遺産分割協議書の必要書類は?
押印と印鑑証明が必須!
遺産分割協議書の作成というのは、法律上は必要ありませんが実務上は必須です。遺産分割協議というのは、法律上は相続人全員が合意のみによって成立します。1回でも話し合いでそれぞれが納得すれば、それで法律上は有効だということです。
しかしんながら、実務上は遺産分割協議書を作成しないと、遺産分割の手続きを進めることができません。例えば、不動産があって登記をする場合も、必ず遺産分割協議書が必要になります。
法務局からすれば、「話し合いで決まりました」と言ったところでそれを示す証拠がないわけですから、手続きが進められないのは当然ですよね。
銀行も同じです。預金を引き出す場合に遺産分割協議書がないと、わざわざまた全員が集まって印鑑を押すということをしていきます。また集まって印鑑を押すくらいなら遺産分割協議書を作成しておいた方がいいですよね。
車や他の名義のものについても、実務上はほぼすべて同じです。
遺産分割協議書がないと話し合いが進みませんし、手続きも進みません。つまり、法律上は遺産分割協議書を作成する必要はないのですが、実務上は必須なので作成しなければならないということです。
話し合いで済ませたいなとか、わざわざ書類を作成したくないなとか、そういう気持ちはわからなくもありません。ですが、必ず遺産分割協議書は作成するようにして下さい。
その際に、専門家に相談するのも1つの方法です。なお、基本的に遺産分割協議書を作成できるのは、弁護士と行政書士だけです。司法書士は不動産に関するものだけ、登記に関係する時だけ、遺産分割協議書を作成することができます。
遺産分割協議書に署名と実印が必須なの?
遺産分割協議書は、相続人全員が署名、実印での押印が原則です。法律上は、遺産分割というのは話し合いのみで成立します。
しかしながら、実務上は全員が署名し、かつ、実印での押印をしたものでないと遺産分割協議書と認めない人の方が多いです。
これはどういうことかというと、行政がまず認めないのです。登記をする場合に当たっても、実務上は、必ず遺産分割協議書には署名、かつ、印鑑証明書が付いた実印での押印が必要になるからです。
他の行政機関でも同じです。これは銀行でもほぼ同じです。なので、実務上は必ず署名と押印しているわけです。これがないと遺産分割協議書と認められないことが多いからです。
ただ、法律上は特に必須ではありませんので、遺産分割協議が成立したことを裁判で争う場合に、「これは実印が押していないから〜」ということは基本的には通じません。なぜ実印を押していないのか問題にはなりますけれど。
ですから、この点には注意して下さい。つまり、必ず遺産分割協議書を作成する場合は、それぞれが実印で押印し、かつ、印鑑証明書を添付することです。
ちなみに、住所については特に気にしなくて構いません。
住所については、わかっている人の場合は、先にパソコンのワープロで記入してしまうとよいです。その方が確実ですし、書き間違えたりすると後々面倒ですからね。本人の署名が自筆で、かつ、印鑑証明書付きの実印が押してあればこれで構いません。
なぜ遺産分割協議書を作成するの?
遺産分割協議書というのは、相続人同士が遺産分割協議を終えた後に作成するものですが、法律的に遺産分割協議書を作成する義務はありません。
ただ、後のトラブル防止のためにとか、合意内容の明確化、蒸し返し防止などの観点から、遺産分割協議書は作成しておくことをおすすめします。
遺産分割協議書には、特に定められた書式というのはありません。ただ最近では、ネット上であるとか市販の書籍に、遺産分割協議書の雛形が書いてありますので、おおむねその通りに書いていけばいいです。
注意点としては、財産内容を明確に書くということです。例えば、不動産であれば登記事項証明書どおりに書くとか、預貯金であれば銀行口座、口座番号、口座名まできっちり書いておきます。後々のために、曖昧な表現を避けるのが一番大きなポイントです。
遺産分割協議書を作成しておけば、その後の登記手続きや金融機関の手続きにも使えます。金融機関も遺産分割協議書がない場合には、「作って下さい」と言われるケースもありますので、作成しておくのが無難です。