相続放棄で財産はどうなる?限定承認や単純承認との違いは?

 

 

相続放棄財産はどうなるの?

限定承認単純承認との違いは?

 

 

今回は、相続放棄を選択した財産がどのように動いていくのかについてのお話です。

 

その前に、相続人のうち誰か一人が相続放棄を選択した場合の基礎控除額の計算についてです。「相続放棄を選択したのだからその人は人数に含めないで計算するのでは?」と思われるかもしれません。ですが、実はその人も人数に含めて計算します。

 

これについては、保険金などの非課税枠を計算する際も同様ですので覚えておいて下さい。

 

 

さて、ここから本題です・・・

 

相続権が発生し得る人全員が相続放棄を選択し最終的に財産が残るのであれば、その残った財産は国のものになります。このことを「国庫帰属」といいます。

 

スポンサーリンク

 

 

それでは、こうした清算作業は誰がどのように行うのでしょうか?またお金を貸していた人は、泣き寝入りするしかないのでしょうか?

 

相続人全員が相続放棄をすると当然相続人はいなくなりますが、その相続財産は財産というモノから法人へと変化します。法人へと姿を変えた相続財産を管理する人を決めるために、家庭裁判所により相続財産管理人が選任されます。

 

この相続財産管理人に選任されるのは、一般的に相続に利害関係のある人です。具体定期には、お金を貸していた債権者、最後に相続放棄を選択した人、あるいは弁護士などの専門家です。

 

なお、原則として申立てがない限り相続財産管理人は専任されません。

 

 

相続財産管理人は何をする人?

 

相続財産管理人は、相続放棄を受けた財産の内訳、資産や負債を調べて、資産があればそれを現金化し、債権者が複数いる場合には平等に返済します。

 

たとえ相続財産を管理することによって資産が残りそうだとしても、申し立てには家庭裁判所に予納金として数十万円を支払う必要があることから、残った資産があまりにも少ない場合には、相続財産管理人への申し立てはしないのが一般的です。

 

お金を貸していた人が亡くなってしまい、どうしても回収したい場合には、これまで説明した流れでお金が戻ってくるかもしれませんが、負債が大きいために相続人は相続放棄を選択したのであって、全額が戻ってくることはほぼ不可能だといえます。

 

なので、もしこの手続きを進めたいという場合には、すべてを自分自身で行うことは難しいと思いますから、弁護士さんに依頼することをおすすめします。

 

スポンサーリンク

 

 

相続放棄はどのような場合に使うの?

 

相続放棄とは相続を放棄することですが、相続放棄はどのような場合に使うのでしょうか?

 

相続放棄については、簡単に言うと、マイナスの資産とプラスの資産の2つを相続するときに、マイナスの資産の方が明らかに多そうだなとか、圧倒的に多そうだなとか、そういう場合には検討すべきところです。

 

資産というと何だかプラスの方ばかりイメージしてしまいがちですが、実はプラスだけでなくてマイナスの資産、債務などもあるわけです。

 

特に多いのは事業をされていた人、もしくは何か会社を経営されていた人、あとは不動産を持っていた人とか、そういった人に関しては一定の債務を持っている人も多くいらっしゃいます。

 

また、普通の借金だけではなくて、連帯保証債務もマイナスの資産として相続するものとなってきます。なので、その辺もどれくらいあるのかというところが結構大事なところになってきます。

 

 

相続放棄の検討はお早めに!

 

プラスの資産とマイナスの資産の両方をリストか何かにして、もしマイナスの資産の方が多ければ相続放棄も検討してみてください。ただ、検討するといっても基本的には3ヶ月以内という期限があり、3ヶ月を経過してしまうと相続放棄という選択肢はなくなってしまいます。

 

なので、相続放棄を検討するとしたら、相続が発生して1〜2ヶ月、それくらいの間に「これはもしかしたら借金の方が多いかもしれない」と思った場合には少し急いで検討した方がよいです。

 

スポンサーリンク

 

 

相続放棄・限定承認・単純承認の違いは?

 

相続と一言でいっても必ずしもプラスの財産のみを差すわけではありません。

 

相続人は相続の開始時点、つまり被相続人の死亡日から一切の権利義務を承継するわけですが、場合によってはマイナスの財産、すなわち借入れや保証債務を相続する場合があります。

 

そのような場合に備えて、民法では相続の仕方を3つのパターンに分けて分類しています。

 

まず1つ目のパターンは相続放棄です。プラスの財産もマイナスの財産も一切の相続を行わないのが相続放棄です。相続開始、つまり相続のあったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをします。

 

なお、相続放棄は相続人が複数いる場合、各人の判断で行うことができ各人に効力が生じます。

 

 

2つ目のパターンは限定承認です..

 

限定承認というのは、プラスの財産に限りマイナスの財産を相続するという選択肢になります。プラスの財産とマイナスの財産の全貌が明らかでない場合に効果的です。この場合も相続放棄と同様、3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをします。

 

ただし、限定承認を一部の相続人にのみ認めると権利義務関係が複雑になることから、限定承認は相続人全員で行う必要があります。そこが相続放棄との違いになります。

 

 

3つ目のパターンは単純承認です..

 

単純承認というのは、無条件に全ての財産、つまりマイナスの財産も含めて相続する意思表示になります。相続があったことを知ってから3ヵ月間の間に相続放棄も限定承認もしなければ、単純承認したものとみなされます。これを「法定単純承認」と呼んでいます。

 

なお、それ以外にも一定の行為を行ったときには、単純承認したものとみなされる場合があります。

 

ということで、相続があったことを知った日から3ヶ月というのが相続方法を選択する期限になります。この期間のことを「熟慮期間」と呼びます。

 

膨大な相続財産、これはマイナスの財産も含みますが、調査に時間がかかるような場合は期限の延長を請求することもできますが、原則3ヶ月であることには注意が必要です。

 

スポンサーリンク

 

関連記事(一部広告含む)