税務調査の事前準備と
相続税申告漏れのペナルティ!
今回は、税務調査の際に事前に準備しておくべきことについてのお話です。
基本的に税務調査に入られる場合、相続税の申告をした税理士に同伴してもらって税務調査を受けるということが多いと思います。
なので、その税理士から事前に用意しておいたほうがよいものについて教えてもらえるとは思います。今回の解説はその参考にしていただければ幸いです。
用意する書類・資料は?
まず税務署の調査員から提出を求められるものの代表的なものは、被相続人と相続人の通帳一式・印鑑です。
それ以外に土地関係の書類、保険証書、ゴルフ会員権、香典帳、電話帳、年賀状、日記、貸金庫や自宅金庫の中身なども提出を求められる可能性が高いです。
例えば、調査員から「年賀状を持ってきてください」と言われてから慌てて探しに行くのではなく、事前にまとめておけば、いちいち探しに行く手間が省け調査がスムーズに進みます。
つまり、調査の時間短縮につながりますので、前述のリストアップしたものはすべて取り出しやすいところに置いておくようにしてください。
ちなみに、事前にテーブルの上などに置いておく必要はありません。あくまでも調査員から言われたら取り出すという対応で構いません。
それでは、もし事前に用意しておいたもの以外のものを提出するように言われた場合で、その保管場所が寝室などのプライベートな場所で他人に入られたくないというときにはどうしたらよいのでしょうか?
その場合には、「プライベートなものも保管していますので、必用なものがあればこちらへ持ってきます」と対応することをおすすめします。
ただし、こうした対応をすると、「何か隠しているのではないか?」と疑われる可能性もあります。なので、特別な事情がなければできる限り調査員に協力するほうがよいです。
先ほどリストアップしたもの以外にも、相続税の申告の際に使用した資料や相続手続きで使用した書類などもまとめておくことをおすすめします。
以上のもの以外にも、担当税理士によっては「これも用意しておいたほうがよい」というアドバイスをしてくれるケースもあります。なお、用意しておいたほうがよいもの以外にも何か少しでも気になることがあれば、必ず税理士に相談するようにしてください。
相続税の申告漏れのペナルティは?
続いて、税務調査で申告漏れなどがあった場合に課されるペナルティについてのお話です。
税務調査で申告漏れや評価額の計算ミスが発見された場合、どのようなペナルティが課されるのでしょうか?
税務調査が行われると、およそ8割の確率で追徴課税が課されます。1件当たりの追徴課税の平均は約500万円といわれています。追徴課税の対象になると、追加で納めるべき相続税だけでなく、以下で解説する税金を加えて納税する必要が出てきます。
どんなペナルティがあるの?
ペナルティといわれる罰金の種類は全部で4種類あります。
1つ目は延滞税です。この税金は、相続税の申告期限までに納税していなかった場合に課される税金になります。またこれは、申告期限の翌日から新たに追加で納税する日までの日数に応じて発生します。
具体的な金額は、新たに納めることとなった税金に年14.6%を掛けて計算していきます。
■延滞税=追加納税額×14.6%
なお、申告期限から2ヵ月以内に納税した場合には、年7.3%あるいは前年11/20の公定歩合+4%、こられのうちどちらか低い税率が適用されます。
2つ目は過少申告加算税です・・・
過少申告加算税は、申告期限内に提出された相続税が少なかった場合に課される税金です。ちなみに、申告期限内に自主的に修正する場合には無税となります。
一方、税務署からの指摘後に修正申告する場合には、新たに納めることとなった税額に10%を追加して納めることとなります。
■過少申告加算税=追加納税額×10%
また追加納税額が、期限内に納めた税額と50万円のどちらか大きい金額を超えた場合には、超えた金額の15%を追加納税することになります。
3つ目は無申告加算税です・・・
無申告加算税は、未申告の場合に課される税金です。つまり、正当な理由がなく、申告期限までに申告しなかった場合に課される税金になります。
申告期限までに申告せず、申告期限後に自主的に申告する場合には、追加納税額に5%を加算した金額を納めることとなります。
また、税務調査により無申告が発覚し納税期限後に申告する場合には、納税額50万円までの部分には15%、50万円を超えた部分については20%を掛けた金額を追加納税することとなります。
4つ目は重加算税です・・・
重加算税は、悪意を持って財産を隠していた場合に課される税金です。申告書を提出していて財産を隠蔽、あるいは事実を仮装していた際には35%が課されます。一方、申告書を提出していなかった場合には40%が課されます。
以上がペナルティとして課される税金になります。
申告漏れがあった場合に必ず支払う罰金は延滞税です。それに加えて過少申告加算税、無申告加算税、重加算税のいずれかを支払います。
もちろん当初から相続税の申告を正確に行っていれば追徴課税の対象にはなりません。追徴課税の対象になると、本来納めなくてもよかった税金を支払う必要が出てくるわけですからね。
そうならないためにも、やはり相続税の申告に強い税理士、あるいは税務調査に入られにくい相続税申告を強みとして掲げている税理士事務所、これらを探すことをおすすめします。
税務調査に入られないための事前準備は?
続いて、税務調査に入られないための事前準備についてのお話です。
税務調査が行われると、少なくても丸1日、あるいは2日間の時間を取られます。時間を取られるということだけでなく、調査は自宅で行われますので疲れます。精神的なダメージも非常に大きなものになるということですね。
ですから、なるべく税務調査など経験したくないというのが本音でしょう。
前述のとおり、相続税の申告に強い、あるいは税務調査に入られにくい相続税申告を強みとしている税理士事務所に相談・依頼することによって、税務調査対象になる確率を下げることができます。
とはいえ、これ以外にもあなた自身で税務調査に入られにくくする工夫は可能です。
税務調査によって税務署が一番知りたいのは“お金の動き”です。ですから、指摘を受ける前にこのお金の動きを把握しておくこと、また目に見える形に残しておくこと、これが最重要ポイントになってきます。
この最重要ポイントについては、相続が発生してからというよりはむしろ、常日頃から意識しておくことが大切です。
相続税の申告漏れを防ぐには?
相続税の申告漏れの原因というのは、被相続人の財産を細かいところまで把握しきれていなかったことによるものが多いです。
ですから、たとえ被相続人が元気なうちに定期的に家族間で財産について報告しあうことをしなくても、財産目録を作成しておくだけでも申告漏れを防ぐことはできます。
ちなみに、税務署は50万円以上のお金の動きについては非常に敏感に反応します。なので、大きな金額の出入金については、必ずその使途を明確にしておくことが重要です。
相続税に強い税理士は他の税理士とどこが違うの?
税務調査に入られにくい相続税申告を強みとしている税理士事務所は、他の税理士事務所とどこが違うのかというと…
それはお金の動きを税務署に徹底的に開示することにあります。
相続税の申告書には、例えば「この通帳にある100万円の出金については○○に使いました」というような出入金の詳細についてまで記載する義務はありません。そうはいっても、税務署側からすれば、この100万円のお金を何に使ったのか気になるのは当然です。
このような出入金の不明なお金が多くあるケースが税務調査の対象になりやすいのです。相続が発生し相続税の申告を税理士に依頼する場合には、そのような点を相続人側からもきちんと情報開示していかなければなりません。
税務調査に入られないようにするためには、お金の動きをきちんと開示することです。これこそが一番重要なポイントになります。