事例検討
大学の専任教授で、他大学から委嘱を受け、非常勤講師として報酬を受けています。条件は下記のようなものですが、この報酬は給与所得としてよいのでしょうか?
●委嘱は、両大学の学長名の辞令の授受をもって行われる。内容は、非常勤講師として4月1日から1年間、特定の学科の授業を担当することを定めている。
●担当時間数、出講日時などは、両者の合意で定められる。
●報酬は、各大学の非常勤講師の報酬基準により決定される。毎月一定時に支払われ、原則として、休講等によっても減額はされない。
非常勤講師の報酬は、
給与所得になるのですか?
ご質問の場合の非常勤講師の報酬は、給与所得になります。
大学教授等が他の大学から受ける非常勤講師としての報酬が、給与所得になるのかどうかは、その報酬が非独立的に提供される役務の対価として受けとる報酬かどうかで判断されます※。
※実質的にこれに準ずるものも含まれます。
私の場合、具体的に
どう判断したらよいのでしょうか?
ご質問の場合は、次のように整理されます。
■両大学の非常勤講師としての地位は、両大学との合意のうえで定めた一定期間特定の科目の授業を担当し、その対価として報酬を得るという内容であること
■各大学学長の定める報酬基準により、毎月一定時期に支払を受けるものであること
このことから、あなたは、各大学に従属的に一定期間継続して役務を提供する地位にあるといえます。
よって、あなたの各大学の非常勤講師としての地位は、雇用に類似する労務契約関係にもとづいたものと解釈されますので、この場合の報酬は、給与所得となります。