委託研究費は
給与所得になるの?
わたしの職業は大学教授です。今年度、大学の方から委託研究費として200万円が支給されたのですが、これは、給与所得になるのでしょうか?
アドバイス
ご質問の場合、委託研究費が渡切研究費と認められるなら、給与所得になります。
大学から支給される研究費というのは、
給与所得になるのですか?
ご質問のようなケースは、一般的には、大学教授としての地位にもとづいて支給されるものですので、給与所得になります。
ただ、大学が教授等に研究費を支給する場合でも、実質は大学自身が大学の費用で研究したものと考えられる場合もあると思うのですが・・・ ?
はい、そういった場合も少なくないですよね。ですから、そういった場合も考慮して、実務では、大学教授に支給される研究費に対する課税については、次のように取り扱われています。
(1)個人研究費、特別研究費、研究雑費、研究費補助等の名目で、教授等の地位や資格に応じて、年額または月額により支給されるものについては、給与所得とする。
ただし、大学がその教授等から使途の明細を求め、かつ、購入物品のすべてが大学に帰属するものである場合など、大学が直接支出すべきものを、その教授等を通じて支出したと認められるものは、強いて課税しない。
(2)大学から与えられた研究題目や、その教授等の選択による研究題目の研究のために必要な金額として、あらかじめ支給される研究奨励金等については、(1)に準ずる。
具体的に、私の場合は
どうなるのでしょうか?
あなたの場合の委託研究費も、上記のような事実に照らし合わせて課税関係を考えることになります。そして、それが渡切研究費と認められる場合には、給与所得になります。
給与所得と委託の関係
「雇用契約」に基づいて労働の対価を得るのが給与所得者です。一方、「請負契約」の元に契約の完了(納品や業務の完遂)により対価を得るのが委託です。
とはいえ、これらは契約書の内容によってのみ決まるものでもないのです。この辺りのところは、国税庁の通達にその役務の内容による判断基準がありますので、以下、参考になさって下さい。
■他人が代替して業務を遂行すること又は役務を提供することが認められるかどうか。
■報酬の支払者から作業時間を指定されるなど時間的な拘束(業務の性質上当然に存在する拘束を除く。)を受けるかどうか。
■作業の具体的な内容や方法について報酬の支払者から指揮監督(業務の性質上当然に存在する指揮監督を除く。)を受けるかどうか。
■まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失するなどした場合において,自らの権利として既に遂行した業務又は提供した役務に係る報酬の支払を請求できるかどうか。
■材料又は用具等(釘材等の軽微な材料や電動の手持ち工具程度の用具等を除く。)を報酬の支払者から供与されているかどうか。
上記のような点について、総合的に判断することによって、給与所得に当たるのかどうかが決まることになります。