相続税の小規模宅地等の評価減の特例とは|計算と改正!

 

 

相続税の小規模宅地等の評価減特例とは?

計算と改正!

 

 

いつか考えなければならないことに相続があります。あなたは相続について今どのようなことを知っておきたいですか?

 

それは損をしないための知識ではないでしょうか。そこで今回は、相続について損をしないために知っておきたい小規模宅地等の評価減の特例についてお話していきます。

 

 

小規模宅地等の評価減の特例とは?

 

小規模宅地等の評価減の特例というのは、亡くなった人が所有していた土地のうち、居住用、事業用、貸付用として使用されていた宅地について、その宅地を相続した人が引き続き居住や事業を継続する場合には、一定の面積まで土地の評価額を減額できるという規定です。

 

それでは、居住用、事業用、貸付用とそれぞれ詳しく紹介していきます。

 

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まず居住用というのは、亡くなった人が自宅敷地として使っていた土地のことです。その土地を相続した人が引き継続き自宅敷地として使用した場合、面積330uを限度に評価額を80%減額することができます。

 

ちなみに、平成14年までは面積240uまででしたが、2015年からは面積330uまでに広がっています。これは、2015年の控除額の減額による増税の影響を緩和するために適用限度面積を拡大したと言われています。

 

330uというとかなり広いですよね。100坪ですからね。

 

次に事業用ですが、事業用というのは亡くなった人が事業をしていた建物、例えばお店や工場などの建物敷地として使っていた土地のことです。

 

その土地を相続した人が引き続きその事業を継続してその建物を使用した場合には、面積400uを限度に評価額を80%減額することができます。評価額80%の減額というのは大きいですよね。

 

さらに貸付用とはどういったものかというと、貸付用というのは亡くなった人が不動産を賃貸していた土地のことです。

 

アパートや貸店舗、貸事務所などの敷地で、その土地を相続した人が引き続き貸付を継続した場合には、面積200uを限度に評価額を50%減額することができます。こちらは50%です。

 

居住用や事業用と比べて、貸付用は面積200u、減額割合50%と数字が小さくなっています。貸付も不動産貸付業として事業の一種なのですが、他の事業と違って自分自身で汗水流して稼ぐものではありませんので減額割合が低くされているのです。

 

 

居住用、事業用、貸付用の計算と金額は?

 

1u当たり10万円、面積500u、評価額5,000万円の土地の評価額を居住用、事業用、貸付用のそれぞれで計算してみると・・・

 

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居住用の場合は、10万円×330u×80%=2,640万円、2,640万円が減額でき、土地の評価額は5,000万円−2,640万円=2,360万円になります。

 

事業用の場合は、10万円×400u×80%=3,200万円、3,200万円が減額でき、土地の評価額は5,000万円−3,200万円=1,800万円になります。

 

貸付用の場合は、10万円×200u×50%=1,000万円、1,000万円が減額でき、土地の評価額は5,000万円−1,000万円=4,000万円になります。

 

ちなみに、この3つ全てを使うことはできません。居住用と事業用というのはできますが、貸付用を先に使ってしまうともう居住用とか事業用は使えないとか制限があるからです。

 

 

相続税の申告に当たり注意点は?

 

相続税の申告に当たって小規模宅地等の評価減の特例の対象地が複数あった場合は、有利なものを選択して申告をします。

 

しかしながら、小規模宅地等の評価減の特例は適用できる要件が細かく決められていますので、間違いのないよう特に神経を使うところです。

 

 

小規模宅地等の評価減の特例が適用できないケースとは?

 

小規模宅地等の評価減の特例が適用できない事例を挙げますと、例えば次のようなケースになります。

 

お父さんが又はお母さん名義の土地に父母世帯の自宅と子世帯の自宅が建っている、同一敷地内に2棟の建物が建っていて、それぞれ建物は所有しているというケースです。

 

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こうしたケースは多いですよね。そして、父母世帯と子世帯はお財布も別になっていることがほとんどだと思います。しかしながら、このままでは将来小規模宅地等の評価減の特例が使えません。

 

なぜなら、居住用の特例の適用要件は、亡くなった人の配偶者もしくは同居していた親族がその自宅敷地を相続し、かつ、相続税の申告期限までそこに居住していることが要件となっているからです。

 

父または母から子へ土地を相続したときは別棟で生活をしていたので、同居の要件に該当しません。なので特例を受けることができないのです。将来的なことを考えると一緒に住んでいた方がよい、同居というところがキーワードになるわけですね。

 

 

二世帯住宅に建て替えたら?

 

そうしますと、2棟の建物を1棟の二世帯住宅に建て替えたらどうなるのでしょうか?この場合は、最近小規模宅地等の評価減の特例が受けられるように変わりました。

 

2棟の建物を1棟の二世帯住宅に建て替えるとどうなるのか、最近は二世帯住宅でもそれぞれのプライバシーを尊重するために外階段型で、建物内部で行き来ができない構造のものが多くなっています。

 

平成25年まではこの外階段型で建物内部で行き来ができない構造のものは同居とみなされないので、親の居住していた部分に対応する敷地部分しか特例を使うことができませんでした。

 

それが平成26年に改正され、外階段型でも敷地全体に対して特例が使えるようになりました。

 

ですから、これから父母名義の土地に子世帯の住宅を建てようと考えている人や、母屋が古くなってきてリフォームや建て替えを検討している人は、二世帯住宅にするというのも検討なさるとよいと思います。

 

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ちなみに、広い敷地で少し離れたところにポツポツと建てたとしても、長い渡り廊下があればこれは大丈夫です。

 

 

老人ホームへの入居・入所に関する改正とは?

 

同じく居住用の特例で平成26年に改正されたものに、老人ホームなどに入居または入所していた場合の取り扱いがあります。

 

亡くなった人が老人ホームなどに入居・入所していた場合、自宅には住んでいないわけですから、居住用の特例が使えないということがありました。

 

この取り扱いについては以前から改正の要望があったこともあって、平成26年より次のように改正が行われました。

 

具体的には、相続開始の直前において、亡くなった人が老人ホームなどに入居入所していた場合であっても、介護のための入居であり、かつその居住用宅地が貸付けられていない場合には特例の対象となります。

 

つまり、老人ホームなどに入居入所すると、自宅は空き家になっているわけですよね。そこを人に貸していると受けられないけれど、空き家のままでしたら特例を受けられるということです。

 

 

小規模宅地等の評価減の特例が使えるのか確認を!

 

小規模宅地等の評価減の特例は、使えるか使えないかによって評価額が大きく変わります。

 

つまり、相続税額が大きく変わることになります。現状において使うことができるのか確認しておくことが大切です。特に土地がたくさんあるという方は、本当によく確認して下さい。

 

また特例は、遺産分割が決まらないと使うことができません。遺産分割協議でもめてしまうと高く税金を納めることにもなりかねません。なので、もめない対策の検討も並行して行っていくことが重要です。

 

穏やかにゆっくり話し合いながら、ですが時間は限られていますからやはりその辺の配慮は必要ですね。

 

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