代償相続の相続税の計算と遺産分割協議書の作成方法!

 

 

代償相続相続税計算

遺産分割協議書の作成方法!

 

 

今回は、代償相続での相続税の計算方法や遺産分割協議書の作成方法など、代償相続を選択する際に必要となる手続きの進め方についてのお話です。

 

代償相続では、一旦、特定の相続人が財産を多くもらうので、他の相続人が納める相続税よりも税負担が大きくなりそうな気がしますよね。

 

“最終的に損をするのではないか”と思いがちですが、実際にはそんなことはありませんので安心してください。

 

ただし、ここから解説する手順を踏んで手続きを行わないと、多額の税金を納めなければならなくなる可能性が高くなります。ですから、代償相続を選択肢の1つとして考えている場合には、しっかり手順を守るよう注意してください。

 

 

代償相相続の注意点は?

 

代償相相続を選択するうえで最も注意すべき点は、遺産分割協議書の作成になります。

 

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遺産分割協議書を作成する際には、“代償相続を選択し代償財産を渡し、相続分を均等にした”ということを必ず記載するようにしてください。

 

それでは、どのようにして遺産分割協議書を作成するのかというと・・・

 

まず初めに、各相続人がどのような財産を相続するのかを記載します。ちなみに、みなし相続財産(死亡保険金など)は相続したとしても遺産分割協議書への記載は不要です。

 

それから、仮に特定の相続人が、一旦、全財産を相続し、そこから全員が均等に財産を相続できるよう代償金を支払う場合には、他の相続人の相続分は一旦ゼロになりますので、それについての記載は不要です。

 

つまり、代表相続人の相続財産のみを記載すればOKということです。

 

次に、代表相続人が共同相続人に代償財産をいつまでにどれだけ渡すのかを記載して、署名・押印します。

 

これにより、代償相続をしたという証拠を残すことができるわけですね。なお、代償財産は相続人同士が納得すれば、現金に限らず不動産でもOKです。

 

 

代償相続と贈与税の関係は?

 

代償相続をする場合には、代表相続人が他の相続人に代償金などの代償財産を渡す際に、贈与税の問題が絡んできます。

 

つまり、代償“相続”という名称であっても、贈与税の課税対象になる可能性があるのです。

 

代償相続というのは、相続人間で相続分に差が出ないように、代表の相続人が全財産、あるいは多めに財産をもらい、相続分の少ない他の相続人に代償財産として代償金などを渡す相続方法です。

 

ということは、代表の相続人が他の相続人に財産を贈与するという解釈もできるわけです。ここで、贈与税の問題が出てくるのです。

 

前述のとおり、代償相続というのはあくまでも相続分の差を埋めるための相続方法になりますが、この“相続分の差を埋める”という点が重要なポイントとなります。

 

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つまり、相続分の差を埋めるため以上に代償財産を渡してしまうと、代償財産を受け取った相続人は贈与税を納めなければならなくなるのです。

 

例えば、全相続財産の総額が6,000万円で、そのうち自宅不動産の評価額が2,500万円、預貯金が3,500万円、また、相続人は被相続人の子供3人だったとします。

 

すると、相続人一人当たりの法定相続分は2,000万円となります。

 

自宅を相続したい相続人Aがそのまま自宅を相続するとなると、自宅以外の財産3,500万円を相続人BとCの2人で分けなければなりません。

 

これだとBとCはそれぞれ1,750万円(3,500万円÷2)ずつとなりますから、Aとの相続分にそれぞれ750万円(2,500万円−1,750万円)の差が生じてしまいます。

 

そこで、代償相続を選択し、Aが被相続人の相続によって得た死亡保険金のうちから、BとCに750万円ずつ代償金を渡して解決するということが考えられます。

 

このとき、BとCが3,000万円ずつ代償金を支払わないと納得できないと言い出したらどうでしょうか?

 

もしAの相続分である2,500万円を超える代償金を支払うことになれば、2,500万円を超える500万円に対して贈与税が発生することになります。

 

“自分の相続分を超えるような代償金の支払い”なんて実際にはあり得ないと思われるかもしれません。でも、そんなこともないのです。

 

 

相続分を超える代償財産を渡すケースとは?

