遺留分減殺請求とは|期間・期限、計算方法、注意点は?

 

 

遺留分減殺請求とは?

期間期限、計算方法、注意点は?

 

 

今回は、遺留分減殺請求についてのお話です。遺留分減殺請求とは何かというと、よく色々なところでお話するのですが、遺産分割はどのように進むのかと合わせて考えるとわかりやすいです。

 

例えば、夫Aさん、妻Bさん、子供Cさん、Dさんの4人家族でAさんが亡くなったとします。

 

亡くなったAさん名義の土地を、例えばBさんやCさん、Dさんに移すのに何が必要かというと、これは法務局に遺言書あるいは遺産分割協議書を出して下さいということになります。

 

ということは、もし仮にAさんが「全財産をCに相続させる」という遺言書を残していたらどうなるでしょうか?

 

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BさんもDさんも法定相続人ですが、Cさんが遺言書を法務局や銀行に持っていってしまえば、すべての財産がCさんのものになってしまいます。つまり、BさんやDさんのハンコは要らないのです。Cさんが遺言書を使って全部自分のものにできるのです。

 

では、それでいいのか?という話になりますよね。

 

 

遺留分減殺請求を具体的事例で・・・

 

例えば、Bさんという立場は、相続人は誰かという話をするときに順位でいうと0番、とにかく最優先、いたら必ず遺産がもらえるという立場です。一方、Dさんというのは第1順位です。つまり、非常に相続権の強い人たちです。

 

そうすると、相続権が強いというのはどういうことかというと、「Aさんが亡くなったら遺産がくるだろう」というように期待していても当然ということです。そう考えると、何もなしではかわいそうですよね。そこで認められたのが「遺留分」という権利です。

 

それでは遺留分はどのようになるのかというと・・・

 

Aさんの名義の土地と建物があったとします。まず遺言書を使うことによって、Aさんの名前が全部Cに書き換わります。次に、遺留分減殺請求というものをDさんが使ったらどうなるでしょうか?

 

その場合、DさんがCさんに対して「遺留分減殺請求をするぞ」と通知した瞬間に不動産(遺産)が1/8Dさんにいきます。

 

 

それでは、その後どうするかという話になりますが・・・

 

実際には「遺留分減殺請求をするぞ」とCさんに言うと、理屈ではその瞬間にDさんの遺産の1/8がくるのですが、名前はCさんのままです。

 

そうすると、まず最初に通知をします。次に登記を移しなさいとなります。実際の財産の状態はDさんが1/8なのに、登記はCのままですから登記を移しなさいといういことになるわけです。

 

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このように2段階で権利を行使することになります。ここで、権利があるのに2回手続きをしますが、重要なのは「通知」の方です。なぜなら、この通知がいった瞬間にもう遺留分はもらったことになるからです。これが遺留分減殺請求というものです。

 

 

遺留分減殺請求できる人は?

 

続いて、遺留分減殺請求は誰がどれだけできるのかという話です。前述のケースでは1/8と言いましたが、これは決まっています。

 

まず誰が遺留分減殺請求通知ができるのかという話からです。「誰が?」ということでいうと、亡くなった人の配偶者、第一順位の子供、第二順位の親ができます。

 

では第三順位の兄弟姉妹はどうかというと、遺留分減殺請求はできません。もともと兄弟姉妹が財産をもらうというのは、俗な言い方をすると“タナボタ”だと言われています。

 

普通、財産というのは奥さんは子供に流れていきますし、万が一奥さんや子供がいないのなら親に戻っていくわけですからね。

 

そうすると、兄弟姉妹は第三順位だし、もともとあまり期待していないから、遺留分という形を使わせてあげなくてもいいだろうということになっているのです。

 

 

遺留分減殺請求はどれだけできるの?

 

遺留分減殺請求がどれだけできるのかというと、基本は法定相続分です。「法定相続分×□」という話になります。この法定相続分に何分の1を掛けるのかというのは、1/2の場合と1/3の場合があります。

 

法定相続分の1/3しか認められない場合というのは、法定相続人が親だけの場合です。この場合は、遺留分として法定相続分のさらに1/3ということになります。

 

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一方、そうでない場合、配偶者やお子さんが遺留分減殺請求を行使するという場合や、法定相続人が何人かいる場合、その場合には1/2になります。つまり、親だけが法定相続人というときは1/3、そうでなければ遺留分の割合は1/2ということです。

 

法定相続分に遺留分の割合1/2を掛け合わせると、自分が遺留分としてどれだけ最低限確保できるのかというのがわかります。なので、先ほどの1/8というのはどういう計算をしたのかというと・・・

 

もともとDさんの法定相続分は、奥さんとお子さんなのでそれが1:1、CさんとDさんで1/2、さらに対等な人が2人いるので頭割りで1/2、つまり1/4(1/2×1/2)がDさんの法定相続分となります。

 

そして、遺留分はどれだけかということになると、お子さんが法定相続人の場合なので遺留分割合は1/2、つまり1/4×1/2=1/8という数字が出てきます。

 

 

遺留分減殺請求の注意点は?

 

遺留分は基本的には以上のような権利なのですが、少し注意していただきたい点もいくつかあります。

 

まず1つ目の注意点は期間制限、つまり期間・期限があるということです。これは1年です。どこから1年かというと、「自分は遺留分よりも少ない財産しかもらっていない」そんな遺言書があると知ったときから1年です。

 

では、1年請求しないとどうなるのかというと、遺留分減殺請求はできなくなります。

 

つまり、遺留分減殺請求というのをどうして法律が認めてあげたかというと、法定相続人として順位の高い人、配偶者や子供、親というのは、遺産が入るだろうと期待をしているから期待を守ってあげようということなのです。

 

ところが、遺留分をもらえるのに要らないという人にあげる必要はありませんよね。そうすると、遺言書のとおりでいいじゃないか、故人の意思を尊重しましょうということになるのです。ですから、期間内に請求した人だけ遺留分がもらえるという点には注意して下さい。

 

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2つ目の注意点は?

 

2つ目の注意点は価額弁償という制度についてです。この制度はどういったものかというと・・・

 

先ほどの事例ですと、DさんがCさんに言うときは「遺産の1/8をください」という話しかできません。ですから、例えば遺産の現物である不動産の「共有持分の1/8をください」「登記をしなさい」ということしか言えません。

 

ですが、CさんはDさんに対して現物を1/8あげてもいいのですが、遺留分に相当するお金を払うということをすれば、お金で済ませることもできます。これが価額弁償という制度です。

 

なので、遺留分について知っておいていただきたいのは、請求する側には選択権はありませんが、請求される側にはモノを渡すかお金を渡すかという選択があるということです。

 

 

3つ目の注意点は?

 

では具体的に遺留分をどうやって計算するのかということになりますが、これは遺産分割と似たような話になります。つまり、遺産に遺留分の割合を掛ければ、遺留分に相当する財産がどれくらいなのかわかります。ただ、ここで注意していただきたいのは・・・

 

遺産分割のときには「特別受益の持ち戻し」という制度と「寄与分の控除」という制度がありましたよね。これが遺留分を計算するときには、特別受益の持ち戻しはできますが、寄与分の控除はできません。

 

つまり、遺留分減殺を請求する人が寄与分を主張して自分の遺留分を増やしたり、遺留分減殺請求された人が寄与分を主張して遺留分を減らすということはできないということです。

 

以上が遺留分減殺請求という制度の概略になります。

 

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