小規模宅地等の特例は相続税対策になるの?

 

 

小規模宅地等の特例相続税対策になるの?

 

 

今回は、不動産を使った相続対策には注意してくださいというお話です。

 

例えば、最近の新聞の折込広告にも相続税対策としての収益不動産対策のセミナーが載っていました。ただその広告をよく見てみると、区分所有マンションを売りたい会社が企画しているセミナーでした。内容は概ね想像がつきます。

 

かつて相談を受けたケースでは、そういう会社のセミナーに参加して初めて区分所有マンションを購入したら、次から次へと購入を勧められて、その結果数年で5戸購入することになったそうです。

 

ところが、後々家賃が下がったり、空室が続いたり、退去時にはリフォーム費用も相当かかったりと、マンションからの収入だけでは借入金の返済ができなくなり、それで相談に来られたという方がいらっしゃいました。

 

基本的な営業手法は今も昔も変わりません。一昔前でしたら所得税の節税になるということで、お医者さんなど高所得の人がターゲットになっていました。その後は、不労所得とか将来の年金代わりを夢見るサラリーマンがターゲットとなりました。

 

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そして現在は相続税対策が流行りとなっています。確かに、近頃相続税を大きく下げることができるのは不動産しかないといっても過言ではありません。

 

もちろん実際には別のスキームもありますが、簡単に相続税評価額を大きく圧縮できるのは不動産に間違いありません。前述したような収益不動産対策のセミナーでは、相続税対策にもなるということで、区分所有マンションの購入を勧めてくるのでしょう。

 

ちなみに、会社によっては1棟ものの収益不動産の購入を勧めてくることもあります。

 

 

本当に収益不動産は相続税対策になるの?

 

実際、都心の収益不動産や区分所有マンションでしたら、小規模宅地等の特例を前提にすれば、その相続税評価額は購入金額の1/3以下になります。その仕組みを簡単に解説しますと・・・

 

ここでは、現金7億円で都心の収益不動産を購入するというケースで考えてみます。ちなみに、借入金で購入しても減額効果は同じです。

 

まず時価7億円が路線価と固定資産税評価の差で約26%減となって、5億2,000万円となります。次に、貸家建付地で土地が18%減、建物が貸家評価で30%減となり、合計4億1,200万円になります。

 

そしてさらに、土地は貸付用の小規模宅地等の特例により50%減となりますから、現金7億円が最終的には約1/3の2億4,800万円の相続税評価額になります。

 

これは、土地の時価を路線価の2割増しの公示価格水準で計算していますが、今の不動産市況のように過熱していますと物件価格は高くなります。

 

すると当然、相続税評価の減額効果は大きくなります。物件にもよりますが、正直今の市況でしたら、小規模宅地等の特例を適用すれば、概ね1/4以下になると思います。

 

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現金をたくさん持っている人が現金で収益不動産を購入するのであれば、不動産収入が大きく減ってしまったり、不動産の価値が下がってしまっても破産したりすることはないはずです。

 

ですが、最近勧められている収益不動産というのは、借入れ中心の資金計画によるものです。

 

これはアパートや賃貸マンションの建築でも同じ傾向にあります。今、相続税対策向けの収益不動産市場は、リーマンショック前の不動産ミニバブル時に匹敵するほど過熱していると言われています。

 

今回の相続税の増税や日銀による異次元の金融緩和による金余り、東京オリンピックやアベノミクスによるインフレ期待などが相まって、市場は完全に売り手市場となっています。

 

ということは投資という視点で見ると、現在は買い時ではなく完全に売り時といえるのです。つまり、今、お客様に収益物件を勧めるのは、非常に難しい時期なのです。

 

それにもかかわらず、巷では不動産を使った相続税対策が大流行です。今、収益不動産の購入を検討している人は本当に注意してください。

 

ということで、安易な相続税対策、節税効果に惑わされることなく、不動産の価値と将来的な収支見通しを慎重に見定めることをおすすめします。

 

 

小規模宅地等の評価減とは?

 

続いて、小規模宅地等の評価減についてのお話です。小規模宅地等の評価減というのは、わかりやすく言うと、居住用の土地や事業用の土地について一定額の評価減を認めましょうという特例になります。

 

例えば、今自分が住んでいるところも、自分の会社も、父親が経営しているアパートも土地も、すべて父親名義というケースがあったとします。その土地を相続したときに、税金が安くなる特例がこの小規模宅地等の特例です。

 

 

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具体的には、土地の用途、使い道が被相続人等の事業用の土地の場合は評価減割合が80%、また適用面積は400u、約120坪です。

 

それから、被相続人等の居住用の土地、これも評価減割合が80%で適用面積が330u、約100坪です。最後に被相続人等の貸付用の土地、これは評価減割合50%で適用面積は200u、約60坪です。

 

なぜこのような制度があるのかというと、例えば居住用の土地や事業用の土地、商売用の土地ですね、これらは生活の基盤をなす財産ですから、これにストレートに税金をかけてしまうと、下手するとその土地を売却しなければいけないことになってしまうからです。

 

ですから、そこは一定額大目に見ましょうということになっているのです。

 

具体的な数字で説明しますと、土地の評価額が1億円の場合は、評価額弦は80%ですから8,000万円、最終的には土地の価格は2,000万円ということになります。5,000万円の土地は評価減が4,000万円で最終的には1,000万円ということになります。

 

ですから、この小規模宅地等の特例があるので相続税は結果的に納めなくてよいという人がいるのです。ちなみに、小規模宅地等の特例については改正がありました。

 

1つは居住用の土地、自宅の土地ですね、これが適用面積がそれまでは240uでした。それが前述のとおり330uまで広がりました。

 

2つ目は、以前は例えば居住用の土地と事業用の土地、両方ある場合には適用面積には一定の制限がありました。これが自宅用の土地は330u、事業用の土地は400u、合計の730uについてこの評価減の適用が受けられるようになりました。

 

これらは納税者有利の改正といえます。

 

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