代償相続で生命保険を活用!まとめ

 

 

代償相続生命保険活用

まとめ

 

 

代償相続というのは、単純承認をする際に、相続財産をすべての相続人で均等に分割できないというケースにおいて有効な相続方法です。

 

例えば、相続財産の内訳が自宅が50%、預貯金が50%、相続人が3人いるケースで考えてみます。

 

この場合、自宅を相続したい相続人とそうでない相続人とでは、2倍の相続分の差が生じてしまいます。

 

そこで、この差を埋めるために、自宅を相続する相続人がその他の相続人に現金などの代償財産を渡すことによって、この相続分の差を埋め、最終的な相続分を均等にするのです。

 

これが代償相続の活用方法になります。

 

とはいえ、代償財産を渡せばよいといっても、数百万円あるいは数千万円単位の財産を用意する必要が出てきます。これだけの大金を用意するのは非常に難しいと思います。

 

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「代償相続を使いたいけれど、代償財産を用意するのが難しい」となると、長年住んできた自宅を売却し現金に換えて、相続人に平等に分けなければならなくなる可能性も高くなります。

 

なので、もしあなたの相続が発生した際に代償相続を選択する可能性が高いというのでしたら、残された相続人が困ることのないように、代償財産を残しておく必要があります。

 

そこで、ここで生命保険を活用するのです。

 

生命保険に加入すれば相続時にまとまったお金を用意することが可能となります。そのお金を代償財産として相続人に使ってもらえば、何の問題もなく代償相続を選択することができるようになります。

 

 

生命保険の受取人は誰にするの?

 

ここでポイントになるのが、生命保険の加入の際に、誰に保険金の受取人になってもらうのがよいのかということです。

 

普通に考えると、相続分の少ない相続人に保険金の受取人になってもらえば、相続分を埋めることができますので、それで問題ないようにも思えます。

 

ですが、実はそうではないのです。

 

前述のケースの場合でしたら、自宅を相続する相続人に保険金の受取人になってもらう必要があります。というのは、相続時に相続人が受け取る死亡保険金は、相続人固有の財産となり遺産分割協議の対象とはならないからです。

 

死亡保険金というのは、被相続人が直接所有する現金や不動産とは違います。死亡保険金は“みなし相続財産”という分類になるからです。

 

みなし相続財産というのは、わかりやすく言うと、受け取る相続人がその財産を独占できるけれど、相続税は支払う必要がある財産のことを言います。

 

死亡保険金は受け取る相続人の固有の財産となりますので、わざわざ遺産分割協議書に記載する必要もないのです。

 

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ですから、自宅を相続する相続人に死亡保険金の受取人になってもらった場合、遺産分割協議書の上では、2倍の開きがあるまま遺産分割協議を終えたとみなされてしまうことになるわけです。

 

ここの他の相続人が目をつけて「遺産分割協議は、みなし相続財産以外の財産で行うものだから、自分の財産が少ないことになる」と言い出してくる可能性もあります。

 

そうなってしまうと、遺産分割協議を一からやり直す必要が出てきます。

 

なので、このようなことにならないためにも、このケースでしたら自宅を相続する相続人に保険金の受取人になってもらい、一旦財産を集中させたうえで代償相続を進めるのがベストです。

 

 

代償相続における遺産分割協議書の書き方は?

 

代償相続を選択するうえでは、まず遺産分割協議書に相続人全員の相続分を明記します。

 

そして、代表する相続人が共同相続人に、相続分の差を埋めるための代償財産として“何を、どれだけ、いつまでに渡すのか”を記載しなければなりません。

 

こうした手順により遺産分割協議書を作らなければ、単に財産を渡した、すなわち贈与したとみなされてしまいます。そうなると、贈与税の課税対象となってしまいますから注意が必要です。

 

もちろん、この手順通りに遺産分割協議書を作成すれば贈与税は発生しませんが、不動産や株式を代償財産として使い、そこに含み益が生じてしまった場合には所得税の課税対象となります。

 

また、特定の相続人にだけ生前贈与をしていたり、死亡保険金の額が多かったりすると、その分の清算を含めた額の代償財産を要求される可能性が高くなります。

 

ということは、自分の相続分を超えた代償財産を用意しなければならない可能性があるのです。この場合、自分の相続分を超えた部分については、贈与税の課税対象となりますので注意して下さい。

 

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ちなみに、死亡保険金の受取額だけに大きな開きがあるケースは非常にやっかいです。なぜなら、保険金を共同相続人で均等に分割するためにお金の移動をさせると、その全額が贈与税の課税対象となってしまうからです。

 

これは、死亡保険金が相続人固有の財産だからです。相続によって発生したお金であっても、その出所については問われないので、単に贈与したと解釈されてしまうのです。

 

生前贈与や生命保険の加入は、一般的な相続対策の1つではありますが、実際に行う前にぜひ“相続人全員に同じことができるのか”を考えるようにしてください。

 

もし相続分に多少なりとも開きが出てしまうような対策をしたのであれば、必ず遺言書を用意して、相続人全員が納得できるような打開案を提示するようにしましょう。

 

そうしておけばトラブルを未然に回避することができます。

 

 

まとめ

 

日本人の平均遺産総額は約5,000万円、相続人の平均人数は3人です。また、財産の半数以上が不動産と言われています。

 

こうしたデータから見えるのは、自宅を売却するという話にならなければ、相続人に大きな差が出てしまうということです。このようなケースにおいて活躍するのが代償相続です。

 

ところが、この代償相続はあまり利用されていません。それはどうしてなのでしょうか?

 

これは“代償財産を用意できない”ということが原因です。つまり、相続分を均等にするために泣く泣く自宅を売却せざるを得ないためです。

 

ということで、相続人が自宅を相続する可能性があるのなら、他の相続人にそれに見合った財産を渡すことができるような相続対策を慎重に考えて、相続人全員が笑顔で相続を終えられるようにしたいものです。

 

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