家族信託(民事信託)のメリットとは|活用事例と相続税対策!

 

 

家族信託(民事信託)のメリットとは?

活用事例と相続税対策!

 

 

家族信託(民事信託)を活用するメリットは、大きく分けると2つあります。1つ目のメリットは、成年後見制度ではできなかった相続税対策や積極的な資産運用ができることです。

 

成年後見制度というのは、本人のための制度であって、将来の相続人になる人たちのためのものではありません。そのため、成年後見制度を使っても、相続税対策は裁判所が認めてくれません。

 

また、本人の財産を守るための制度ですから、積極的な資産運用は認められず、預貯金のものはそのまま預貯金で管理するということになります。

 

一方、家族信託(民事信託)の場合は、例えば、親が元気なうちから子供に資産の管理・運用・処分を任せて、将来親が判断能力を喪失したとしても、子供が引き続き財産の管理・運用ができます。

 

例えば、不動産を購入したり、買い換えをしたり、アパートの建設等をして、相続税対策をすることもできます。

 

スポンサーリンク

 

 

2つ目のメリットは、何代にも渡って財産の承継者を決めることができることです。

 

通常の民法上の遺言ですと、2次相続以降の資産の承継先を指定することができません。例えば、「私が死んだら息子に財産を相続させる、その後、息子が死んだら○○に相続させる」というように、次の次の人を指定することはできません。

 

この点、家族信託(民事信託)ですと、受益権の承継者を指定するという形で2次相続以降の資産の承継者の指定が可能となります。一般的には“受益者連続信託”と呼ばれる方法になります。

 

 

受益者連続信託の活用事例1

 

受益者連続信託は、一族の資産の流出を回避したいときに使うことができます。

 

例えば、わかりやすいように「サザエさん」の家族を例に考えてみます。まず登場人物として、財産を持っている本人、波平がいます。波平はアパートを持っています。家族構成としては、長女のサザエはマスオと結婚して子供のタラオがいます。

 

また、波平には息子である長男のカツオがいます。カツオは花沢花子と結婚していますが子供はいません。波平はこのアパートを長男カツオに相続させたいと考えています。

 

ただ、遺言で波平がカツオにアパートを相続させるとした場合、将来波平が亡くなると、このアパートはカツオが所有者となります。

 

カツオが所有者となって、将来カツオが亡くなった時に、相続人はカツオの妻である花子の法定相続分は4分の3です。また、カツオの兄弟姉妹であるサザエも4分の1の相続分を持っています。

 

ただ、法定相続分でも、ほとんどの法定相続分はカツオの妻である花子にあります。また、カツオが遺言書で「花子に全財産を相続させる」としてしまうと、カツオの財産は全部カツオの妻である花子にいってしまいます。

 

スポンサーリンク

 

 

この場合、カツオの妻である花子が亡くなると、花子の相続人は、子供がいませんので花子の親が生きていれば親になります。親が亡くなっていれば花子の兄弟姉妹にいってしまいます。

 

結局のところ、波平のアパートについては、花沢家のものになってしまうということになります。

 

波平としては、自分が手に入れたアパートを最終的には、カツオ夫婦が亡くなった後は、長女サザエの子供である孫のタラオに承継させたいと考えています。このようなときに家族信託(民事信託)が活用できるのです。前述の受益者連続信託がそれです。

 

 

波平からタラオへの受益者連続信託は?

 

まず波平を委託者、タラオを受託者として波平のアパートを孫のタラオに信託します。そして、波平が生きているうちは波平を第一受益者として、タラオが管理したアパートの利益を波平に分配します。

 

波平が亡くなったら、波平が亡くなるのを条件に、カツオが第二受益者となるように信託を設計しておきます。そうすると波平が亡くなった後は、カツオが第二受益者としてアパートの利益をタラオから受けることができます。

 

カツオが亡くなった場合は、カツオの妻である花子を第三受益者に指定しておいて、信託された財産から利益の分配を花子が受けるように設定しておきます。

 

そして、カツオの妻花子が亡くなった際は信託契約を終了して、残った財産についてはタラオが承継すると指定することができます。

 

 

タラオが亡くなったらどうなるの?

 

この場合、受益者が転々とすることによって、信託期間がかなり長くなると考えられます。その際、受託者タラオが亡くなってしまったらどうすればいいのでしょうか?

 

信託契約であらかじめ受託者が死亡した場合、後任の受託者を定めることも可能です。また、後任受託者を指定する人を定めることもできます。特に規定がなければ、委託者と受益者の合意で受託者を選任することになります。

 

スポンサーリンク

 

 

なお、受益者連続信託では、受益権が死亡によって移っていくことになりますが、死亡によって受益者の変更があった場合は、相続税の対象になります。

 

 

受益者連続信託の活用事例2

 

登場人物として、まず財産を持っている本人(60歳)がいて、過去に前妻と離婚しています。前妻との間には息子(30歳)が1人います。本人が亡くなったら、息子は父親の財産は将来自分が相続するのだと思っていました。

 

ところが、本人が再婚して後妻を迎えたいと言い出しました。そうすると本人の相続人は後妻と息子の2人になって、相続分はそれぞれ2分の1ずつです。

 

しかし、本人に遺言書で「後妻に全部財産を相続させる」と書かれてしまうと、遺留分は息子にありますが、ほとんどの財産が後妻にいってしまいます。

 

そして財産が後妻にいって、今度は後妻が亡くなると、息子は後妻の相続人ではありませんから、後妻に子供がいれば、後妻の財産はその子供にいってしまうことになります。

 

このようなケースでも家族信託(民事信託)が活用できます。

 

まず財産を持っている本人を委託者、息子を受託者として財産を信託します。

 

そして、受益者を本人にまずしておいて、自宅不動産などを受益者として本人が住む権利を有しているとします。本人が将来亡くなった時は、第二受益者として後妻を指定しておきます。これで後妻も受益者として自宅不動産に住む権利を有します。

 

そして、後妻が亡くなった後は信託を終了して、残余財産の承継者、帰属権者として息子を指定しておけば、最終的に後妻が亡くなった後の財産は、後妻の子供にいかずに息子に承継させることができます。

 

スポンサーリンク

 

関連記事(一部広告含む)