FX強制決済と証拠金維持率
強制決済=退場の恐れとは?
中・長期的に円高トレンドが続いていく相場であれば、円売り・外貨買いのポジションを持っている限り、どんなに我慢しても、元の為替レートに戻ってきてくれる可能性は低いですから、為替差損は膨らんでいく一方です。
為替差損が大きくなりすぎるとどうなるかというと、証拠金が不足してきますから、強制決済=退場の憂き目に遭う恐れが出てくることになるわけです。
レバレッジ2倍でも
証拠金維持率は半分になる!
一般的にFXに関する書籍などでは、「レバレッジを2〜3倍にして取引していれば大丈夫」というように書かれているものもあるようですね。
ですが、実際にFX取引を行ってみると、トレンドの反対にポジションを持っていると、2倍でも含み損がどんどん増えていきますから、それに対して恐怖を覚える人もいるはずです。強制決済の決まりは、FX取扱会社によっても違うようです。
ただ、証拠金の50%程度の損失が出た段階で強制決済が発動されてしまう会社も少なくないようですから、そのあたりは事前にしっかりチェックしておいてください。
なお、円売り・外貨買いでスワップポイントを狙った投資をする場合には、常に円高・外貨安になる可能性を念頭にしてFX取引に臨む必要があります。
スワップポイントとは?
スワップポイントというのは、通貨間の金利差によっても違ってくるのです。例えば、NZドル/円の買いポジションを持っているとします。このとき、円の金利が1%で、NZドルの金利が5%だったとしたら、その金利差4%分が支払われるということになるわけです。
当然、各国通貨の金利というのは、経済情勢によっても左右されますから、スワップポイントの額もその時々で変わってくることになるのです。
ちなみに、ご自分が取引されているFX会社のホームページを見てみて下さい。そこにある取引約款などを見ると、次のような文言が必ず入っていると思いますので。
↓↓
「スワップポイントは、各国の金利差により変動致します。また、その変動によって、現在は受け取りのスワップポイントが支払いに転じることがあります。」
かつて金融危機が起きる前の安定した経済状況のもとでしたら、円を売って外貨を買う場合は、必ずと言っていいほどスワップポイントを受け取ることができました。また、実際にはその額が変動すると言っても、その変動幅が小さかったので気にならなかったわけです。
ところが、2007年10月以降の金融危機後は、こうした常識はもはや通用しなくなってしまいましたから、スワップ金利狙いの投資家には十分注意してもらいたいですね。
円売りでもスワップポイントを
支払うケースがある?
スワップポイントというと、円売り・外貨買いのポジションを持っていれば、毎日○円の受け取ることができると思いがちです。
ただ、これは実際のところはちょっと違うのです。というのも、スワップポイントは常に変動していて、時としてスワップポイントの受け取りから支払いに転じるケースもあるからです。
事実、サブプライムローン問題が表面化してリーマンショックが起きて以降は、景気低迷を未然に防ごうと、世界各国で政策金利を一気に引き下げましたから。
これによって、それまでは、超低金利政策を続けていた日本と他国との金利差が、一気に縮まってしまったわけです。
当然のことながら、FX取引で円売り・外貨買いのポジションを持っていても、受け取れるスワップポイントはかなり少なくなってしまったのです。
さらに、それだけでは済まないケースも出てきたのです。実際、FX会社によっては、スワップポイントの受け取りから支払いに転じるケースも出てきました。
例えば、ユーロ/円の買いポジションですね。金融危機以前は、1万ユーロ当たり50円程度の受け取りだったスワップポイントが、金融危機後は突然50円の支払いになってしまうというケースが起こったわけです。
ただ、これまでのスワップポイントの常識からすると、何かしっくりこないのですね。いくらユーロ圏が金利引き下げを行ったからと言っても、政策金利ベースで言えば、まだまだユーロの金利の方が、日本円の金利よりも高いわけですから。
しかしながら、リーマンショックなど金融危機により外国為替市場は大混乱に陥ってしまったのです。それにより、各FX会社が実際に取引している銀行の調達ベースでは、ユーロの金利よりも円の金利の方が大きくなってしまうという結果となってしまったのです。
スワップポイント狙いのFX取引はハイリスク?
スワップポイントは、現在の日本の超低金利政策から考えれば、基本的に外貨を買って円を売っていれば、毎日少しずつ受け取ることができます。
なので、スワップポイントをメインの利益にしたいと考えるのであれば、受取金額を増やすため、長期で保有して、できるだけ多くのスワップポイントをもらう必要があるわけです。
とはいえ、取引期間が長期にわたるほど、為替レートが大きく変動する可能性が高くなるのも事実です。もしもこの間に、為替レートが円安(外貨高)方向に進んでくれれば、スワップポイントだけでなく、さらに為替差益までも得ることができるわけです。
ただし、反対に、為替レートが円高(外貨安)方向に進んでしまった場合には、為替差損により、積み上げたスワップポイントなどあっという間に吹き飛んでしまうことになります。
このように、為替変動リスクを考えると、スワップポイント狙いで長期間ポジションを寝かせておくのは、非常にリスクが高い投資手法であると言えると思います。
相場の格言を知っておこう!
どんな投資でも、事前に相場が上がるのか下がるのかがわかる人というのはいないわけです。これは、先人たちも同じで、次のような相場格言とは、こうした人たちが悩みぬいた先に光明として残してくれたものなのです。
■人の行く裏に道あり花の山
相場で儲けたかったら、他人と同じことをしていてはダメだということを言っているのです。つまり、他人と反対のこと、他人が注目をしていないことを行ってこそ、大きな利益を上げられるということです。
■利食い千両
利益が出たときには、その利益を確定させることが重要だということです。人間誰しも欲がありますから、ついついあともうちょっと持っていれば利益が増えるかもと思いがちです。
しかし、そうしている間に相場が急転してしまったら、せっかく利益が出るところだったのに、反対に利益どころか損失となってしまう恐れもあるわけです。利益は確定することが重要だという格言です。
■相場は売るべし買うべし休むべし
相場とは、「売る」のと「買う」だけでなく、「休む」ことも必要だという格言です。マーケットでは、色々な出来事があるわけです。活発に売買するのに適した時期もあれば、そうでない時期もあるわけです。
売買に適していない時期には、無理に取引をせずに相場を休むのが得策という場面もありますよね。特に、テロや戦争など相場がリスクオフの状態になっているときには、まずは様子を見てから、相場に参戦しても大丈夫なのかどうかを判断したいところです。