地積規模の大きな宅地の評価と広大地評価の改正!

 

 

地積規模の大きな宅地の評価広大地評価改正

 

 

今回は、地積規模の大きな宅地の評価についてのお話です。ただ、地積規模の大きな宅地の評価と言われても、そんな制度を見たことも聞いたこともないかもしれません。

 

実はこの制度は、もともと「広大地評価」と呼ばれていたものです。なので、広大地評価が廃止されて地積規模の大きな宅地の評価が新設されたと考えていただければOKです。

 

広大地評価というのは、広大な土地を保有している人向けの相続税の減額措置です。また、この広大地評価制度を使うと最大で65%も評価額を下げることができます。

 

 

なぜ広大地評価は廃止されたの?

 

なぜ広大地評価制度は廃止されたのでしょうか?

 

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まず1つ目は、広大地評価における最大の問題点として、適用要件が明確でなかったということがあります。一応基準は設けられているのですが、この基準をクリアすれば広大地評価が適用できるといったような明確な基準はありませんでした。

 

なので、Aさんは広大地評価を適用できると言っているにもかかわらず、Bさんは適用できないと言ったり、相続税の申告を担当する専門家によっても意見が分かれていたのです。

 

広大地評価を適用させると大幅に評価額を下げることができることから、私たち納税者の負担は大きく軽減されます。

 

ですから、広大地評価を適用させようとすると、税務署としては必死であらさがしをして広大地評価の適用をさせまいとそれを阻止しようと動くわけです。広大地評価を適用させるか否かによって、税務署側と訴訟などの争いに発展するケースも後を絶ちませんでした。

 

 

2つ目の問題点は・・・

 

土地面積が同じであれば、どんな形状の土地であっても全く同じ評価額になってしまうことでした。

 

つまり、広大地評価は面積のみに応じて減額する方法で土地の形状が考慮されないことから、面積が同じであれば、土地の形状が長方形であろうが正方形であろうが、あるいはいびつな形をしていようが関係なかったのです。

 

こうした2つの問題は最近になって議論されたわけではありません。長年にわたり「明確な線引きをすべきである」という声が多く上がっていました。

 

こうして平成29年12月31日をもって広大地評価は廃止されたのです。そして、平成30年1月1日からは地積規模の大きな宅地の評価が導入されたのです。

 

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地積規模の大きな宅地の評価のメリット・デメリットは?

 

前述のとおり、広大地評価が廃止された背景には適用要件が明確でないという問題点がありました。なので、地積規模の大きな宅地の評価では適用要件が明確化されています。

 

地積規模の大きな宅地の評価というのは、首都圏、中京圏、近畿圏の三大都市圏においては500u以上の地積の宅地、それ以外の地域においては1,000u以上の地積の宅地のことをいいます。

 

ただし、市街化調整区域に所在する宅地、工業専用地域に指定されている宅地、容積率が400%以上の地域に所在する宅地、大規模工場用地のいずれかに該当する場合には地積規模の大きな宅地から除かれることになります。

 

広大地評価における広大地の定義と比較すると、線引きが細かくなったことにより、広大地評価では適用可能であった宅地が、地積規模の大きな宅地の評価では適用不可能となったというデメリットがあります。

 

ですが、判断が難しかった宅地の判定がしやすくなったというメリットもあります。また、かつての広大地評価の問題点でもあった“同じ面積の宅地であればどんな形状の宅地であっても減額率は同じ”という点についても見直されています。

 

具体的には規模価格補正率というものが導入され、その宅地の形状や地積の大きさを考慮した評価が可能となっています。つまり、規模価格補正率の導入により、正方形に近い需要の高い宅地では広大地評価で算出した評価額より高くなるわけです。

 

 

地積規模の大きな宅地の評価はデメリットの方が多い?

 

それでは、需要の高い綺麗な宅地の評価額が上がるということは、逆に言えば需要の低いいびつな形の宅地の評価額は、広大地評価に比べて低くなるということなのでしょうか?

 

実はそうではありません。なぜなら、広大地評価では最大65%も評価額を減額することが可能でしたが、地積規模の大きな宅地の評価では最大でも29%の減額にとどまるからです。

 

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広大地評価では適用可能であった宅地が、地積規模の大きな宅地の評価では適用不可となったり、減額率が下げられたりとデメリットが増えただけと思われるかもしれません。

 

しかしながら、線引きが細かくなり判断しやすくなったというメリットにより、宅地の評価計算のミスが減り、本来の相続税よりも多く支払っていたという最悪のケースを避けることができるようになったとも言えます。

 

ということで、もしあなたが広い土地を持っているのであれば、地積規模の大きな宅地の評価を適用できるか否かで相続が大きく変わってきます。一度土地関係に詳しい専門家に相談されることをおすすめします。

 

 

広大地評価の廃止について

 

相続税を計算するに当たって色々な評価減という方法があります。一言でいうと、安くしてあげますよということですね。財産評価を軽減してあげますというのが評価減という算式になります。その中で広大地補正という評価減の方法があります。

 

広い土地をお持ちの方は、それを仮に第三者に売却するとしても、一般人が買える金額ではありませんから、いわゆる不動産開発デベロッパーに買ってもらわざるを得ません。そうすると、道路を作ったりだとかでかなり売買価格が安くなってしまいます。

 

ですから、この辺を評価に織り込みましょうというそういう考え方なのです。この広大地補正というのは、一定の宅地条件が整うとそれが使えるという、相続税対策として広い土地をお持ちの方には切り札的な補正がありました。

 

この広大地評価が2017年12月31日で廃止されたということですね。

 

ちなみに、この改正に対してどのように対策を打っていくのかという中で、税理士業界で言われていたのが、相続税精算課税制度を使って改正までに土地を贈与しておけば、その後何十年経って相続が起きようが、相続時精算課税制度というのはその贈与をしたときに遡って評価し直すということになりますから、広大地補正が使えるということでした。

 

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