事例で検討
先日、夫が亡くなったので、相続人の私が生命保険金を年金によって受け取ることになりました。この生命保険は、夫が生前に入っていたもので、保険料も夫が支払っていたものです。
これから、この年金の税金はどうしたらいいのでしょうか?
アドバイス
あなたがこれから受け取る年金は、毎年、雑所得になります。その際、亡くなったご主人が生前支払っていた保険料の一定額を必要経費にしてください。
生命保険契約にもとづいた年金は、
すべて雑所得になるのですか?
はい。そうなります。
生命保険契約にもとづいた年金というのは、保険料を奥様(本人)が負担していても、旦那様(被相続人)が負担していた場合でも、どちらの場合でも、継続して受け取ることになりますので、年金を受け取った年の雑所得として課税されます。
ただし、あなた(相続人)が取得した年金受給権は、一定の評価がされて、相続税の課税の対象にされます。
保険料の一定額が必要経費になるそうですが、
どのように計算するのですか?
雑所得の必要経費の金額は、次の算式で求めます。これは、奥様(本人)が保険料を支払っていなくて、旦那様(被相続人)が支払った保険料でもそのようになります。
■必要経費=その年に支払を受ける年金の額 × A%
■A% = 保険料または掛金の総額 ÷ 年金の支払総額または見込額
※小数点以下2位まで求めて、3位以下は切り上げてください。
満期保険金を受け取ったときの
税金や確定申告はどうなるの?
生命保険の満期で振り込まれた保険金を確定申告するかどうかについては、次のように判断します。
■契約から5年以内で一括受け取りのケース
この場合は、金融類似商品になりますので、源泉分離課税になります。よって、満期時の受取金額(配当金を含む)と払込保険料との差益に対して、20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)が源泉徴収されます。
源泉徴収された保険金については、年末調整がなされていないので、確定申告をして1年間の税金を精算することが必要になります。この際、源泉徴収票(原本)の添付を忘れないようにして下さい。
■契約から5年超で一括受け取りのケース
この場合は、一時所得となりますので、確定申告が必要になります。
■年金受け取りのケース
この場合は、雑所得となりますので、確定申告が必要になります。なお、年金所得者の確定申告不要制度があるので、公的年金等の収入金額が400万円以下で、かつ、公的年金等に係る雑所得以外の各種の所得金額が20万円以下の人は、確定申告は不要です。
(参考)年金所得者の確定申告不要制度