相続時の預貯金と保険金の違い
生命保険の非課税額とは?
続いて、相続時の保険と預貯金の違いについてのお話です。相続人が1,000万円のお金を銀行に置いておくのか、それとも保険会社に置いておくのか、それによって相続発生時に大きな違いが生まれます。
相続発生時、銀行にあるお金というのは凍結されてしまいますので、たとえ家族であっても引き出すことができなくなってしまいます。一方、相続財産としての評価額は、もちろん1,000万円そのままです。
しかしながら、保険金として入れている1,000万円は、申請をすれば今は3日以内に受取人に支払いがされます。そして、相続財産の評価額は基本的に0円です。
相続時の預貯金と保険金の違いは?
ここからは、相続時の預貯金と保険金との違いについて一つひとつみていきます。まず相続時、万一の時の流動性について比較すると・・・
預貯金はありません。前述のとおり口座が凍結されますから、すぐにその1,000万円を引き出すことができないからです。一方、生命保険はすぐに受取人に支払いがされますので、そのお金をすぐに使うことができます。
次に相続財産として比較してみると、預貯金は当然対象になります。一方、生命保険は受取人固有の財産ということになりますので基本対象外です。みなし相続財産として相続税の対象となります。
また、遺産分割として比較すると、兄弟など色々と多かった場合、預貯金はその対象となりますが、生命保険は受取人固有の財産ということになりますので対象外です。ここは非常に重要なポイントです。
さらに、税制上の優遇として比較してみますと、預貯金には税制優遇はありません。生命保険の場合は「500万円×法定相続人の数」までは非課税となります。
このように、“相続時”という切り口で考えてみると、預貯金なのか保険なのかでは大きく残せる資産が変わってきます。ぜひ備えあれば患いなしということで相続時のことを検討されることをおすすめします。
生命保険金は銀行預金と違って引き出せます!
最近多い相談として、預金に関するものがあります。
具体的には、亡くなった故人の預金口座が銀行に連絡した途端、すべて引き出せなくなってしまうということです。すぐにお金が必要な場合、葬儀費用など諸々の費用が銀行からお金を引き出せないと困りますよね。
もちろん相続人の方々がそれぞれ出し合って、それで何とか凌ぐということができればまだいいです。ですが、やはり亡くなった人の財産から出さないとどうしようもないという場合もあるわけです。
その場合、故人の財産のすべてが銀行の普通預金や定期預金になってしまっていると、銀行の方は口座を凍結してしまいますので1円も引き出すことができなくなります。
実際、戸籍謄本などの書類を一式そろえて、遺産分割協議書なども作成してきちんと手続きをしないと、銀行は解約して引き出すということに応じてくれません。
こうした場合、生前でしたら対策としては遺言書を作成するのが一番有効です。その他に有効な方法としておすすめなのが、生命保険契約になります。生命保険の活用は非常に役に立ちます。
なぜ生命保険が有効なの?
まず生命保険金は、銀行預金のように凍結されることがありません。
なぜなら、生命保険金というのは亡くなった人の遺産ではないと法律で決まっているからです。生命保険金というのは、保険金を受け取る人、保険契約で受取人に指定されている人の固有の財産ということになっているのです。
つまり、相続財産ではないのです。受取人が保険会社に連絡すればすぐに入金してもらえる、そういうお金なのです。
ですから、葬儀費用などで困った場合に保険金が下りたらものすごく助かります。保険金があるので当座はしのげます。その間に預金口座を解約する手続きを進めればいいのです。そういった相続手続きの目途がつきますので非常に有効です。
生命保険の非課税額とは?
生命保険について「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があるというのは前述のとおりです。
これはどういうことかというと、例えば、土地や建物など相続財産を合計するというお話をしましたが、この中で例えば1,500万円の預金があれば、これは1,500万円として足し算されます。1,500万円は1,500万円です。
ただこのお金が「預金」ではなくて「生命保険」であれば、これは特別な非課税の枠というのが認められていますので、例えば長男と次男の2人だけということであれば、「500万円×2人=1,000万円」、この分はもらった1,500万円から差し引いて計算できます。
つまり、生命保険を1,500万円もらったのだったら、そこから1,000万円差し引いて、残った500万円だけ合計する相続財産の中に足し算すればいいことになります。