためには、以下の3つの選択肢しかないと言われてます。
■現役世代の負担を重くする
■支給開始年齢を引き上げる
■年金額そのものを引き下げる
ただ、上記の3つはあくまでもネガティブな想定です。実際には、年金の原資というのは現役世代の負担と税金から支払われていますので、これが増えていけば、当然事情は変わってくることになります。
日本の年金制度の仕組みと種類は?
まずは年金制度そのものについて、実際どのような仕組みになっているのかについて説明していきます。
そもそも年金というのは、「老齢年金」「遺族年金」「障害年金」の3種類があります。老齢年金というのは、老後に受け取る年金です。これは65歳以降であれば、基本的に全員が受け取ることができます。
また、遺族年金というのは、例えば、世帯主が病気や事故で亡くなった場合に、遺族に対して支払われる年金のことです。
父親に生命保険を掛けるときなどは、この遺族年金を考慮して組むのが基本になります。この遺族年金を考えないと、保険の掛け過ぎということにもなりかねないからです。
一方、障害年金というのは、障害者等級が1級あるいは2級に認定された場合に支払われるものになっています。遺族年金と障害年金は、家族構成によっても受給額は変わります。
日本の年金制度の仕組みと問題点のまとめ
一口に年金と言っても、上記のように3つの種類があって、その年金制度を支えているのは、現役世代の年金保険料とあとは税金です。
ということは、つまりどういう事かと言うと、この制度や遺族・障害者の方の生活を支えているのは、私たち日本に住んでいる日本人であり、これを相互扶助という仕組みで支えているのです。
年金というのは、なかなかしっかりと向き合って語り合うということはないですが、もらえる金額も各個人によって違ってきますし、そういったところも含めて、きちんと知っておくことは大切です。
実際、「年金がいくらぐらいもらえるのかな」というイメージがあるのとないのとでは全然違いますので、今どうするべきかというのがわかれば色々と見えてくると思います。
日本の年金制度とその社会的背景は?
まず平均寿命と平均余命の違いから説明します。
平均寿命というのは、0歳児が平均して何歳まで生きられるのかを示したものです。一方、平均余命とは、例えば、現在65歳の人が平均してあと何年生きるのかを示したものになります。
これは、平成25年版の簡易生命表によれば、現在65歳の方の平均余命は、男性はおよそ19年、女性はおよそ24年とされています。
これを見ると、老後の人生はあなたが想像しているよりも、かなり長いと感じるのではないでしょうか?しかも、これはあくまでも平均ですから、実際に自分が何歳まで生きるのかなんて誰にもわからないのです。つまり、もっと長く生きることだって十分あり得るのです。
このように考えると、老後にはとてもお金がかかることがわかると思います。
こうした状況に対して、年金制度というのは、一定のお金を生涯にわたり受け取ることができる制度なのです。年金は老後の安定した収入源として、とても大切だということがわかっていただけたと思います。
日本の公的年金制度の仕組みは?
日本の社会保険の1つである公的年金制度は、高齢になった時や、事故や病気で障害者になった時、一家の大黒柱が亡くなった時などに、働いている世代全員で支えようという考え方によって作られている仕組みになります。
年金制度ができる以前は、親と同居して農業や自営業を営む人が多かったので、自分で親を養っていました。
ところが、経済成長が進んでいくと、親と別居して都市部で会社勤めをする人が多くなりました。また、平均寿命が長くなると、親を養う費用が大きくなり、かつてのように自分で親を養うことが難しくなってきました。
このような社会の変化の中、社会全体で高齢者を支える年金制度が誕生したのです。つまり、現役世代は年金の保険料を納めれば、親の老後を個別に心配する必要がなくなり、安心して生活できる仕組みができたのです。
実際問題として、自分が高齢者になるまでの長い間、「社会経済にどういった変化が起きるのか」とか、「自分が何歳まで生きるのか」などを予測し、高齢期の生活に、貯金など自分ひとりの力で備えることは、かなり難しいことです。
こうした問題に対して、老齢年金でしたら、一生涯受け取ることができますから、公的年金制度は大きな役割を果たしているといえそうです。
日本の公的年金制度の構造は?
