小規模宅地等の特例で節税!家なき子の居住要件で評価減!

 

 

小規模宅地等の特例で節税!

家なき子の居住要件で評価減!

 

 

財産の分け方によって相続税の税額が変わる、つまり節税ポイントは2つしかありません。今回はそのポイントのうちの1つを紹介していきます。これから紹介していくポイントは何かというと、小規模宅地等の特例と呼ばれるものになります。

 

この小規模宅地等の特例が使えるか使えないかによって、支払う相続税が何千万円と変わることが実際によくあります。ですから、まずはこの小規模宅地等の特例が何かということについて説明していきます。

 

 

小規模宅地等の特例とは?

 

ここから見ていく小規模宅地等の特例というのは、土地に使える特例になります。不動産のうちの土地です。

 

例えばお父さんが持っている土地があったとします。この土地を評価したところ、例えばその評価額が仮に1億円の評価がついたとします。

 

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ここでよく土地の評価はどうやるのかという質問を受けるので、ここでさわりだけ説明します。

 

土地の評価というのは、路線価方式というものを使って計算します。この路線価ですが、国税庁のホームページに行くと日本全国の地図が出てきます。その地図の道路1本1本に値段が書かれています。その値段のことを路線価と言っています。

 

その路線価×面積をするとおおよその評価が求められます。

 

さて前述の土地、仮にですが1億円だったとします。この1億円の土地について、これから見ていく小規模宅地等の特例が使えた場合にどうなるのかというと・・・

 

なんと80%になるのではなくて80%引きされます。8割引きです。1億円の土地ならたった2,000万円の評価額で相続していいですよということです。つまり、減額の幅が非常に大きい特例なのです。

 

ただ「小規模」と言っているとおり、この特例には面積制限があります。どれくらいかというと330u、坪数で言うと100坪まで使えます。

 

ここでよく質問を受けるのは、100坪をちょっとでも超えるともう受けられないのかということです。

 

これについてはそういうことはありません。なぜなら、100坪までが8割引きだからです。それを超えた部分については通常の評価となっていきます。

 

 

小規模宅地等の特例が使える土地とは?

 

この小規模宅地等の特例はあくまでも特例ですから、どういった土地に使えるのかという話になります。それではどういった土地に使えるのかというと・・・

 

このお父さんが亡くなった時にお父さんが住んでいた土地に使うことができます。つまり、自宅の敷地です。

 

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改めて申し上げますと、自宅の敷地であれば100坪まで8割引き、これが小規模宅地等の特例です。ですから、この特例が使えるのか使えないのかによって、本当に支払う税金が何百万円、何千万円と変わってくることがあるので非常に重要な特例といえます。

 

 

小規模宅地等の特例の重要ポイントとは?

 

ここから先が重要なポイントです。これまで説明した小規模宅地等の特例というのは、実は相続する人によって特例が受けられる人と受けられない人がいます。

 

なので、特例が受けられない人に対して自宅を相続させてしまうと、せっかく8割引きとなるのにこれが受けられなくなってしまいます。ですから、この小規模宅地等の特例が使える使えない、この判断というのが極めて重要になってきます。

 

それではここからは、誰がこの特例を受けることができて、誰が受けられないのかということについて説明していきます。

 

 

小規模宅地等の特例を受けられる人とは?

 

はじめに結論から申し上げますと、小規模宅地等の特例を受けられる人は3人です。それは誰なのかというと・・・

 

まず1人目は配偶者です。ご主人が亡くなってしまったときの奥さんです。あるいは、奥さんが亡くなってしまったときのご主人です。配偶者が自宅を相続すれば無条件で8割引きになります。これがまず1人目です。

 

そして2人目ですが、この2人目が極めて重要です。それは誰なのかというと、2人目は同居親族です。一緒に住んでいた親族が相続をすれば8割引きになります。お父さんが亡くなったときに一緒に住んでいる親族が相続すれば8割引きになります。

 

さらに3人目です。

 

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3人目は誰なのかというと・・・

 

話は矛盾するのですが、3人目は別居親族です。別居していてもこの特例は使える場合があります。ただこの別居親族が使える場合というのは、他に厳しい条件がついているのでなかなかこれ実務上は受けられません。

 

どんな厳しい条件がついているのかというと、3年以上持家なしです。これはどういう意味かというと、別居していてかつ自分の持家を持っていない人です。

 

具体的にどのような人かというと、例えば賃貸暮らしをしているお子さん、社宅暮らしをしているお子さんです。そういう人が該当してきます。別居していて自分の家を持っていない人です。

 

この特例のことを税理士業界の中では「家なき子特例」という呼び方をしています。実際には家はあるのですが、家のない子供の特例といったところで家なき子特例と呼ばれています。

 

この家なき子特例は他にも色々な厳しい条件がついていますので、これもやはりなかなか受けることができません。

 

 

家なき子の居住要件とは?

