遺産相続の遺言書作成の効力|遺言状・遺言書とは?意味は?

 

 

遺産相続の遺言書作成の効力

遺言状・遺言書とは?意味は?

 

 

前回は、相続財産の分配方法とか配分割合についてのお話でしたが、これは民法という法律が1つの指針として「遺産は一応こういうふうに分けなさい」と決めているものです。

 

では「その通りに遺産を分けなくてはいけないのか」というと、決してそうではありませんというのが今回のお話です。

 

例えば、夫婦2人に子供3人の5人家族だったとします。夫が亡くなる予定の被相続人だった場合、この被相続人には伝家の宝刀があります。伝家の宝刀というのは、この場合でしたら、夫の一存で相続人を指定できる権利のことです。

 

お父さんの考えた通りに財産を分けてもらうことですが、これが「遺言書」「遺言状」というものです。遺言書とか遺言状というのは、一般用語としても普及していますし、テレビドラマや映画の題材にもなっていますから聞いたことはあると思います。

 

この遺言手続きというのは、どのように財産を配分していくのか、どのような割合で配分していくのか、というルールを一切無視して特定の人に遺産を一方的にあげるという指示をすることができる制度です。

 

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例えば、前述の家族構成の場合、法定相続の配分方法は、妻が2分の1、子供全員で2分の1ということになります。つまり、妻が2分の1、子供はそれぞれ6分の1(1/2÷3)ずつというのが法定相続による配分です。

 

 

遺産相続の遺言書作成の効力とは?

 

ですが、夫の伝家の宝刀、亡くなっていく人の伝家の宝刀として遺言書を使うと、この配分指定や割合を変えることが可能です。

 

例えば、夫が自分の全財産を妻に残したいということなら、「すべての財産を配偶者にのみ渡す」という遺言状を作れば、本来は子供に6分の1ずついくべき相続権を無視して、妻に全部渡すということも、遺言手続きの中ではできます。

 

もちろんこれは配偶者でなくても、子供に対しても渡すことができます。

 

例えば、長男、次男、三男といたら、「全財産を次男に譲る」という遺言状を作ることもできますし、「長男一人にあげる」という遺言状を作ることもできます。また、「配偶者にはあげずに子供だけにあげる」という遺言状を作ることもできます。

 

子供が3人いたら2人にだけとか、子供たちそれぞれの配分を決めて指定することもできます。これが遺言という手続きであり遺言の効力になります。

 

 

遺言状・遺言書とは?意味は?まとめ

 

遺言はある意味法定相続を無視して、本人の自由な裁量によってその指示をしていくということになります。何も取り決めがない場合は法定相続が出てきますが、基本的には本人の考えの方が優先されます。

 

ですから、取り決めの具体的な手続きとして遺言という手続きをとっていれば、特定の人に特定の財産を特定の部分だけあげることができます。

 

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実際に遺言状を書きたいとなった場合には、いくつかある遺言の手続きの中でも「公正証書遺言」が一番間違いのない手続きなのでおすすめです。なお、遺言状の書き方については別途解説していきます。

 

ということで、今回は相続財産の配分方法で、被相続人側がコントロールできる手続きとして、遺言手続き、遺産相続の遺言書作成の効力について紹介しました。

 

 

遺言書(遺言状)とエンディングノートの違いは?

 

遺言書(遺言状)というのは、エンディングノートとは別物です。最近、いわゆる「終活」という言葉が流行っていたり、こうした活動をしている方が増えています。

 

そして、その活動の中でエンディングノートと呼ばれるノートに、自分のこれまで生きてきた歴史や財産、知り合い、色々な思いなどを書き綴っていたりします。

 

また、このエンディングノートには、「葬式はこうして欲しい」など、そういったこともたくさん書きますので、何か遺言であるかのような錯覚に陥りがちです。

 

でも、エンディングノートというのは遺言ではありません。つまり、エンディングノートに書かれたことは遺言にはなりませんし、遺言書(遺言状)としては取り扱われないということです。ですから、遺言書は遺言書で別に作る必要があります。

 

エンディングノートを書いていくと結構な労力がかかりますので、そこで疲れてしまうということもあります。ということで、エンディングノートを書く前に、まずは遺言書(遺言状)の方を先に作ることをおすすめします。エンディングノートは後でじっくり書いていけばいいのですから。

 

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遺言書の効力はいつから?

 

遺言が効力を発生するのはいつかというと、これは遺言を作った、例えば公正証書を作った時ではなくて、実際にその人が亡くなった日になります。つまり、亡くなった時に初めて遺言の効力が出てくるということです。

 

ですから、亡くなる直前のことを遺言に書いてもあまり意味がありません。例えば、尊厳死のような内容であったり、病床にいるときの問題など、まだ亡くなっていない少し前の状況を遺言に書いても、ほとんど意味がないということです。

 

あくまでも亡くなった後から効力を発揮するのが遺言ですから、逆に言えば、亡くなる前であれば、何度でも書き直しても構わないということでもあるのです。

 

 

遺言書の効力の判断方法は?

 

たとえ遺言書に書いてあっても、それが有効か無効かということでもめたり・トラブルになったりすることがあります。こうした遺言書の有効・無効の争いは裁判所で行うわけですが、家庭裁判所ではありません。地方裁判所で争うことになります。

 

自筆遺言の場合は、遺言書を発見したら家庭裁判所へ持っていって、そこで検認という証拠保全の措置をとります。ただし、家庭裁判所ではあくまでも証拠保全の措置をとるだけなので、ここでその遺言書が有効か無効か判断されるわけではありません。

 

なので、家庭裁判所で検認を受けたから、その遺言書は有効だとか無効だとか、そういうことではないのです。つまり、遺言書が有効か無効かということになると、それは地方裁判所に持っていくことになるのです。

 

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