相続登記は共有名義がいい?法定相続情報証明制度とは?

 

 

相続登記共有名義がいい?

法定相続情報証明制度とは?

 

 

例えば、お父さんが亡くなってお母さんと息子さんが残されたケースを考えてみます。

 

お父さんには自宅と預貯金、有価証券といった財産があります。自宅を訪問して「自宅の名義をどうしますか?」という話になると、「そこから相談したいんです」という話になるケースが多いです。

 

そこでお話を聞いていくと、「どうせ私の名義に自宅を変えたとしても、私が亡くなればまた息子の名義に書き換えなければいけないのでしょう?」「だったら直接息子の名義にしてくれればいいよ」という風におっしゃる方が非常に多いです。

 

ただ私がある説明をすると気が変わってしまうということもよくあります。

 

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その説明というのは・・・

 

お父さんの名義の自宅を息子さんに相続で移転したとします。そうすると、その自宅というのは息子さんの財産になります。当然のことですよね。そして一旦お母さんは、息子さんの名義の家に同居させてもらうという立場になるわけです。

 

相続の難しさというのは、どういう順番で相続が開始するのか、どなたが先に亡くなるかというのが、その時点ではわからないことなのです。

 

ですから、順番どおり通りにいけば次にお母さんが亡くなってということになるわけですが、不幸にもお子さんの方が先に亡くなるということもありますよね。

 

そうすると、お子さんの名義の不動産というのは、最初お父さんから息子さんに移した時には息子さんは独身だったかもしれません。

 

でもその後家庭を持たれて奥さんやお子さんがいるような場合は、息子さん名義の自宅というのは、相続で息子さんのお嫁さん、あるいはお孫さんの名義に変わってしまうということが起こり得るわけです。

 

そうするとお母さんは、お父さんと一緒に築いた財産であるにもかかわらず、亡くなった息子さんのお嫁さんの家に同居させてもらうという立場になってしまうということが起こり得るのです。これですとちょっと居心地が悪いですよね。

 

それだけならまだいいのですが、お嫁さんがその後再婚などしようものなら、ちょっとお母さんが一緒に同居するというのは難しくなりますよね。そうなると、お母さんは自分でアパートを探してどこかに引っ越さなければいけない、ということにもなりかねません。

 

ですからこの場合は、一旦はお母さん名義にしておく、あるいはお母さんと息子さんの共有名義にしておくことをおすすめします。共有にしておけば自分の持分がありますから、追い出されるということはまずありませんからね。

 

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法定相続情報証明制度とは?

 

続いて、法定相続情報証明制度とは何かというお話です。法定相続情報証明制度というのは、平成29年5月29日にスタートした新たな制度です。

 

これは、空き家問題とか被災地とかの問題を解決するために相続登記を促進しましょうという目的で導入されたものになります。なので、全く新しい仕組みです。

 

 

法定相続情報証明制度は何に使うの?

 

この法定相続情報証明制度をどういうものに使うのかというと・・・

 

相続が開始すると、不動産の名義を変える、預貯金を払い戻す、証券会社などに行って証券口座を解約する、あるいは名義を変えるという手続きをしなければなりません。

 

そのときには戸籍、亡くなった人の生まれてから亡くなるまでの戸籍、そういったものを提出する必要があります。これは銀行によってはコピーを取って返してくれます。ほとんどの銀行は返してくれます。

 

ただし、銀行の中には返せませんというところもありますし、返してもらえるということを知らずに原本を何セットも取る人もいます。戸籍を取るのには結構費用がかかりますからね。1通750円くらいしますので、まとめて取るとすぐに何千円とかいってしまいます。

 

それを知らない人は、手続きに使うからといってすぐに5セットとか10セット取ってしまいがちです。そうすると結構お金が無駄になってしまいます。この辺の手間を解決しようというのがこの法定相続情報証明制度になります。

 

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具体的に法定相続情報証明制度とは?

 

まず法務局に行って戸籍の束を提出して家系図のようなもの、この作り方には色々とルールがあるのですがこれを提出します。そうすると法務局の人がチェックをしてくれて、その家系図に印鑑を押してくれます。

 

それ以後はその証明書を持って、戸籍を持たずにその証明書だけで色々な手続きに使えるようになる、これが法定相続情報証明制度というものです。

 

今のところ登記にはもちろん使えます。銀行も大手の銀行には話がついているようですが、まだ一部どうなるのかというところがはっきりしないところもあるようです。税務署の税金の申告にもまだ使えないようです。

 

ただこの辺りはおそらく徐々に使えるように改正されていくのではないかと思われます。

 

ちなみに、今、この法定相続情報証明制度が使えるのか使えないのかという議論がなされています。インターネットなどを見ていると、「こんな制度ダメだ、意味がない」と書かれていることもあります。

 

確かに意味のない場合もあります。登記を1つだけして預貯金がほとんどない、払い戻し手続きがないという場合はこの制度を使う必要はないと思います。

 

ただし、預貯金が何ヵ所にもわたっている、不動産もいくつもの管轄で持っているという場合はかなり便利だと思います。

 

もちろん使いにくいところも確かにあります。ですが、そういったところは専門家が使ってみて、使いにくいところ改善すべきところをリストアップして、その改善を提案するということも行われているようです。

 

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法定相続情報証明制度のまとめ

 

続いて、平成29年5月29日から始まった“法定相続情報証明制度”のまとめです。この制度は相続手続きを進める際に必要となる複雑な書類収集など、手続きの簡素化を目指すための制度となっています。

 

相続手続きにおいて、まず最初に立ちはだかる課題は“戸籍収集”であるといっても過言ではありません。相続手続きを進めるにあたり最初に行うことは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を集めることです。

 

 

なぜ戸籍を集めるのかというと・・・

 

それは相続人を確定させるためです。戸籍は結婚や転籍などによりその都度変わってきますので、通常、出生から死亡までの戸籍が1通で済むことはあまりありません。

 

被相続人の財産を相続するにあたっては、預金の引き出しや不動産の登記変更など、手続き全般で出生から死亡までの戸籍の束を関係機関に提出しなくてはなりません。

 

ということで、法定相続情報証明制度というのは、こうした手間を省くために法務省が新設させた制度なのです。

 

この法定相続情報証明制度では、法務局に必要書類(被相続人の出生から死亡までの戸籍や住民票、相続人の戸籍抄本など)を提出すると、“法定相続情報一覧図”という書面の写しを法務局の証明を付けて発行してもらうことができます。

 

この際の手数料は無料です。また、何通でも発行してもらうことが可能です。なので、この法定相続情報一覧図を戸籍の代わりに関係機関に提出すれば、相続手続きをスムーズに進めることができます。

 

 

なぜこうした制度が生まれたの?

 

そもそもこのような制度が導入されたのかについては、次のような理由があるのです。

 

1つは、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加していて、所有者不明物件が増加していることがあります。もう1つは、空き家問題が深刻化していることがあります。

 

こうした色々な問題が発生したことから、相続手続きを簡素化して相続登記を促進させようという趣旨で「法定相続情報証明制度」が新設されたのです。

 

なお、当面この法定相続情報証明制度は、不動産登記手続きでの使用が認められていますが、今後は金融機関など民間機関にも利用を促す方針のようです。

 

この法定相続情報証明制度が当然にどこでも使用できるようになるにはもうしばらく時間がかかりそうですが、上手く実用化されていけば相続手続きはよりスムーズに進めることができるようになるはずです。

 

このような制度ができたのだということだけでも頭に置いておかれると、相続の際に役に立つと思います。

 

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