相続税改正の歴史|日本と世界の税率は?

 

 

相続税改正の歴史

日本と世界の税率は?

 

 

今回は、日本における相続税改正の歴史についてのお話です。

 

あなたは相続税がいつから導入されたかご存知でしょうか?答えは1905年、日露戦争開戦の翌年です。つまり、相続税は200年以上の歴史を持っているということになります。相続税が導入された一番の大きな理由は、戦争でお金が必要だったからです。

 

現在は「富の再分配」が目的と言われていますが、もともとは戦費調達のために導入されたものだったのですね。ちなみに、ドイツでは1906年、アメリカでは1916年、イギリスでは1949年、に相続税が導入されています。

 

世界を見回してみると、日本は非常に早い段階で相続税を導入していることがわかります。当時は家督相続が一般的でしたので、租税収入全体に占める相続税の割合も大きかったようです。

 

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現在の相続税法では、相続人毎の相続財産を対象とする遺産取得税方式が用いられていますが、当時は被相続人の遺産総額を対象とする遺産税方式が採用されていました。

 

相続税導入直後は、税率が高いという世論の反発によって税率が引き下げられたり、特別控除を導入したりと紆余曲折がありました。

 

ちなみに、平成27年に相続税法の大改正が行われましたが、これは1905年に相続税が導入されてから4回目の改正となりました。

 

第1回目の相続税法改正は、1951年のシャウプ勧告を受けての改正でした。シャウプ勧告では、財閥への富の集中を防ぐために最高税率を高くすることを要求され、その最高税率は70%に設定されました(現在の最高税率は55%です)。

 

その後、2003年に第2回目の相続税法の改正が行われ、最高税率は70%から50%に引き下げられました。また、この時に相続時精算課税制度が導入され、生前贈与を斡旋する動きが見えてきました。

 

続いて、2008年に第3回目の相続税法改正が行われ、中小企業向けに事業継承をスムーズにするために事業継承税制が導入されました。

 

そして、記憶に新しいと思いますが、2015年に第4回目の相続税法の改正が行われ、最高税率が50%から55%に引き上げられ、基礎控除額が4割削減されました。

 

 

世界の相続税の歴史は?

 

次に、世界の相続税の歴史についてのお話です。

 

日本での相続税は、1904年に開戦された日露戦争の戦費調達を目的に導入されましたが、戦後ロシアから賠償金が支払われず、財政圧迫に拍車がかかったため、相続税を存続させ現在まで続く恒久税制となりました。

 

日本では200年以上の歴史のある相続税ですが、海外では相続税を廃止したり、そもそも相続税が存在すらしない国も多いです。

 

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ちなみに、シンガポールやカナダ、オーストラリア、スウェーデン、イタリアなどの先進国では、相続税は廃止、あるいはそもそも相続税が存在すらしないといった具合になっています。しかも、贈与税すらない国もあります。

 

また、相続税が存在するフランスやドイツでは、相続税の廃止の動きがあります。

 

このように世界に目を向けると、相続税廃止の動きが顕著にあらわれていることがわかります。日本でも度々問題になっていますが、相続税に向けられる一番の疑問は、所得税との二重課税です。

 

亡くなった人が残した財産は、がんばって働いて手に入れたお金から、所得税などの税金を支払った手残りです。その財産に対して、さらに相続税を課すというのはどうなの?といった議論が絶えないのが現状なのです。

 

 

日本と世界の相続税の最高税率と最低税率は?

 

さて、ここで日本の相続税率と海外の相続税率を比較してみたいと思います。よく日本の相続税は高いと言われますが、実際のところはどうなのでしょうか?

 

ここでは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツを例に挙げてみていきます。まずは税率からです。

 

最高税率は、日本が55%、アメリカは40%、イギリスも40%、フランスは45%、ドイツは30%となっています。一方、最低税率は、日本が10%、アメリカは18%、イギリスは40%、フランスは5%、ドイツは7%となっています。

 

 

日本と世界の相続税の課税対象の最低限度額は?

 

続いて、課税対象となる最低限度額を比較していきます。

 

日本は3,600万円、アメリカは6億5,000万円、イギリスは6,000万円、フランスは1,350万円、ドイツは5,400万円、となっています。

 

アメリカでは超富裕層のみに相続税が課税され、イギリスでは税率が一律40%で固定されています。また、フランスでは、課税対象の最低限度額がかなり低いことがわかります。

 

日本ではもちろん海外でも、相続税には控除や特例などの減税措置がありますので、今回の比較だけでは、日本がどれだけ相続税が高いのかがピンとこないかもしれません。

 

ですが、今回あげた日本を含めた主要五カ国の相続税負担率を見てみると、日本の相続税は1位、2位を争うポジションにあります。つまり、日本の相続税は高いというのは、あながち間違っているわけではないということが言えるのです。

 

相続税は所得税との二重課税であるといった議論もありますが、日本は世界でも有数の借金大国でもあるわけですし、国は税金があればあるほどいいわけですから、この先十数年で見たとしても、相続税が廃止される確率はかなり低いと言えます。

 

相続税がない国がうらやましいという気持ちもわかりますが、その分違う税金が設けられている可能性もあります。ただ、相続税を払いたくないと思うのは当然です。つまり、どこまで節税に向けた相続税対策を練ることができるのかが重要なポイントになってくるのです。

 

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