自筆証書遺言の無効訴訟と判例|遺言書は検認で無効になるの?

 

 

自筆証書遺言無効訴訟と判例

遺言書は検認で無効になるの?

 

 

最近、遺言書を書かれる方が段々増えていますが、そもそも遺言書には大きく分けると手書きの「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つがあります。これらのうち、専門家の立場から言うと、やはり公正証書遺言できちんと作成することをおすすめしています。

 

その理由は、自筆証書遺言と公正証書遺言を比較した場合、公正証書遺言の方が非常に安心だからです。また、メリットもたくさんあるからです。

 

 

公正証書遺言のメリットとは?

 

公正証書遺言の最大のメリットとして、せっかくかいた遺言書が無効になるリスクが少ないことがあげられます。これはどういうことかというと、・・・

 

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遺言書を書く場合、民法という法律によって色々なルールが決められています。例えば、手書きで書く際には、すべて自分の手で書かなければいけませんとか、日付を書いて下さいとか、名前を書いてハンコを押して下さいとか、色々です。

 

また、夫婦など複数の人が1通にまとめた遺言書だと、どれだけきちんと書いてあっても無効になりますとか、そういった細かいルールが決められています。

 

そして、このルールのうちたった1つでも守られていないと、他がどれだけ完璧であっても、例えば、日付だけ抜けていてそれ以外は完璧でも、全体が無効になってしまうのです。

 

自筆証書遺言には、こうした無効リスクがあるのです。つまり、せっかく書いた遺言書が全く役に立たないのです。

 

 

自筆証書遺言より公正証書遺言が安心です!

 

自筆証書遺言の場合は、普通の人が本屋さんに行って、本で自分で調べながら書いたというものですから、どうしてもこうしたリスクがつきまといます。なので、できれば公正証書遺言でしっかり作成することをおすすめます。

 

よく自筆証書遺言を書いたものを持ってご相談に来られるのですが、その際にも、不備や不適切、不十分な部分がたくさん見つかります。その点、公正証書遺言でしたら、公証人という元裁判官や元検察官の方が文章を考えて書いてくれます。

 

ですから、それでもし何か相続人から相続が発生した時にクレームがあったとしても、たとえ訴訟になったとしても、遺言書が無効になるという可能性は限りなく低くなりますので安心です。

 

 

自筆証書遺言が無効になる判例とは?

 

自筆証書遺言の要件の1つに“全文自書”というものがあります。これは読んで字の如く、初めから終わりまで署名も含めて自分で書くということです。なので、ワープロやコピーは無効の典型例です。

 

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では、もし病気などで上手く字の書けない人を介助した場合はどうなるのでしょうか?

 

この場合、無効訴訟の判例では、そもそも本人は字を書けること、介助が単なる書き始め・改行などの添え手であること、介助者の意図が含まれないこと、これらを条件に解除された遺言も有効であるとしています。

 

しかしながら、視力の劣る人を過度に介助することで、本人の文字と完全に異なる筆跡になっているような場合には、介助者の運筆・誘導がなされているとして無効とされています。

 

 

自筆証書遺言が無効になる判例

日付について・・・

 

日付は遺言の撤回に非常に大きな意味を持ちます。というのは、後に書かれた遺言書が有効になるからです。この意味からすると、「自分の80回目の誕生日」や「夫婦の50回目の結婚記念日」などは認められます。これは、日付が特定できるからです。

 

反対に、「1月吉日」のようなものは、日付が特定できませんので無効となります。

 

 

遺言書が検認で無効になることがあるの?

 

自筆証書遺言というのは、見つかった時に封筒に入って封がされた状態で出てきた場合には、検認によって開けなければならないことになっています。つまり、勝手に開けてはいけない、検認をしなければいけないということです。

 

ただし、検認をしたからといって、遺言書が有効になるわけではありません。

 

検認というのは、あくまでも「そこにそういった遺言書がありますよ」という程度の確認にすぎないからです。ですから、検認ができたからといって、その遺言書が手続きに問題なく使えるというお墨付きがもらえたわけではないのです。

 

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また、検認のその場で、その遺言書の有効・無効が判断されるわけでもありません。遺言書を作成する際には、こうしたことも知ったうえで、無効リスクのある自筆証書遺言にするのか、あるいはそういったリスクの少ない公正証書遺言にするのかを検討してみて下さい。

 

 

自筆証書遺言に封印がないと無効?

 

遺言書というと、封筒に入っていて封が閉じてあって、表に「遺言書」と書いてあるようなものをイメージされるかもしれません。

 

もちろん、そういった状態のものでも構いません。ですが、遺言書の成立の要件として、封筒に入ってないといけないとか、封が閉じてないといけないとか、そういったところは特に要件にはなっていません。

 

なので、例えば、封筒に入っていない状態の遺言書であっても、あるいは封筒に入っていても封が閉じていない状態の遺言書であっても、これは特にそれをもって無効になるということはありません。

 

つまり、封印がない遺言書であっても、それ以外の要件に問題がなければ有効となります。

 

ここで注意していただきたいのは、相続が発生した時、見つけた遺言書の封が閉じてあった場合には、勝手に開けてはいけないということです。その場合には、家庭裁判所の検認という手続きによって、ここで初めて開けてよいということになっています。

 

なお、開けてしまったからといってその遺言書が無効になるわけではありませんが、こうしたことも知っておくとよいと思います。

 

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