小規模宅地等の特例で相続税対策!計算例と注意点!

 

 

小規模宅地等の特例相続税対策

計算例と注意点!

 

 

今回は、都心部に自宅を持っていると家を売らないと相続税を支払えないのかというお話です。

 

結論から申し上げますと、事前に相続税対策をしておかない場合、家を売らないと相続税が支払えないケースはあります。ただし、これについては、ある意味全くウソではありませんが、新聞や雑誌の計算例はかなりオーバーだとも言えます。

 

 

なぜオーバーなのかというと・・・

 

ある税理士法人がマスコミに情報提供している駅ごとに一戸建て+平均的な財産で試算した相続税額がベースになっていると思われるからです。

 

あの計算例はお父さんの財産を全て相続したお母さんが亡くなった二次相続の場合で、かつ、小規模宅地等の特例も使わない最も相続税額が高くなる計算例です。

 

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個人的には、記事にする側がその辺の説明を十分にしてませんので非常に違和感を覚えます。

 

例えば、以前にある新聞の朝刊で相続関連の知識についての連載をしていて、相続のシミュレーションということで、やはり土地のみで対応するのなら半分売却もという見出しで事例を紹介していました。その記事の事例をわかりやすく解説すると次のようになります。

 

 

ある新聞の計算例は・・・

 

飯田橋路線価は96万円、1坪だと317万円に一軒家所有土地約50坪、2,076万円の預金、その他の資産197万円を所有しています。

 

子供2人で相続するモデルのシミュレーションとして、平成27年以降の相続税額は2,563万円となり、相続する金融資産のみでは相続税をまかなえず、不足する487万円の資金を相続する実家の土地の一部を売却したりしてつくる必要が出てくると紹介していました。

 

この事例の場合、父親が亡くなった一次相続時に母親が全ての財産を相続し、その後で母親の相続、二次相続が発生した場合という前提だと考えられます。

 

また、一次相続では小規模宅地等の特例を適用し課税価格は5,300万円となりますが、配偶者の税額の軽減、課税価格1億6,000万円までは非課税という制度がありますので、相続税は0円となり、二次相続でその全ての財産1億7,410万円を子供たちが相続する前提での計算例になっています。

 

つまり、二次相続時は小規模宅地等の特例を適用しないという前提になっているので、相続税の額は2,563万円となってしまいます。

 

しかしながら、仮に二次相続で小規模宅地等の特例を適用すると110万円で済むのです。二次相続時に小規模宅地等の特例を使わなかった場合と使った場合を比較すると明らかに使った方が得です。

 

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二次相続時に小規模宅地等の特例を使うとお得?

 

まず小規模宅地等の特例を使わなかった場合、土地価格が1億5,137万円で金融資産他との合計では、課税価格は1億7,410万円となり相続税額は2,563万円となります。

 

一方、小規模宅地等の特例を使った場合は土地の価格が80%減額されますので、土地の課税価格は3,027万円になり、課税価格の合計は5,300万円、相続税額は110万円になります。

 

相続税額が2,563万円と110万円ですから、その差額は2,453万円です。もちろん子供2人での遺産分割の問題は残ります。ですが、通常はこの特例をまず使うことを考えたほうがいいです。

 

もし遺産分割の問題で二次相続時に小規模宅地等の特例が使えないというのであれば、結果的に自宅を売って現金で分けることになるかもしれません。

 

ですが、それでも相続税が110万円で済むように小規模宅地等の特例を適用できるような対策をしておく方が、税金の面では断然有利です。

 

都心部で一戸建てに住んでいる人がこの記事を見たら、自分もこれくらい、2,000万円以上の相続税がかかるような錯覚をしてしまうような気がします。

 

このような記事を読んで過剰な心配をしている人のところへ建築会社の営業マンが来て「相続税対策のために土地を有効活用しましょう」と言われます。こうして、本来、そこまで相続税対策の必要のない人までが多額の借金をしてアパートを建てることになってしまうのです。

 

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ある雑誌では、次のような極端な記事(計算例)もありました・・・

 

この記事は、四ツ谷の一軒家モデルでは相続税が5,480万円となり、二次相続で自宅売却は避けられないという見出しでした。

 

一次相続時の遺産分割の前提条件は、雑誌のシミュレーションのままでも二次相続時に小規模宅地等の特例を使えば相続税は335万円になります。十分現金で納税できるのです。

 

その差額が5,145万円もあれば、通常でしたら小規模宅地等の特例を使うことを考えるはずですよね。

 

このシミュレーションは、雑誌の前提条件通り、お父さんが亡くなった一次相続時にお母さんが全ての財産を相続したという前提です。

 

ですが、仮に一次相続時にお母さんが全ての財産を相続するのではなく、お母さんが小規模宅地等の特例を使って自宅のみを相続し、二次相続時にも小規模宅地等の特例を適用すれば、相続税は一次相続税と二次相続税を合計しても140万円程度で済んでしまうのです。

 

つまり、遺産分割の工夫をして小規模宅地等の特例を活用すれば、前述の雑誌では5,480万円の相続税がかかると思っていたものが、実際には140万円程度で済んでしまうということになります。

 

ということで、新聞や雑誌の記事、特に見出しはかなりオーバーな表現をしているケースがありますので、十分注意して読むように心掛けてください。

 

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