家族信託(民事信託)とは|遺言書と相続財産に活用!

 

 

家族信託(民事信託)とは?

遺言書と相続財産に活用!

 

 

今回は、家族信託(民事信託)の中で、書き直せない遺言書と同じような効果が現れる信託についてのお話です。ご存知のとおり、遺言書は後で書いたものが有効となります。なので、遺言書というのは非常に不安定だと言えます。

 

というのは、お父さんにやっと遺言書を書いてもらったということで安心していても、その後、その遺言書がいつの間にか書き換えられてしまっていたということが現実に起こっているからです。

 

例えば、お父さんとお母さん、長男夫婦が同居をしていて、長男がほとんどの不動産を相続するということで、すでに遺言書ができあがっていたというケースは多いです。

 

この場合に、次男夫婦がやってきて、お父さんを連れ出して食事に誘った後、公証人役場で遺言書を作成していたというケースもあります。

 

今後、高齢化社会が益々進展していきます。親の判断能力が少し劣ってきた場合に、こうした問題が起こる可能性は高くなります。

 

スポンサーリンク

 

 

そこで、信託を活用するのです..

 

これは例えば、お父さんは長男を信頼していて、管理もほとんど長男に任せている、しかし、相続税・贈与税を考えると、やはり贈与ではすべてを長男に移すことはできない、贈与税が非常に多額になるのでやはり相続で移すというようなことを考えているという場合です。

 

この場合は、通常は遺言書だけというケースが多いです。ただし、遺言書の場合は前述のとおり、後で書き換えられるというリスクがあります。そこで、信託契約というものが考えられるのです。信じて託すわけですね。

 

例えば、お父さんと長男で信託契約を結びます。具体的には、不動産の主要なものはすべて長男に信託をするのです。そして、お父さんが亡くなられたら、長男にその不動産が移転するというような信託契約になります。

 

これは正に遺言書と同じことなのですが、信託契約を結ぶと、受託者には当然その財産に対して分別管理義務が生じます。

 

つまり、お父さんから信じて託された不動産の名義を受託者の長男に変更するということです。不動産の名義が長男の名義に変わるわけです。

 

信託契約の中では、「お父さんが亡くなったら不動産は長男に受益権を移転する」という契約になります。

 

そういった信託契約がなされると、不動産についてはすでに信託されて、信託契約によって形式上の所有権も長男に、またお父さんが亡くなったらその受益権も長男に移転するということになっています。

 

 

もし遺言書の書き換えがあったら?

 

仮に遺言書がその後に書かれたとしても、例えば、後で遺言書で「この不動産を長男から次男に」というような書き換えが、仮に自筆証書遺言で行われたとしても、信託契約が有効です。

 

また仮に、公証人役場で公正証書でそのような遺言書を書こうと次男が試みたとしても、その不動産の謄本を取り寄せて公証人がチェックするので、そのような遺言書が作成される可能性もなくなります。

 

スポンサーリンク

 

 

よって、遺言書だけではやはり書き直されてしまいますので、主要な物件や不動産、お金については、信託契約を使うというのがこれからは当たり前になってくるはずです。

 

ただ、信託契約が非常に重要なのですが、信託契約ばかりではすべてを網羅することはできません。なので、それ以外の財産については誰に相続させるとか、そういった遺言書は必要です。

 

ということで、遺言書プラス信託契約で財産を保全する、お父さんの願いどおりに財産を移転する、ということが必要になります。

 

 

家族信託(民事信託)を相続財産に活用!

 

遺言の場合は、相続させた財産はその人で終わりです。遺言書ですと、例えばお父さんが「長男に○○の財産を残す」ということでしたら、そこまでしか遺言書では拘束できません。

 

例えば、長男は結婚しているけれど子供がない、お父さんは長男をとても信頼していて、長男にほとんど財産を残そうかなと思っていたというケースです。

 

このケースの場合、子供がいないので、長男が亡くなったら、その財産は長男から奥さんに移転します。そして長男の奥さんが亡くなった場合には、通常は奥さんの親、兄弟姉妹、実家の方に財産が移転してしまいます。

 

こういうことは、通常は長男もお父さんも、長男の奥さんも、ほとんど想定されていないケースがほとんどです。こういうケースの場合に家族信託(民事信託)を使うと、その次の次まで拘束することが可能になります。

 

 

家族信託(民事信託)を使うと?

 

例えば、お父さんがその財産を長男に信じて託します。その時に長男が亡くなったら、次の受託者も決めておくわけです。

 

まず長男がお父さんが亡くなった時の財産を引き継ぎます。そして、今度長男が亡くなった時には、長男がお父さんから引き継いだ財産を次男の長男(長男の甥)に引き継がせます。こうした契約も可能です。

 

こうした契約をすることによって、遺言では人に相続させた財産を次の相続までは拘束できないのですが、信託を使うと、次の相続まで願いを伝えることができます。

 

つまり、これは○○家の財産ですから、○○家の長男が引き継いで、その後長男が亡くなったら次は次男の長男(長男の甥)に引き継がせる、というような契約をお父さんがすることができるのです。

 

ということで、家の財産をどのようにしていくのかということについて、上記のような形の信託契約が特に注目されています。

 

スポンサーリンク

 

関連記事(一部広告含む)