住宅ローン借り換えできない?
50代55歳、60代65歳、70歳は?
50代、55歳など退職が間近になってくると、「あと数年で退職すると年収が下がってしまう。その時にこれまでどおり住宅ローンを返済できるだろうか…」という不安の声をよく聞きます。
実際、こうした不安を打ち消すため、少しでも借り換えによって月々の返済額を減らしたいとチャレンジする方も少なくありません。
ところが、銀行としても年収が減るということは、これから返済に充てられる原資が少なくなるわけですから、当然のことながらなかなか貸してくれないという現実もあるわけです。
ですが、仮に退職間近であっても、やり方次第では借り換えができる可能性はあります。今回は、そういった退職間近の方であっても借り換えができる方法を解説していきます。ポイントは3つあります。
1つ目のポイントは、退職後の雇用体系です..
例えば、よくあるケースで60歳で定年退職するといった場合に、希望すればその後65歳とか70歳まで働くことができるという規定のある会社があります。
もしあなたが勤めている会社がこうした規定を持っているのなら、これはきちんと銀行に伝えるようにして下さい。就業規則を見れば、これにきちんと書かれています。
例えば、60歳で定年退職した後に何年働けるのかとか、その時の給料はいくらくらいなのか、といったことが書かれています。この就業規則を銀行に見せることができると、住宅ローンの借り換えをできる可能性が高まります。
2つ目のポイントは、受け取れる年金の額です..
あなたが年金を受け取れる年齢、もしかしたら65歳くらいかもしれません。その時に受け取れる年金の額がポイントになります。というのは、銀行はあなたが年金のみの収入になった時に、その中からきちんと返済できるかどうかを見るからです。
ですから、その時にあなたの年金額と、もし奥様がいらっしゃれば奥様の年金、2人の年金を合算した年金額を銀行にしっかり伝えすることがポイントになります。
3つ目のポイントは・・・
もしあなたの奥様やお子様が同居していて仕事をされている場合には、その収入の額です。これもきちんと銀行に伝えることによって、借り換えを審査する際のプラス材料としてみてくれます。
過去の事例では・・・
55歳の会社員の方の例です。この方は、あと5年足らずで退職する年齢でした。退職すればこれまでのような年収にはならず、下がってしまうということになります。そこで、「きちんと返済できるのだろうか心配だ」ということでした。
それと同時に、住宅ローンの残りはあと16年、完済年齢は71歳でしたから、71歳まで返済するのはちょっと大変なのではないかという不安もお持ちでした。こうした不安から相談に見えたわけです。住宅ローンの残高は約2,700万円で、金利は2.85%でした。
この方の場合どうしたのかというと、まず退職後の雇用体系を確認しました。すると、きちんと会社の方で規定があったのです。「60歳で退職すると、その後65歳まで希望すれば働いてもいいですよ」という内容だったのです。
その時に受け取れる給料についても、きちんと「今までの月収の何%ですよ」という規定がありました。なので、この就業規則のコピーを銀行に見せました。
それから、奥様が働いていたので、その年収の金額や受け取れる年金額についても、きちんと銀行に出しました。
55歳ぐらいになると「ねんきん定期便」というのが毎年届きます。そこにきちんと受け取れる年金の予想額が記載されています。これをご本人と奥様の分と合わせて、「これだけきちんともらえるんですよ」という話を銀行にしました。
この結果、無事に住宅ローンの借り換えができたのです。借り換えの結果、月々の返済額はこれまで172,000円だったものが、約165,000円に減りました。また、支払総額は、借り換え前の金利で支払っていたら約3,260万円だったのが、約2,980万円まで減りました。
つまり、借り換えの諸費用を差し引いても、トータルで約230万円くらい借り換えの効果が出たのです。ちなみに、この時、返済期間も2年短くしたので、69歳までに縮めることができました。
もしあなたが、「退職間近だから住宅ローンの借り換えはできないのではないか」と思っているのでしたら、あきらめずにぜひチャレンジしてみていただきたいと思います。
住宅ローン借り換えできない?
50代55歳、60代65歳、70歳は?まとめ
退職間近の方向けの住宅ローンの借り換えのポイントは3つです。
1つは、退職後の雇用体系です。きちんと会社で規定があれば、それを銀行に伝えましょう。2つ目は、受け取れる年金の額です。これはあなただけではなく、奥様の年金も合わせて銀行に伝えましょう。
3つ目は、奥様やお子さんが同居していて仕事をされていたら、その収入についてもしっかり銀行に伝えましょう。
この3つのポイントを押さえることで、たとえ退職間近であっても、住宅ローンの借り換えができる可能性が高まります。