平成27年の贈与税改正|暦年課税制度の注意点は?

 

 

平成27年の贈与税改正の概要

暦年課税制度の注意点は?

 

 

今回は、平成27年の贈与税改正についてのお話です。平成27年に相続税の大改正が行われたことは、あなたもご存知かもしれません。実は、贈与税に関しても同様に大改正が行われています。

 

贈与税に関しては、新たに設立された制度が多いのですが、それ以外にも税率の引き上げや適用要件の緩和など様々な改正が行われています。

 

 

贈与税率の引き上げは?

 

まずは贈与税の税率の引き上げについてです。平成27年に贈与税は、特例税率と一般税率に区分されることになりました。

 

特例税率というのは、20歳以上の人が両親や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に適用される場合に使う税率です。一方、一般税率というのは、特例税率の条件に当てはまらない贈与の場合に適用される税率です。

 

ちなみに、一般税率よりも特例税率の方が税率は低く設定されています。

 

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贈与税は、贈与額から年間110万円の非課税枠を引いた額に税率を照らし合わせて贈与税を計算します。贈与税の税率を見るとわかるのですが、贈与額の線引きが細かくなって税率が引き上げられたことが大きな特徴となっています。

 

 

相続時精算課税制度の改正は?

 

相続時精算課税制度については、制限が緩和されたことが特徴です。改正前は贈与者が65歳以上の人という制限がありましたが、改正後は60歳以上に引き下げられました。また、贈与を受ける側についても要件が緩和されています。

 

改正前は20歳以上で推定相続人であることが条件となっていましたが、改正後は20歳以上の推定相続人または孫にまで拡大されています。

 

 

結婚・子育て資金の一括贈与制度とは?

 

さらに、生前贈与を斡旋するために新たに設けられた制度もあります。それは、結婚・子育て資金の一括贈与制度です。

 

この制度は、平成27年4月1日から平成31年3月31日までの間に、20歳以上50歳未満の人が結婚や子育て資金のために、父母や祖父母から贈与を受けた場合には、1,000万円まで贈与税が非課税になるという制度です。

 

ちなみに、教育資金の一括贈与制度については、適用期間が平成27年12月31日から平成31年3月31日までに延長されています。

 

そして、住宅取得資金の贈与税非課税制度については、適用期間は平成26年12月31日で終わる予定でしたが、平成31年6月30日まで延長され、さらに非課税枠も拡大されています。

 

生前贈与によって財産を前渡しすることも、立派な相続税対策といえます。しかしながら、贈与といっても様々な制度があって、場合によっては全く相続税対策にならなかったというケースもよくあります。

 

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ということで、生前贈与は全体像を把握した上で検討されることをおすすめします。

 

 

贈与税とは?

 

続いて、そもそも贈与税とはどのような税金なのかというお話です。まず贈与税というのは、日本で一番高い税率の税金です。そして、贈与税は贈与を受ける人が支払う税金です。

 

資産家のご家庭にとっては、相続対策として有効に使うことができます。ただし、贈与の注意点として、「相続開始前3年以内に行われた贈与は相続財産に含めなくてはならない」という規定があります。

 

よって、せっかく行った相続対策の贈与でも、実施後3年以内に相続開始を迎えてしまうと意味がなくなってしまいます。

 

この制度は、被相続人が「あとわずかな命」というときに、慌てて相続税を少しでも安くしようと考えて生前贈与を行うご家庭が多いことから設けられた制度です。

 

 

暦年課税制度と相続時精算課税制度とを比較すると?

 

以前に解説した暦年課税制度と相続時精算課税制度との比較を見ていきます。暦年課税制度では、相続発生後3年以内に行われたものに関しては、全額が相続財産とみなされ相続税がかかります。

 

一方、相続時精算課税制度では、贈与時の価額に相続税の税率を掛けて納税します。

 

なので、贈与時の価額よりも値上がりしている財産の場合には節税効果があります。また、生前贈与によって相続税を納めていた場合には、相続発生時の相続税と相殺して還付される場合もあります。

 

また、被相続人から相続開始3年以内に贈与を受けた人であっても、その人が相続などにより財産を取得しなければ、相続税の課税価額に加算されることはありません。なお、贈与税の配偶者控除や住宅取得資金の贈与による非課税部分には加算されません。

 

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暦年課税制度の注意点は?

 

暦年課税制度というのは、年間110万円までの贈与には贈与税がかからないという制度です。生前贈与には打ってつけの制度です。また、贈与する相手に制限がないので、幅広い方々に向けた贈与が可能となります。

 

前にお話した注意点としては、暦年課税制度は相続発生3年以内に行われた場合には、全額が相続財産とみなされ相続税がかかるという点です。

 

ちなみに、110万円の枠を超えて贈与し、すでに贈与税を納めていた場合には相続税と相殺することが可能です。この注意点を含めたとしても、とてもお手軽な贈与だと思いますが、実は他にも注意点がいくつかあります。

 

 

その他の暦年課税制度の注意点とは?

 

まず1つ目は、贈与する相手との合意が必要であるということです。例えば、親が勝手に子供の口座を作り、その口座にお金を振り込むだけでは「贈与である」とは認められません。この場合は、銀行印や通帳も贈与を受ける人が保管しておく必要があります。

 

このような「名ばかり贈与」とみなされないためにも、贈与金額が110万円以下で贈与税がかからない場合であっても、簡単なもので構いませんので贈与契約書を作成しておくようにしましょう。

 

また、贈与を行うに当たっては、毎年決まった日に決まった金額を贈与すると、まとまった金額を分散して贈与する「定期贈与」とみなされてしまう場合もありますので注意が必要です。

 

2つ目は、贈与を受ける人に向けた注意点になります。

 

贈与税というのは、贈与を受ける側が支払うものです。ですから、例えば、祖父母の両者から110万円ずつの贈与を受けると、非課税枠は1人110万円なので、110万円を超えたもう110万円に贈与税がかかることとなります。

 

非課税枠は1年間で合わせて110万円であることを忘れないようにして下さい。どの制度にも言えることですが、メリットだけでなくデメリットや注意点もしっかり把握し慎重に相続対策を進めていきましょう。

 

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