年金の構造というのは、よく2階建ての家に例えられます。
まず、1階部分の国民年金は、家の基礎、ベースとなる部分という意味で「基礎年金」とも呼ばれています。日本は国民皆年金となっていますので、この1階部分には、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入することになっています。
さらに、この1階部分は3つに分けられます。
1つ目は、第1号被保険者といって、自営業者や学生が加入します。2つ目は、第2号被保険者といって、会社員や公務員が加入します。3つ目は、第3号被保険者といって、上記の第2号被保険者に扶養されている配偶者が加入します。
次に2階部分の厚生年金についてです。この厚生年金は会社員や公務員が加入することになっています。すなわち、会社員や公務員は、厚生年金に加入すると共に、国民年金にも加入することになります。
ちなみに、第1号被保険者から第3号被保険者までの合計は、およそ6,718万人になります。日本の人口がおよそ1億3,000万人ですから、約半分の人がこの年金制度に加入していることになりますね。
日本の公的年金制度は破綻しないの?
今後ますます少子高齢化が進んでいきますから、それを見据えて、国は公的年金制度を将来にわたって持続的安心なものとするため、長期的な財政の枠組みを設けています。
まず1つ目に、将来の保険料の上限を設定しています。また2つ目として、基礎年金における国庫負担を2分の1に引き上げています。そして3つ目に積立金の活用、4つ目として、財源の範囲で給付水準を自動調整することになっています。
さらに、5年に1度、このシステムの財政検証を行って、収入と支出のバランスが上手くいっているのかどうかをチェックしています。これによって、長期的な収入と支出のバランスを取りつつ、公的年金制度の持続可能性を図る仕組みになっているのです。
日本の公的年金制度の重要ポイントは?
1つ目のポイントは、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人は、国民年金への加入が義務付けられているということです。
年金を受給するためには、25年以上保険料を納付する必要があります。そして、最終的な年金額は、保険料を納めた期間に応じて決定されます。ちなみに、保険料を納められない場合には、免除制度もあります。
2つ目のポイントは、国民年金保険料を納めることが法律で義務付けられていることです。
保険料を納付することによって、それがその時々の高齢者の年金給付に充てられるとともに、将来年金を受け取る権利を確保し、自動的に自分の老後や万が一の時に対して備える仕組みになっているのです。
3つ目のポイントは、20歳以上の現役世代、およそ6,718万人が保険料を出し合って、年金受給者を支えているということです。
つまり、みんなで保険料を出し合って、世代と世代とが支え合っているということです。
ただし、支える人たちの負担を軽減するために、基礎年金の半分は、国の税金で賄われています。日本の公的年金制度は、国も手助けして成り立っている仕組みになっているのです。
4つ目のポイントは、どのような時に、年金が受け取れるのかということです。
受け取れる年金には、「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3つがあります。まず老齢年金は、65歳になると受け取ることができる年金です。また、障害年金は、病気やケガによって体に障害が残ってしまった場合に受け取ることができる年金です。
さらに、遺族年金は、一家の働き手である人が亡くなった場合に受け取ることができる年金です。ちなみに、障害年金と遺族年金は、65歳になっていなくても受け取ることが可能です。
ただし、いずれの年金も、きちんと保険料を納付していないともらえませんので、そこは気を付けてください。なお、年金はあくまでも保険制度ですから、こうした事態になった後に、保険料を納めてももらうことはできません。
国民年金の手続きと納付方法は?
まず20歳になったら、国民年金の第1号被保険者になるための手続きを行います。その際にもらう年金手帳は無くさないように、大切に保管しておくようにして下さい。また、日本年金機構から送られてくるハガキはしっかり読みましょう。
さて、国民年金保険料の納付方法についてですが、これには以下の4つの方法があって、しかも割引制度もあります。ちなみに、口座振替が一番便利でお得です。
■口座振替
■クレジットカード納付
■金融機関、郵便局、コンビニの窓口、ATMでの納付
■電子納付(インターネットバンキング等)
なお、経済的な事情から、国民年金保険料を納めることが難しい場合は、以下のような保険料の納付が免除あるいは猶予される制度もあります。
■全額免除
■一部免除
■若年者納付猶予
■学生納付特例