遺留分を生命保険で支払う相続対策|みなし相続財産の遺産分割!

 

 

みなし相続財産の遺産分割!

遺留分生命保険で支払う相続対策とは?

 

 

今回は「相続対策なんてうちには関係ない」そう思われているあなたに、ぜひ知ってほしいお話です。相続対策というのは主に2つあります。1つは相続税対策、もう1つは遺産分割対策です。今回はこの遺産分割対策、この遺産分けについてのお話です。

 

なぜ遺産分割対策は必要なのでしょうか?

 

まず被相続人、財産を残す人が相続に対して何も知らない、もしくはどうにかなると思われている慢心があります。また、遺産を受け取る人たちが核家族化でバラバラになっている、そういった理由をもとに親族間のコミュニケーションが不足していることもあります。

 

そして、金融資産のある高齢者は経済的なゆとりがあるのですが、景気の低迷で財産を受け取る側が余裕がない、ここに温度差があって財産を残す方がどうにかなると思ってしまっている、ここが最大の要因かもしれません。

 

ここでは1つの事例をもとに、あなたにも考えていただきたいと思います。

 

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遺産分割対策として遺留分を生命保険で支払う方法とは?

 

70歳のお父さんが、同居している長男に財産の全てを相続させたいのだけれど、法定相続人には次男もいる。相続財産は自宅(4,000万円)と預貯金(1,000万円)というケースです。

 

まず相続対策をするにあたっての1つ目のポイントは、遺留分を把握するということです。遺留分というのは、一定の相続人に法律上必ず残さなければならない割合のことです。この事例では、次男の遺留分は「本来の相続財産」の1/4がそれに該当します。

 

この「本来の相続財産」とは何でしょうか?ここでは2つのことを理解していただきたいです。

 

1つは「本来の相続財産」というものと、もう1つは「みなし相続財産」というものです。1つ目の本来の相続財産というのは、動産(預貯金、株、債権等)、不動産(土地、建物)です。

 

これに対して、もう1つのみなし相続財産というのは、生命保険金や死亡退職金のことです。

 

生命保険金は受取人を指定できるのは、あなたもご存知のとおりです。確実にその受取人に渡せて、受け取った受取人はその時点でその人の固有の財産になるということを覚えておいて下さい。

 

今回の対策としては、預貯金1,000万円を死亡保険金の受取人を長男にした生命保険に変更します。そして遺言で「自宅を長男に渡す」と書いて残します。そうすると、長男が自宅も生命保険も両方受け取るという形になります。

 

それでは5,000万円を受け取ることになるじゃないかと思われるかもしれません。ですが、先ほどお話したように、生命保険は受け取った瞬間に受取人の固有の財産になりますので、次男には生命保険の1,000万円に対しての請求権はないのです。

 

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そうすると、自宅4,000万円のうちの遺留分1,000万円、これに対しての請求権しか残りません。

 

長男としては自宅をそのまま受け取って、お父さんが残してくれた生命保険1,000万円を次男に渡すこと、これを「代償交付金」というのですが、それをすることで相続は完成します。

 

 

相続で大切なこととは?

 

人はいつか必ず亡くなります。自分だけは大丈夫ということはありません。

 

またお子さんたちから親御さんたちに「相続のことを考えてくれ」とはなかなか切り出せません。ですから、重要なのは、遺産を残す人が後に争いごとのないようしっかりと自分の意思でシナリオを作ることです。

 

それを怠ると、子供たちだけでなく孫にまで影響を及ぼし、仲の良かった兄弟や従兄弟同士が仲たがいを起こすことになる可能性もありますから、しっかり考えていただきたいと思います。

 

 

遺留分を生命保険で支払う方法とは?まとめ

 

ここで、遺留分と生命保険金についてまとめておきます。

 

遺留分というのは、被相続人の財産のうち家族が受け取れる最低保障のようなものです。具体的には、被相続人の直系尊属である両親の場合で1/3、配偶者や子供の場合は1/2、を最低保障として請求することができます。

 

最低保障といっても、兄弟3人で長男がお父さんの財産を100%もらったという場合、残された配偶者と兄弟は、全体で40%を超すくらい請求することができます。ですから、この場合に何とかならないのかと税理士などに相談するわけです。

 

このような場合、税理士は「お父さんは何か生命保険に入っていますか?」と聞きます。というのは、被相続人が亡くなって生命保険金が家族に入りますが、これは生命保険金が相続税法上、相続財産に含まれるからです。

 

ところが、これはあくまでも相続税法上の話であって、民法上は受取人固有の財産となります。生命保険金は受取人が指定されていますからね。

 

ここまでの説明を聞いて、「これと遺留分と何の関係があるの?」と思われるかもしれません。要するに、民法上は生命保険金を相続財産とは扱わない、受取人固有の財産とするということは、すなわち遺留分の対象から外れるということです。

 

さらに、お父さんが相続のときに持っている財産のうち一定額は遺留分として、他の相続人に渡さなければいけませんが、生命保険金は相続財産ではありませんから、これを受け取った人は他の相続人から「保険金の一部もこっちによこせ」と言われることはないということです。

 

でもこれは、お父さんが保険金の受取人だったらという話であって、もしお母さんが受取人だったとしたら何の意味もないのではと思われるかもしれません。

 

ですが、仮にそうだとしても生命保険金の受取人は後から変更することが可能です。もちろん遺言書で受取人を誰々に変更すると書いておくことも可能です。

 

ということで、生命保険金は受取人固有の財産であって遺留分とは関係がないということです。また、生命保険金の受取人は、契約した後でも後から変更することができますし、遺言書で誰々に変更するということも書けるということです。

 

ぜひこの点は押さえておいて下さい。

 

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