妻の寄与分は?寄与分を否定した判例は?

 

 

寄与分は?

寄与分を否定した判例は?

 

 

続いて、寄与分のうち特に妻の寄与分についてのお話です。相続の事件では寄与分というのが一番主張されるところになります。

 

「自分がこれだけがんばったから財産ができているんだ」とか「自分のおかげで今の遺産があるんだ」とか、そういうことをみんなが口々に言って相続争いが紛糾するというケースも多々あります。

 

ただ裁判所で寄与分を主張するためには、きちんと寄与分の申立てというのをしなければなりません。そのうち妻の寄与分、つまり奥さんが寄与分を主張するといった場合に、通常の他の相続人に比べて若干ハードルが高い面があります。

 

というのは、妻というのは夫と相互に生活を扶助する、協力義務というものがあるからです。ですから、そういった一般的な強力扶助の範囲では当然ながら寄与分とは認められません。

 

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具体的な判例は?

 

例えば、昭和48年11月7日決定の高松高裁の判例では、妻の寄与分というものが認められるためには、一般的な夫婦の協力扶助義務を超える特別な寄与がなければいけないということを認定しています。

 

この判例は寄与分という制度ができる前の決定ではありますが、現在でもこの判例は生きていると言われています。

 

夫婦の中では相続分は1/2と決められています。それはもともと財産が夫婦の協力でできているという面があるので、半分は奥さんの権利ということで法定されているというのが趣旨です。

 

子供の場合は、子供が3人、4人といますと、1/2をさらに3人とか4人とかで分けるのですが、妻の場合は固定で1/2もらえることになっているのは、やはりそういった寄与がある程度考慮された相続分だからといえます。

 

ですから、妻が寄与分をさらに主張するということになると、例えば共同して事業をしたといえるほど事業に加わっているなどの事情が必要で、単に内助の功でがんばったというだけではなかなか難しいというのが現状です。

 

このように、寄与分というのはそれほど単純な話ではありません。寄与分を主張するということは、過去の寄与行為について具体的にそれが特別なものであったということを立証しなければならないからです。

 

ということで、もし寄与分を主張しようという際は、一度弁護士さんに相談されることをおすすめします。

 

 

寄与分を否定した裁判例は?

 

続いて、寄与分を否定した裁判例について紹介します。寄与分というのは、相続財産に寄与した相続人がいる場合に、その分相続の取り分を多くしてあげようという制度です。その寄与の程度については、「特別の寄与」が必要とされています。

 

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今回の裁判例ではその寄与が否定されたケース、札幌高裁平成27年7月28日の決定の評価になります。

 

具体的には、被相続人(亡くなった人)が簡易郵便局の仕事を事業としてしていたところ、相続人の一人がその家業に従事していたということで、その家業従事型の寄与分が認められるのかどうかが争われたケースになります。

 

そして、原審の家庭裁判所ではこの寄与分を認めていたものを、高裁ではこれを否定した覆したという決定になります。

 

どのようにして特別の寄与が認められるの?

 

さて、この家業従事型としても「特別の寄与」をしていなければならないので、どのようなものか、どのような程度の寄与があれば寄与分が認められるのか、というような諸事情を考慮して決めることとなります。

 

そして、この家業に従事していたときに、給料をもらっていたとか、対価を得ていたという場合には、それは通常の仕事と同じではないかということで特別の寄与は認められにくくなったりします。

 

一方で、仮に収入を得ていたとしてもかなり低額であったりする場合には、ほぼ無償に近いということで寄与分が認められるケースもあります。

 

逆に同居をしていたりして、生活費や住居費、食費などを被相続人に負担してもらっているという場合には、それが給料分代わりではないかということで寄与分が認められにくくなったりするケースも多いです。

 

このように対価に関しては、無償でやっているという場合には寄与分が認められやすかったりするものの、生活費を負担してもらっているというような場合には逆に認められにくくなったりする傾向にあります。

 

また無償でなく対価を得ていたとしても、その労働に対して著しく少額の場合には、無償に近いものとして寄与分が認められたりします。

 

今回のケースでは、収入については低額とはいえないという認定がされています。夫婦でこの家業に従事していたものの、夫婦で月額317,000万円程度の収入を得ていたということで、高裁では低額とはいえないというような認定をしています。

 

さらに、被相続人と同居をしていて食費や住居費の負担もしてもらっていたということで、その分も含めると十分な収入を得ていたのではないかということもあり、特別の寄与として寄与分を認めるほどではないということになり、原審の判断を覆して寄与分を否定しています。

 

ということで、このケースは家業従事型の寄与分が認められるのかどうかというときに、対価を得ているケースとして参考になるケースではないかと思います。

 

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