特別受益の範囲と要件と計算方法|教育費や結婚資金の贈与認定は?

 

 

特別受益範囲要件計算方法

教育費結婚資金の贈与認定は?

 

 

今回は、相続の特別受益の範囲と要件についてのお話です。特別受益に認定されると、その関係で相続できる財産が少なくなることになります。具体的にどのような場合に問題になるのかというと・・・

 

1つ目は、高額な学費です。例えば、留学費用、高等な学費、それを受けた場合にはそれが特別受益に認定されることがあり得ます。ただこれも全ての学費がそうなるというわけではありません。

 

親の資産や収入、職業に照らして、また他の相続人との関係で、その人だけに特別に高い学費が支払われたというようなケースです。留学費用というのはなかなかあるものでもないでしょうから、そういう場合にはなり得るということですね。

 

医学部や私立の医学部や薬学部など、高い学費が他の相続人に照らしてかかっているというような場合には特別受益に認定される可能性が出てきます。

 

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2つ目は、結婚に伴う贈与(結婚資金)です。例えば、持参金とか結納金、支度金、挙式費用、結婚祝い、婚姻費用などの結婚資金が特別受益に認定されることがあります。

 

どの子供も結婚に伴って同じようなお金が贈与されたということであればいいのですが、兄弟の中で1人だけ贈与されたというような場合には、特別受益に認定されることになります。

 

3つ目は、住宅購入資金です。住宅購入資金もまとまったお金になりがちですから、誰かだけに住宅購入資金が贈与されたという場合は、特別受益として認定されることになります。

 

4つ目は、生命保険の保険金です。生命保険の受取人に共同相続人のうち1人だけがいるという場合には、法律の条文上明確に書かれているわけではありません。

 

ですが、民法903条の趣旨に照らして、他の共同相続人の関係に生じる不公平が放っておけないということであれば、生命保険の保険金についても特別受益と評価されて、実際の相続分は決められていくことになります。

 

5つ目は、親の住宅に住まわせてもらっているケースです。親の住宅に住まわせてもらっている場合は、それが特別受益に認定されるのではないかと問題になることが多いです。

 

ただ親は子供に対して扶養義務を負っていますから、通常の扶養の範囲内というような場合には、あまりそれだけで特別受益に認定されるということはないようです。

 

 

特別受益と認められる要件は?

 

特別受益に認定されるかどうかのポイントは、親は子に、子は親に、それぞれ扶養義務をお互いに負っているのですが、その扶養の範囲を超えている、その金銭の供与が超えていると評価されていることがまず1つです。

 

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そして、他の相続人との関係でアンバランス、それもある程度著しい不公平であるということが要件となります。それらの事情を踏まえて、特別受益に認定されるかどうかが判断されることになります。

 

 

特別受益の計算方法は?

 

続いて、特別受益とは何か計算方法はどうなるのかというお話です。特別受益とは何かについて具体例を示して説明します。

 

お父さん、長男、長女がいて、お母さんはもう亡くなっているというケースです。そして、お父さんが亡くなった場合です。お父さんの相続については、法定相続分でいうと長男1/2、長女1/2です。これは平等です。

 

ところが、実は長女は、結婚嫁入りの際に家を購入してもらっていました。これはお父さんが特別に長女の結婚祝いに家をプレゼントしてあげたものです。こういった事例で考えてみたいと思います。

 

このような場合、長男はお父さんから何ももらっていないという場合、平等に扱うのは却って不平等ではないかという発想、これが特別受益の制度になります。具体的に言うと・・・

 

被相続人(先ほどの事例ですとお父さんです)から生前に贈与を受けていたり、相続開始後に遺贈を受けていたり、そういった特別に被相続人から利益を受けていた人がいる場合に、法定相続分どおりに相続分を計算すると不公平な相続になってしまうことがあります。

 

このような特別受益を受けた人の相続分を計算する際に、すでに生前に受けていた利益を、いわゆる「相続の前渡し」分として計算する場合があります。これが特別受益の制度です。

 

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特別受益の計算方法は?

 

ここでまた具体例を見て検討していきましょう。お父さん、長男、長女がいたとします。そしてお父さんが亡くなって、お父さんの遺産が不動産が5,000万円、現金が3,000万円、合計8,000万円だったとします。

 

この場合には、法定相続分どおりでいくと長男1/2、長女1/2ですから、4,000万円ずつということになります。ただし、長女は結婚の際に家を購入してもらっていました。

 

例えば、家を購入してもらっていた金額は2,000万円だったとします。2,000万円をお父さんからもらってそれで家を買っていたという場合を考えます。

 

この場合、長女はすでに2,000万円はもう先にもらっているじゃないかというように計算するのです。つまり、本当の遺産はこの2,000万円がなかったら8,000万円だけじゃなくて、プラス2,000万円して1億円あったというように考えるのです。

 

その1億円を1/2ずつ相続するということを考えると、1億円のうち5,000万円が長男にいくということになります。

 

一方、長女はすでに2,000万円もらっていて、残りの3,000万円をもらったら5,000万円になるということになります。

 

これで平等だという考え方になるのです。これが特別受益の考え方です。なお、この特別受益にあたるかあたらないかという問題は、非常に高度で専門的な判断が必要になります。

 

なので、こうした問題は法律の専門家である弁護士さんに相談されることをおすすめします。

 

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