 

例えばどういう条件かというと・・・

 

これは非常によくあるケースですが、お父さん、お母さんがいて、長男とお嫁に行った娘さんがいるケースです。娘さん自身は家を持っていません。娘さんは家を持っていないのですがお婿さんは家を持っています。ですがこの場合、娘さんは持家ありに該当します。

 

この娘さん自身が家を持っていなかったとしてもそのお婿さんが家を持っていた場合には持家ありという判定になります。ですから、家なき子特例は受けられません。

 

さらに、この家なき子特例は配偶者と同居親族がいる場合、特例が受けられる人がいる場合には、家なき子特例は受けられません。

 

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これはどういうことかというと・・・

 

配偶者や同居している相続人がいる場合には、家なき子特例は無条件に受けられないということです。ですから、そもそもこの家なき子特例というのは、使えるシチュエーションというのが非常に限定されるのです。

 

どういうシチュエーションかというのは、ぜひあなたにも考えていただきたいですが、まず配偶者がいないことが条件です。というのは、配偶者がすでに亡くなっていることを指しているからです。つまり、家なき子特例は二次相続限定での考え方ということです。

 

あとは離婚して配偶者がいないということもありますが、二次相続落ということです。そして、同居している相続人もいないということはどういうことかというと・・・

 

これは、お母さんが実家で一人で暮らしていますよというようなケースです。こういったケースで初めて出てくるのが家なき子特例の考え方なので、全くないわけではありませんが、比較的少ない小規模宅地等の特例を使うのでこの家なき子特例を使います。

 

ということで、相談者された際には配偶者と同居親族の2つ、小規模宅地等の特例は配偶者か同居をしている親族が相続をすれば8割引きですよとお伝えしています。

 

 

同居をしている親族とは?

 

この小規模宅地等の特例を改めて見ていきますと、自宅の敷地であれば100坪まで8割引き、これで税金が何千万円も変わるということなのですが、自宅の敷地を配偶者や同居している親族に相続させると8割引きになっていきます。

 

もしかしたらここで、疑問に思われるかもしれません。というのは、ここで多くの質問をいただくからです。一番多くいただく質問というのが、同居している親族の「同居」とは何かということです。

 

おそらくあなたが思っている疑問もこういう疑問ではないでしょうか?「同居というのは住民票だけ一緒にしておけばいいんですか?」というのは非常に多くの方から質問を受けます。

 

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結論から申し上げますと、住民票だけ一緒でもダメです。

 

住民票だけ一緒にしておけば税務署からは同居しているように見えるでしょと思われる方も多いのですが、ここのところは税務署もそんなに甘くありません。同居をしている実態があったかどうかを徹底的にチェックされます。

 

ここはあえて強調しますが、ここは徹底的に見られます。住民票だけでは判断されません。ですから、ここの実体が伴っていないというのは非常に危険です。

 

 

実際にどのような事例が考えられるのかというと・・・

 

これは非常によくあるケースです。

 

例えば、お父さんとお母さんが住んでいる家の割と近くに子供が住んでいるケースです。割と近くに子供が住んでいて、ちょっとお父さんお母さんの具合が悪いということで、通いで看病・介護をしています。

 

このとき「週5日で通っているならこれは同居でしょ」といえるでしょうか?

 

これは非常に難しいです。こういったシチュエーションはいわゆるグレーゾーンと呼ばれるものだからです。同居と認められるかどうかというのは、正直その税務署の調査官の采配次第という面もあるのかもしれません。

 

ちなみに、私が過去に立ち会った税務調査のときには、通いだったのか住んでいたのかが論点になったのですが、泊まり込みの看病が週5日以上だった、また住民票もこちらに移しているということで認められたケースもありました。

 

ただここでは難しい判断が迫られますので、同居の実体というのはよく税理士さんに確認されることをおすすめします。

 

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同居の期間は?

 

それからもう1つ、同居に関していただく質問に「どれくらい同居をしなければいけませんか?」というものがあります。この質問も非常によくいただきます。これについては、実は同居の期間は決められていません。

 

どういうことかというと・・・

 

本当に極端な話、亡くなる1週間前から同居を始めたとしても、この小規模宅地等の特例は受けることができます。この話をすると「それならいよいよ危なくなったら引越してくればいいんですね」とおっしゃる方もいます。ですが、実はそううまくはできていません。

 

同居をする亡くなる前の期間には制限はないのですが、亡くなってから10ヶ月間はそこに住み続けなければいけないという条件がついているからです。ですから、一時的な同居を狙うということはできませんのでそういったことはしないようにしましょう。

 

とにかくこの同居の論点というのは、相続税の税務調査が行われたときなどには非常に厳密なチェックがされますので、ぜひあなたにはこうしたことを考えたうえでライフプランを考えていただければと思います。

 

 

最良の相続の仕方とは?

 

実際に小規模宅地等の特例について基本的なことは以上となりますが、ここでは実際にこの自宅の相続のさせ方というのでおすすめの形を紹介します。

 

例えば父と母がいたときに、平均寿命から考えると男性の方が早く亡くなってしまうことが多いので、仮にご主人が亡くなってしまったときを考えます。このとき自宅は一旦奥さんに相続をしていただきます。そうすると配偶者ですから80割引きになります。

 

その後お母さん一人だと色々と不便でしょうということで、例えば同居をする子供が現れたとします。

 

そうしたら、このお母さんが亡くなってしまったときには、同居をしている子供に相続をさせてあげます。そうすると、今度は同居親族になりますので80%の割引を受けることができます。

 

このような形で配偶者、そして同居の親族が現れたら同居という形で移してあげると、トータルで払う税金の負担はかなり少なくなっていきます。

 

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