遺言書の書き方|相続財産の特定と記載漏れに注意!

 

 

遺言書書き方

相続財産の特定と記載漏れに注意!

 

 

遺言書の中の文章はできるだけ明確にします。よくある遺言者が書く文章に「私の全財産を妻に相続させる」というものがあります。これでももちろん遺言として成立はします。

 

ただ、“全財産”と書かれても、必ずしも奥さんが旦那さんの全財産を知っているわけではありませんよね。なので、これは“全財産”というようなざっくりとした書き方ではなくて、具体的に書くようにします。

 

例えば、預貯金であれば、○○銀行に口座があるということでいくつか書くとか、預貯金以外にもここには金融資産があるとか、土地はこことここにあるとか、そういうふうに具体的に中身を明らかにします。

 

そうしないと、“全財産”と書かれても、全財産を調べるという手間暇がかかってしまうからです。そして、その時に全部調べられるかということもあります。調べて出てくるものもあれば、調べても出てこないものもありますからね。

 

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ということで、そういった手間を省くためにも、あまりにもざっくりした書き方は避けて、できるだけ明細に詳細を書くということが非常に重要になります。

 

“全財産を”という書き方よりも、全財産の内容をしっかり一つ一つ洗い出して財産の一覧表のような形で書いておく方が、後に残された家族も楽になります。

 

 

遺言書で財産を特定するとは?

 

遺言書では、できるだけその財産を特定させなければなりません。特定というのは、これだというように誰が見てもわかるように書くということです。

 

例えば、あいまいに書いてしまって、土地を誰かに相続させる場合にしても「うちのこの土地を〜」とか「前の土地」とか「向こうの山の方は○○に相続させる」とか、そういった人間の感覚的なもの、身内で通用する程度の表現をしてしまうと、「その土地」と言っても、もしかしたら細かく分かれているかもしれませんし、どこの部分までを指しているのかはっきりしないということがあります。

 

ですから、土地を渡すにしても、具体的に登記事項証明書、登記簿に書いてあるような情報で「この土地とこの土地」というように、正確に地番などを決めれば、どの土地をあげるのかがはっきりします。

 

また、お金についても、○○銀行○○支店の預金というように書けば明確になります。

 

というように、誰が見てももうこれしかないというような書き方をします。あいまいな書き方をするとそこでトラブルが発生しがちになりますから、財産を特定するという点には注意して下さい。

 

 

遺言書には財産の記載漏れがないように!

 

遺言書を作成する時には、財産の記載漏れをしないようにします。通常、遺言を書く場合には、家や土地、お金など、色々な内容を書くわけですが、その時にうっかり書き漏れがあったとします。

 

例えば、預貯金であれば、A銀行のものを書いて、B銀行のものを書いて、それで通帳は全部終わりかと思ったら、実はうっかり忘れていた昔の通帳(C銀行)が出てきて、その通帳の中に結構なお金があったような場合です。

 

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このような場合に、もしA銀行とB銀行しか遺言書の中に書いてないとすると、C銀行のものは載っていないので、誰がもらうかということが決まっていないということになります。

 

そうすると、これについては改めてまた相続人みんなで集まって、このC銀行のお金は誰がもらうのかということを決めなければならなくなります。

 

つまり、本来は遺言書を作成してしっかりきれいに分配されているはずが、実は書き漏れがあったために、相続人みんなで集まって話し合いをしなければならないということになってしまうのです。これでは二度手間ですよね。

 

こうしたことはついうっかりということになるかと思いますが、通帳の記載漏れというような財産の記載漏れがないように、しっかり洗い出しをするようにして下さい。

 

 

遺言書の相続財産の書き方は?

 

遺言を書く際には、できるだけ列挙して書くようにします。例えば、もし相続財産として株と債券しか持っていないとします。その場合は、「株式は○○に」とか「国債は○○に」のように書く書き方もあります。

 

ですが、意外にその2つだけではなくて、ひょっとしたら金(ゴールド)やその他の金融資産を持っているかもしれません。

 

そうすると、遺言書にそれが書かれていないと、それは誰がもらうのかはっきりしないということになってしまいます。すると、後でまた相続人間で協議しなければならなくなってしまいます。

 

ですから、もし株と債券しか持っていなくても、より具体的に列挙して書いておくようにします。

 

預貯金などのお金も、預金と現金を分けて書くようにします。実際、お金がタンスの中から出てくるかもしれませんからね。そのように書いておけば、もし問題があったとしても、漏れがなくなります。

 

 

遺言書には具体的な金額まで書くの?

 

遺言書を作成する際には、例えば預金の金額を書く必要はありません。これは実はよくある質問です。「遺言書は作りたいのだけれど、金額はどう書いていいのかわからない」という質問です。

 

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当然ですが、亡くなる時にいくらあるのかというのは誰にも分りません。

 

たとえ今現時点で2,000万円あったとしても、施設などに入ったりして最後はほんのわずかしか残っていないということだってあり得るわけです。なので、遺言書には金額まで書く必要はないということです。

 

ただし、例えば、遺言書で相続人でない人に「○○に100万円をあげる」と書くような場合は、金額があった方が明確でよいと思います。

 

 

手が震える場合でも遺言書は作成できるの?

 

遺言を書く場合には、基本的には自筆証書遺言と公正証書遺言の2種類の方式から選択することになります。

 

このうち、自筆証書遺言というのは非常にトラブルが多いです。ただ、この自筆証書遺言で遺言書を作成する場合には、全文を手書きで書かなければいけないという条件があります。

 

つまり、何行かの文章を全文自分の手でしっかり書く必要があるのです。

 

そうすると、特に高齢の方の場合、病気や何かで手が震える、あるいは真っ直ぐに字が書けない、そういったことがままあります。この場合、自筆証書遺言というのは事実上書けないということになります。

 

実際に読めない遺言書しか書けないことになってしまうからです。

 

ですから、この場合は公正証書遺言にするしかありません。公正証書遺言なら自筆で書く必要はありませんからね。自分の書きたい内容を伝えれば、すべて公証人が書いてくれます。最後に自分の名前を書いて実印を押すくらいです。

 

これは公正証書遺言のメリットでもあります。

 

ということで、何とか名前くらいは書けるという場合でも、公正証書遺言ならしっかりした内容の遺言書が作成できます。手が震えるという方は結構いらっしゃいますので、そのような方には公正証書遺言をおすすめします。

 

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