相続税の修正申告・更正の請求とは?
相続税の申告期限は?
相続税を納付した後、本来の相続税額より多かった、あるいは少なかったと発覚するケースは比較的多く見受けられます。申告した相続税額が少なかった場合には、「修正申告」の手続きを税務署で行います。
この際、足りなかった相続税を納めるだけでなく、加算税や延滞税が賦課されますので非常にもったいないです。修正申告をしなければならなくなってしまう人は、財産の漏れや財産の評価誤り、財産の特例適用誤り、などが原因となることが多いですから注意して下さい。
一方、相続税を多く申告していたら「更正の請求」を行えます。更正の請求は、相続税の申告期限から5年以内に申告する必要があります。申告していた相続税額が多すぎると認められれば、後日過払い金が還付されます。
あまり相続に詳しくない専門家に依頼したために、多く相続税を納めていたというケースは実際かなりあります。
更正の請求に関しては、多くて億単位、平均でも1,000万円程度還付されるケースもありますから、ひとりの専門家に頼るのではなく、セカンドオピニオンとして複数の専門家に依頼することも、一つの選択肢に入れておくとよいと思います。
相続税の申告期限は?
次に相続税の申告期限のお話です。相続税というのは、相続の開始から10ヵ月以内に申告書を提出して税金を納めなさいということになっています。そして、この相続税の開始というのは、お父さん、お母さんが亡くなった日です。
ですから、そこから10ヵ月以内です。例えば、1月20日に相続が開始されたとすると、11月20日が相続税の申告期限ということになります。相続税の申告期限が10ヵ月以内というお話をすると、「そんなにあるのか」とたいていの方がおっしゃいます。
確かに10ヵ月といったらほぼ1年ですから、「ずい分ゆっくり準備ができるな」と思われるのかもしれません。
ですが、案外これが大変なのです。というのは、相続が開始されると当然のことながらお通夜があって葬儀があって、そして四十九日、そういったことがパタパタと続くからです。
相続放棄は3ヵ月以内、準確定申告は4ヵ月以内です!
それから、相続放棄もあります。「相続財産はいりません、マイナスの財産を含めていりません」というの相続放棄は、相続開始後3ヵ月以内にしなければいけません。
さらに、お父さんやお母さんが商売をやっていた場合です。その亡くなった方の確定申告のことを「準確定申告」といいますが、これは亡くなってから4ヵ月以内にしなければいけません。
また、当然のことながら、遺言書の確認があったり、お父さんやお母さんがどんな財産を持っていたのかという財産の確定、そういったものを調べたり、それを評価したりということもあります。
そして、これは相続のメインイベントですが、相続人間でその財産をどう分けるのかという話し合いもしなければなりません。
このとき相続人がお互いに近くに住んでいればいいですが、離れ離れに住んでいるとなかなか話をする機会も滅多に設けることができませんから、これもなかなか大変ということになります。
というように、10ヵ月というのは長いようで結構短いです。
最後の最後でバタバタとやってしまったりということもあります。ということで、10ヵ月ということであまりゆっくり構えていると、最後の方で慌てなければいけないということにもなりかねませんので、この辺のところはしっかりと覚えておいて下さい。
相続税の申告期限を延ばす方法とは?
相続税の申告期限を延長する方法はあるのかというお話です。結論から申し上げますと、申告期限を延ばす方法というのは通常ありません。一応、相続税の申告は、相続開始の日から10ヵ月以内という期限が決まっていますからね。
もちろん、災害などその他やむを得ない事情などでしたら、税務署で申請すると申告期限の延長が認められるケースもあります。ですが、通常であれば、やはり認められないということになります。
一方、申告期限は延長できませんが、納税を延長させる方法というのはあります。これには、いわゆる「延納」と呼ばれる方法と「物納」と呼ばれる方法があります。
ただ、延納ですと金利がかかりますし、また、物納であれば不動産がうまく収納できるような不動産があるかどうか、そのための組み換え作業などがあったりします。なので、これらはそう簡単ではありません。
それから、申告に関しては期間を延長できませんので、実務上分割できていないような場合には未分割で申告するというようなことがあります。そして、後で分割できた場合に「更正の請求」、人によっては「修正申告」を行います。
ということで、こうした方法を使って後からそれを確定させるということもあったりしますが、基本的に申告期限自体を延ばす方法はないということになります。