持ち家と賃貸
どっちがリスクが高い?
今回は、賃貸と比較して持ち家にはリスクがあるというお話です。よく本や雑誌の特集で「賃貸の方が安全だ」ということが書かれていたりします。これはなぜなのでしょうか?
賃貸と持家ではどちらが得なのかというのは、わからないというのが本当のところです。
なぜなら、賃貸と持家の損得というのは、地価で決まるからです。地価が上がったり下がったりする要因にはどういうものがあるのかというと、その土地の人口が増えたり、あるいはその土地に何か大きな駅ができたり、そういうことがあって地価の上下は起こります。
では、こうした人口が増えたり、大きな駅ができたりすることは予測できるでしょうか?
普通の人にはかなり難しいですよね。もちろん、プロで予測できる人がいて、それによって生計を立てている方もいます。でも、将来の地価の予測は非常に難しくて、100%当てることは誰にもできないわけです。
ですから、賃貸と持家ではどちらが得かというのは、予測がしづらいのです。
将来のリスクがあるのは持ち家?
では、賃貸と持家の損得ではなく、将来のリスクという視点で考えてみるとどうなるでしょうか?将来のリスクといってもちょっと考えづらいと思います。なので、貯金を増やすという点で有利なのはどちらなのかという点で考えてみます。
まず持ち家の人の資産と負債を見てみます。
資産というのは、例えば、家があったり、貯金があったり、あるいは、株式を持っていることです。負債は、簡単に言うと借金のことです。持ち家の人がどんな資産とどんな負債を持っているのかをイメージすると、かなり住宅ローンに偏りすぎているという状態になっています。
持ち家の人は、かなり大きな金額の住宅ローンを背負うことになりますからね。それはすなわち、リスクに弱いということが言えるのです。
つまり、何か災害に遭ってしまったり、給料が下がってしまったり、あるいはリストラにあってしまったり、そういうことがあると住宅ローンが払えなくなる可能性があるのです。持ち家には、こうしたリスクに弱いという特徴があります。
では、理想的な資産と負債のバランスはどういう状態かというと、例えば、貯金と株式、不動産が同じくらいの割合にあるような状態になります。これは、投資の本ならどんな本にも載っている財産三分法という、投資の基礎の基礎の話です。
このように色々な資産を持っていた方が、何かあった時のリスクに対処しやすいということなのです。ですから、持ち家を買う時は、まずこうしたリスクもあるのだということを頭に置いておいて下さい。
もう1つの持ち家のリスクとは?
もう1つ持ち家のリスクを考えるために、ある事例を検討してみたいと思います。先ほどの例は、住宅ローンがたくさんあるためにリスクが高いという話でした。では、住宅ローンを全く借りない状態だったらどうなるでしょうか?
例えば、あなたが今3,000万円の貯金があったとします。そして、この3,000万円で持ち家を購入したとします。
するとどうなるのかというと、持ち家を買ってものすごく嬉しいと思いますが、金銭的な面で冷静に考えると、あなたの貯金が3,000万円の持ち家に変わっただけです。
あなたの3,000万円の貯金が建物と土地に変わっただけです。
これは、金銭的な面で考えると、持ち家を資産運用しないと何も利益が生じない状態になってしまっているのです。つまり、これを貯金の面で考えると、全く貯金が増えないお金の使い方をしたことになるのです。
一方、今度は3,000万円で投資を始めたとします..
するとどうなるのかというと、例えば、年0.1%の利率で安全に運用したとしても、1年で約3万円のプラスになります。
ここで何が言いたいのかというと、こうして同じ3,000万円でも、持ち家を買うかそれを投資するかの違いで、一方は貯金が増えたり、一方は貯金が増えなかったり、そうした差が出てくるということです。
つまり、持ち家を買うということは、貯金が増えないお金の使い方だということです。こうしたことからわかるのは、持ち家は貯蓄の増えづらい環境になる、すなわちリスクが高いといえるのです。
なので、もしこれからあなたが持ち家を選択肢に入れるのなら、ぜひこうしたことを考慮して、納得のいくまで調べ尽くして判断することをおすすめします。
ですが、調べるだけではやはり限界があります。そういう場合は、利害関係のない第三者の専門家に相談してみるものよいと思います。
専門家に相談しないリスクとは?
3,000万円とか5,000万円とか、かなり大きな金額が動くのに、専門家のアドバイスを受けないで自分だけで判断するのは、ある意味それもリスクといえるかもしれません。
どうしても自分で判断すると感情に左右されてしまうという問題がありますからね。持ち家は自分の夢という人が多いですから、そういった感情が邪魔してしまうことも多いのです。
そういったことも考えると、第三者の専門家の意見に耳を傾けて、すっきりした状態で、あなた自身がリスクを知ったうえで持ち家を買うのがいいのではないかと思います。
ただし、ここでは、持ち家はリスクが高いと言っているだけで、持ち家はダメだと言っているわけではありません。持ち家は素晴らしいものですから、あなた自身、その持ち家のリスクをしっかり把握してから持ち家を選択してほしいということです。
これから持ち家を買うという選択をする場合は、そのリスクと上手く付き合っていけるかどうか、それを納得して解決できるようにしてから購入することをおすすめします。