相続放棄が受理されない場合!
無効訴訟申し立てと手続き!
今回は相続放棄の有効や無効、この辺りのお話です。まず通常相続をする、つまり誰かが亡くなると相続人がその人の権利義務の一切を引き継ぐことになります。
相続放棄というのは、それをすれば権利も義務も引き継ぎませんというものです。この相続放棄は具体的にどのようにするのかというと・・・
相続放棄申述という書面を家庭裁判所に出します。家庭裁判所ではこの相続放棄申述書を見て、一応要件が整っていれば受理、要件を満たしていなければ却下ということになります。
却下をされればダメですが、まず受理をされたら次にどうするのかというと・・・
次は債権者の方に、例えば亡くなったのがお父さんだったとすると、そのお父さんにお金を貸していた業者に、続放棄申述の受理証明書というものを家庭裁判所がくれますので、それを債権者に郵送などして、これを債権者が見て「相続放棄したのですね、それだったら結構です」というように言えばもうそこでおしまいということになります。
つまり、それで債権者からの追及はなくなります。債権者が了承すれば終わりです。ところが、債権者が必ず「ああ、そうですね、そうでしたか」ということで納得するとは限りません。
債権者がもし納得しない場合にはどうなるのでしょうか?
この場合は、債権者の方から民事訴訟という裁判をされます。
具体的には「確かに相続放棄は受理されているのだけれど、この相続放棄は無効だ」ということで争われて、「無効なんだから亡くなったお父さんの借金は息子であるあなたに引き継がれるのだからお金を払え」と、こういう形で民事訴訟を申し立てられます。
つまり、この民事訴訟の中でこの相続放棄が有効だったのか無効だったのかということが争われる可能性があるということになります。
ですから、相続放棄というのは厳密に言うと2回判断されます。つまり、まず家庭裁判所の段階でこれを受理するのか、あるいは却下するのかというところで判断されます。
その次に、受理されたとしても債権者が納得しないときには債権者の方から裁判を起こされて、この中で相続放棄の有効・無効というのがもう1度判断されるということになります。
そしてポイントは、この相続放棄申述を受理するか却下するか、この場面では基本的にはかなり大雑把な言い方をすると、割と受理はされやすいということになると思います。
なぜ家庭裁判所の段階では相続放棄が受理されやすいの?
なぜかというと、基本的にはこの家庭裁判所の段階では、相続放棄をしたいという人からの書類、資料だけに基づいて判断をするからです。要するに、一方からしか聞かないということがありますから、それによって受理をされやすいということです。
家庭裁判所としても、「個々の債権者が文句があるのであれば後の民事訴訟で争って下さい」といった考えもあると思われます。なので、この段階では受理されやすいです。
ところが、後に民事訴訟までされてしまった場合には、家庭裁判所の段階で受理されているからといって必ずしも相続放棄が有効という判断になるかというと、必ずしもそうではないということです。
ということで、相続放棄というのは、一度受理されたとしても、後の民事訴訟で無効になる可能性というのが常にあるということは頭に入れておいて下さい。
相続放棄手続きはどこの家庭裁判所でするの?
相続放棄手続きというものは、家庭裁判所に対して書類を提出する必要があります。それでは、どこの裁判所に提出してもいいのかというとそうではありません。やはり管轄というものがあります。その管轄は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所とされています。
なので、例えば相続人は東京に住んでいる、一方でお父さんは岡山に住んでいた、そして岡山に住んでいたお父さんが亡くなって、ただ自分は東京にいるのだから東京の裁判所に出せばいいのかというとそういうわけにはいきません。
やはり岡山の裁判所に提出する必要が出てきます。
このように、東京と岡山でかなり距離が開いている場合には、実際に持っていくのは大変ですから、裁判所に確認していただいた上で郵送で提出するということも可能になっています。
相続放棄の手続きは?
遺産を分ける話し合いの中で「何も要らない」といって遺産を受け取らないこともあると思います。ただこれは法律的な意味での相続放棄ではありません。なぜなら、これは俗に相続分の放棄といわれるものだからです。
正式な相続放棄というのは、まず家庭裁判所に申し立てをします。そして、その申し立てが認められると相続人ではなくなるので、プラスの財産だけではなくマイナスの財産も相続しないということになります。
ですが、一般的に使われている相続分の放棄というのは、相続人の立場を失うことはありません。
ですから、もしも遺産分割協議が終わった後になって、亡くなった人に借金があったことがわかった場合、その借金を相続することになりますので注意して下さい。