相続対策|保険料贈与で生命保険に加入するメリット!注意点は?

 

 

保険料贈与で生命保険に加入するメリット!

注意点は?

 

 

今回は、相続対策としての生命保険の活用法として、保険料を贈与して保険に加入するメリットについてのお話です。

 

相続対策としての保険の活用方法の1つに、保険料(お金)を子供や配偶者など相続人予定者に贈与して、そのお金で自分(被相続人対象者)に生命保険を掛けてもらうという方法があります。

 

例えば、父親(被相続人対象者)が保険料を子供に贈与して、子供が自身を受取人として保険料を支払います。

 

この場合、贈与した父親(被相続人対象者)が死亡しても、受け取った保険金については相続財産に含まれません。なので、受け取った保険金に相続税が課税されることはありません。

 

しかも、贈与した金額が贈与税の非課税枠110万円以内であれば贈与税もかかりません。

 

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ただし、受け取った保険金は一時所得として所得税の対象になります。ただ、この場合、保険金から払込保険料総額と50万円を差し引いた金額の1/2が総合課税の対象となる保険金となりますので、比較的税負担は軽くなります。

 

■総合課税の課税所得金額=(保険金−払込保険料総額−50万円)×1/2

 

特に父親が亡くなった場合の相続税の税率が高い場合などは、税金的なメリットも大きくなる場合が多いので、納税資金対策としても有効です。

 

 

相続対策で保険料を贈与する場合の注意点は?

 

保険料を贈与する場合は、主に4つの点に注意して下さい。

 

1つ目の注意点は、できるだけ毎年、贈与契約書を取り交わすことです。ただし、毎年同じ金額にならないようにするなど、定期贈与契約とみなされないように注意して下さい。

 

2つ目の注意点は、贈与を受ける人が日常使用している預金口座に現金を振り込んで、その口座から保険料を支出することです。これは保険料の贈与に限ったことではありません。

 

例えば親が子供に現金を贈与する場合に、親が子供の預金口座を管理していて子供が使用している実態が見えないときには、「名義預金」とみなされる恐れがあります。ですから、贈与を受ける人が日常使用している生活口座が好ましいといえます。

 

なお、税務署側の事務連絡文では、「贈与の事実が認定できるものなどから、贈与事実の心証が得られたものはこれを認めることとする」とされています。

 

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3つ目の注意点は、生命保険料については、贈与者、例えば親の生命保険料控除としないことです。

 

4つ目の注意点は、贈与額が110万円以上となる場合は、贈与税の申告書を提出することです。

 

 

保険料贈与で生命保険に加入するメリットを事例で検討!

 

続いて、保険料を贈与して保険に加入するメリットについて、さらに詳しく解説していきます。ちなみに、わかりやすくするため、効果の出やすい二次相続、母親が亡くなった場合で相続人が子供2人のときのシミュレーションをもとに説明していきます。

 

シミュレーションでは毎年同じ金額を贈与していますが、実際に贈与する場合には、「定期贈与契約に関する権利の贈与」とみなされないような注意が必要となります。

 

【事例】母親の相続財産、課税価格が2億円で、子供2人の場合の相続税額は3,340万円となります。

 

そこで、例えば毎年300万円ずつ子供2人に贈与して、子供たちがそれぞれ契約者(保険料負担者)となり、母親(65歳)を被保険者にした10年払いの終身保険、保険金3,100万円、受取人は子供、という生命保険に加入したとします。

 

母親が子供に現金を贈与し、子供たちが母親を被保険者、受取人を子供とした終身死亡保険に加入します。

 

すると、年払い保険料300万円、10年払い保険料総額3,000万円となります。ここでは、契約者と受取人が子供なので、保険金は子供の一時所得になり総合課税の対象になります。

 

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すると、受け取った保険金の課税所得金額は、(保険金3,100万円−払込保険料総額3,000万円−50万円)×1/2=25万円となりますので、所得税と住民税が40%の場合の人でも、1人分の税金は10万円(25万円×40%)で済みますので、2人分なら20万円となります。

 

 

相続税と贈与税はどうなるの?

 

それでは次に相続税と贈与税の計算をしてみます。毎年600万円の贈与を10年間したとして、単純計算で10年後に母親の財産が6,000万円減ったとします。

 

相続財産は、2億円から6,000万円を差し引いて1億4,000万円となった場合、相続税は1,560万円となります。つまり、相続税だけを考えれば、1,780万円(3,340万円−1,560万円)安くなるということです。

 

ただし、年間300万円の贈与の場合、1人分の贈与税が19万円かかりますので、10年分では190万円、それが2人分で380万円かかります。そして、先程計算した受取保険金の所得税等が2人分で20万円かかります。

 

ですから、単純計算ではありますが、税金のメリットは、相続税が△1,780万円、贈与税が+380万円、所得税が+20万円で、合計の税金のメリットは△1,380万円ということになります。

 

なお、このシミュレーションは、あくまでも考え方の説明としての数字です。実際の保険料等は保険会社によっても異なりますので、あくまでも参考値として捉えて下さい。

 

それから、「相続財産を減らすために子供に現金を贈与したいけれど、単に現金を贈与すると子供が浪費してしまうのではないか」と心配する親にとっては、税金以外のメリットもあるといえます。

 

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