役員報酬と賞与の区分が廃止され、役員給与の損金算入規定が整備されました

 

 

役員報酬と賞与の区分の廃止と

役員退職給与の損金経理要件の廃止

 

 

従来は、役員給与を役員報酬と役員賞与、役員退職給与に区分して、役員賞与は全額損金不算入、原則として、役員報酬と役員退職給与は損金算入とされ、不相当に高額な部分については、損金不算入となっていました。

 

今回の改正では、これらを一括して「役員給与」と規定し、その損金算入・損金不算入を定めています。

 

 

具体的に損金算入されるものは?

 

次のものが損金に算入されます。

 

■支給時期が1月以下の一定期間ごとであり、かつ、各支給時期における支給金額が同額である給与(定期同額給与)

 

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■その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する定めに基づいて支給する給与で、利益に基づいて支給されるものではなく、所轄税務署長にあらかじめ届出ているもの

 

※これによって、役員にも従業員と同じように「ボーナス」を支給して損金算入することができるようになります。

 

■同族会社以外の法人が業務執行役員に支給する利益連動給与で、その算定方法が客観的であり、次の要件をすべて満たすもの

 

・確定額を限度としているものであり、他の業務執行役員に対して支給する利益連動給与の算定方法と同一であるもの
・一定の日までに報酬委員会が決定していること、あるいはこれに準ずる手続きを経ていること
・その内容が遅滞なく有価証券報告書等で開示されていること

 

■退職給与

 

■ストックオプション

 

■使用人兼務役員の使用人分給与

 

 

具体的に損金不算入されるものは?

 

次のものは、損金不算入とされます。

 

■役員給与のうち不相当に高額な部分
■法人が事実を隠蔽、または仮装して経理をすることによってその役員に支給した給与

 

 

役員退職給与の損金経理要件の

廃止について

 

従来の法人税法では、役員退職給与は損金算入しようとする事業年度で損金経理することが損金算入の要件となっていましたが、今回の改正でこの要件が廃止されました。

 

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特殊支配同族会社の役員給与の

損金不算入について

 

今回の改正で、特殊支配同族会社の役員給与を損金不算入にする制度ができました。これは、会社法の施行によって最低資本金規制が撤廃され、容易に法人成りができるようになり、節税目的のみでの法人化を規制するために設けられたものです。

 

具体的に、この制度の対象になる法人は、同族会社のうち代表取締役等その法人の業務を主宰する役員と、その同族関係者等が株式の90%以上を所有し、かつ、常勤役員の過半数を占めている法人(特殊支配同族会社)です。

 

ただし、次の場合にはこの制度は適用されません。

 

■損金算入された役員給与の額をその法人の所得金額に加算した額の前3年間の平均額が年800万円以下である場合

 

■その平均額が年800万円超3,000万円以下で、かつ、平均額に占める役員給与の額の割合が50%以下である場合

 

 

損金不算入額は?

 

損金不算入額は、役員に支給した給与にかかる所得税法上の給与所得控除額相当額です。

 

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