贈与税額控除とは|相続税の計算・申告方法は?

 

 

贈与税額控除とは?

相続税計算申告方法は?

 

 

今回は、贈与税額控除という制度についてのお話です。贈与税額控除というのは、わかりやすく言うと、相続税と贈与税の二重課税を防ぐための制度といえます。

 

つまり、生前贈与を受けたことによって贈与税を支払っていた人が贈与者の相続人となり、相続税の納税義務が発生する場合にこの制度を使うことができるということです。

 

通常、相続開始3年以内に被相続人から相続人に対して行われた贈与財産は、金額の大小にかかわらず、全てが相続財産とみなされます。つまり、相続税の課税対象となるわけです。

 

 

贈与税額控除を事例で検討!

 

例えば、被相続人Aが平成29年2月1日に亡くなって相続が発生したとします。相続人Bが平成27年5月1日にAから1,000万円の贈与を受けていたとすると、その贈与財産は相続財産としてみなされます。

 

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この場合、相続時精算課税制度を利用していなかったため、1,000万円から贈与税の非課税枠である110万円を差し引いた額に税率を掛けて贈与税を計算し117万円を贈与税として納税することになります。

 

被相続人Aの相続財産は1億円で、相続人はBとその妹Cのみで、1億円から基礎控除額(4,800万円)を差し引いた5,800万円(1億円−4,800万円)を法定相続分で分割した2,900万円に相続税が発生します。

 

しかしながら、Bには相続発生3年以内に贈与があることから、2,900万円に1,000万円を足した3,900万円(2,900万円+1,000万円)に相続税が発生することになります。

 

Bの相続税を計算すると580万円になりますが、BはAから1,000万円の贈与を受けた際に117万円を贈与税として納税しています。

 

相続税の580万円とあらかじめ納税していた117万円の贈与税の両者を支払えば相続税と贈与税の二重課税となってしまいます。なので、580万円から117万円を差し引いた463万円(580万円−117万円)を相続税として納税すればよいということになります。

 

 

もし他からも贈与を受けていたら?

 

仮に被相続人A以外に叔父であるDからも同じ年に500万円の贈与を受けていた場合には、1,000万円と500万円を足した額に、贈与税の非課税枠である110万円を差し引いたもの(1,000万円+500万円−110万円=1,390万円)に贈与税が発生します。

 

これを計算すると、394万円の贈与税を納めることになります。

 

しかしながら、被相続人Aの相続時にあらかじめ納めていた贈与税394万円を相続税から差し引いてしまっては、その中には叔父から贈与を受けた財産に対しても贈与税が含まれていることになるので、再度計算し直します。計算式は・・・

 

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■納税した贈与税額×被相続人から贈与を受けた額÷合計贈与財産額

 

となります。この計算式に先ほどの事例を当てはめると、

 

⇒ 394万円×1,000万円÷1,500万円=262万円

 

となります。つまり、262万円を相続税から差し引くことができるのです。ちなみに、相続時精算課税制度を利用していて、2,500万円の非課税枠を超えた贈与を受けたことにより贈与税を納税していた場合にも、贈与税額控除の適用が可能です。

 

「贈与税は税率が高いので、相続が発生したときに一度に相続税を納税しよう」と考えたい気持ちもわかりますが、一度に大金を納税するのは相続人にとってかなりの負担になります。

 

税金を分散させて納税するという意味合いも含まれていますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

贈与税の申告方法は?

 

続いて、贈与税の申告方法についてのお話です。贈与税の申告手続きはいつまでにすればいいのかご存知ですか?贈与税というのは、1月1日から12月31日までの1年間単位で課税されます。また、申告期限は贈与をした翌年の2月1日から3月15日までです。

 

ちなみに、申告が遅れると加算税などの罰金が発生します。およそ年利15%程度の支払いがあると考えておいて下さい。贈与税の申告者については、贈与を受けた人に納税義務が発生し、贈与を受けた所在地の税務署に申告書を提出します。

 

なお、贈与を受けた人の住所地ではありませんので注意して下さい。

 

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暦年課税制度の贈与税の申告手続きは?

 

贈与を受けた額が暦年課税制度による年間110万円以下である場合には、もちろん贈与税を申告する必要はありません。ただし、税務調査に入られても正当に贈与を主張できるように、贈与契約書は作成しておいた方がよいです。

 

暦年課税制度では、非課税枠である年間110万円を超えた部分に対して贈与税が加算されます。

 

つまり、仮に115万円を贈与したとしても、115万円全額が贈与税の対象になるのではなく、110万円を超えた5万円に贈与税がかかるということを頭に入れておいてください。

 

納税に関しては、税務署だけでなく金融機関や郵便局の窓口でも納税することができます。また相続税と同様に、贈与税を払い過ぎていた場合には、6年以内であれば更正の請求ができます。

 

 

贈与税の申告手続きの注意点は?

 

仮に贈与により財産を取得した人が申告書を提出しないで死亡した場合には、その人の相続人が贈与税の申告書を提出することとなります。この場合の提出期限は、相続税の申告と同じです。つまり、相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内です。

 

なお、贈与税の申告書は国税庁のホームページからダウンロードできますので、それほど難しい作業にはなりません。

 

また、暦年課税制度に限らず、相続時精算課税制度や贈与税の配偶者控除、住宅取得資金の非課税制度など、その他の贈与に関しても同様に、国税庁のホームページで申請書をダウンロードできます。

 

暦年課税制度以外の贈与の場合は、たとえ贈与税がかからなくても、申告書の提出が義務付けられています。贈与税の配偶者控除に関しては、他にも戸籍謄本や住民票などが必要になってきますので、よく調べてから手続きを進めていくようにして下さい。

 

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