 

自分の相続分を超える代償財産を渡さなければならないケースというのは、決して珍しくありません。ポイントは2つです。

 

1つ目は、生前贈与があったケースです。

 

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例えば、被相続人である親から多額の現金を贈与されていた、あるいは別荘地を贈与されていた、というような場合です。こうしたケースの場合、相続時の遺産分割協議で清算を求めらることがあります。

 

前述の2,000万円の贈与を受けていた相続人Aと一円の贈与も受けていない相続人BとCで、相続時に受け取る財産の額が全く同じであれば、相続人BとCが文句を言ってくるのも当然ですよね。

 

2つ目は、死亡保険金の受取額の差です。

 

例えば、死亡保険金の受取額が相続人Aは5,000万円、相続人Bは1,000万円だったとします。その差は4,000万円です。

 

受け取った保険金というのは、あくまでも相続人固有の財産ですから遺産分割協議の対象とはなりません。ですが、この金額に大きな差があるとやはりトラブルの原因となる可能性が高いです。

 

また、相続財産を均等に分けることはできても、死亡保険金の額だけに大きな差がある場合には特に注意が必要です。

 

例えば、死亡保険金を5,000万円を受け取った相続人Aと、1,000万円しか受け取れなかった相続人Bがいたとします。そして、AとB双方が納得できるよう、AがBに保険金のうちから2,000万円を支払うことで合意したとします。

 

このようにすると、AがBに支払った2,000万円は全額贈与税の課税対象となります。というのは、死亡保険金は遺産分割協議の対象にはならず、受け取った相続人固有の財産だからです。

 

要するに、たとえ被相続人の相続によって発生した死亡保険金であったとしても、代償相続においてはそのお金がどこから発生したものなのかは関係ないのです。

 

つまり、単にAはBにお金を渡しただけ、贈与しただけ、とみなされることになるのです。

 

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2つのポイントに該当する場合は・・・

 

ということで、上記のポイント2つのうちいずれかに該当する場合には、「相続財産の持ち分を均等にするための代償金のほかにいくらか上乗せして!」と要求される可能性が高いです。

 

誰もが相続人となることを考えた場合、生前贈与を受けた額や死亡保険金の受取額も含めて、相続財産を均等に分割したいと考えるのは当然ですよね。

 

被相続人が良かれと考えて行った相続対策、生前贈与や生命保険の加入が、後々のトラブルの元になることはよくあることです。

 

 

相続人の相続分に大きな差が出てしまった時の事前対策は?

 

例えば、自宅が5割、預貯金が3割、株式が2割の相続財産を、相続人3人で均等に分けることができないというケースで代償相続を選択したとします。

 

この際、特定の相続人だけが、生前に被相続人である親から多額の資金援助を受けていたり、死亡保険金の受取額があまりにも他の相続人よりも多かったりすると、代償財産を多めに要求される可能性が高いです。

 

こうした明確な不平等さが生まれてしまうと、やはりトラブルに発展してしまいがちですから、こうした事前対策はよくない相続対策ということになります。

 

死亡保険金には非課税枠があり、贈与税が一定額控除される特例もあります。

 

こうした表面的な情報を聞きかじっただけで相続対策をしてしまうと、前述のようなトラブルに発展しやすいです。落ち着いて考えてみれば、不平等さがトラブルに発展しやすくなるのはわかりますよね。

 

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こうしたトラブルを回避できるよう、目先のことだけを考えるのではなく、きちんとシミュレーションをして先を見据えた相続対策を講じるようにしてくだいさい。

 

 

もし特定の相続人だけに多額の生前贈与をしてしまったり、死亡保険金を多めに掛けてしまったり、そういったことをしてしまった場合には、できることは2つです。

 

1つは、遺言書を準備しておくことです。

 

例えば、「相続人Aには二世帯住宅を建てる際に資金面でほとんどの援助をしてしまったけれど、BとCが家を建てる際にはあまりできなかったので、その分を考慮してBとCには多めに財産を相続してもらいたいと考えこのような分割方法を考えました」といったようなことを書き残しておくようにします。

 

遺言書がなければ、原則として法定相続分に応じた分割方法になります。

 

ですから、例えば2,000万円の生前贈与を受けたAと、500万円しか贈与を受けていないBとCというように、生前贈与の額に大きな開きがあったにもかかわらず、相続財産については均等に分割するとなれば、やはり不満が発生することになり話し合いはまとまらなくなるでしょう。

 

また、「後継ぎの長男Aには500万円くらい多めに相続させたとしても、他の相続人BとCは理解してくれるだろう」と高をくくっていると後々トラブルに発展する可能性が高いです。

 

ということで、少しでも開きのある相続方法にしたいのなら、必ず遺言書に相続人全員が納得できるような理由を書くようにしましょう。現代ではかつてのように“長男には多く相続させる”という考え方は通用しませんので注意が必要です。

 

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