遺産相続遺留分とは|計算方法と遺言書・法定相続分の効力!

 

 

遺産相続遺留分とは?計算方法と

遺言書・法定相続分の効力!

 

 

前回は、被相続人(亡くなっていく人)の伝家の宝刀ともいえる遺言書についてのお話でしたが、ここからは逆にもらう側(相続人)の伝家の宝刀の1つである遺留分についてのお話です。

 

これまでのお話では、財産の配分方法には法律で定められた決まりがあるということでした。ただ、その決まりというのは、あくまでも誰も何の取り決めしていない時に、誰かが亡くなってしまった場合には、それを1つの考え方の基準として下さいというものにすぎません。

 

要するに、「何もルールが決まっていないのならこうしたらどうですか?」という単に法律が取り決めている配分方法なのです。

 

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遺産相続の遺留分とは?

遺言書・法定相続分の効力は?

 

例えば、夫婦2人に子供3人の5人家族で、夫が亡くなった場合、相続人は妻と子供3人です。法律で定められた配分(法定相続)であれば、妻が2分の1、子供全員で2分の1です。

 

子供は3人いますから、この2分の1をさらに3等分することになりますので、6分の1(1/2÷3)ずつということになります。これが法定相続分です。

 

一方、遺言書というのは亡くなる人の伝家の宝刀であり、誰か一人にすべてをあげるとか、自分の財産をどのように配分していくのかを自分で決められる手続きでした。これに対して、遺留分というのは、もらう側の伝家の宝刀になります。遺留分という考え方は・・・

 

例えば、父親が亡くなる時に「すべての財産を長男にあげる」という遺言書を残して死んでいったとします。

 

そうすると、その遺言書自体の効力は法律上有効です。ですから、父親がそのように遺言書を書いて亡くなっていった以上、長男は全部自分の財産ですと主張することができます。

 

 

遺産相続の遺留分の考え方とは?

 

ところが、そうなると本来もらえるはずだった人の権利を侵害していることになります。

 

例えば、妻(母親)から見れば2分の1はもらえたはずですし、他の子供2人から見ても6分の1ずつはもらえたはずです。それなのに、遺言書によって長男に全部あげるということになると、残された3人はもらい損ねてしまうということになります。

 

もちろん、「それでもいいよ」ということで、家族間で解決できればそれはそれでありです。ですが、もらえなかった人たちが「それは納得いかない」という思いがある場合には、それを法律上主張することもできます。これが遺留分の考え方になります。

 

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なぜ遺産相続で遺留分が認められているの?

 

遺留分というのは、わかりやすく簡単に言うと、相続人に法律が保障した遺産の最低取り分ということができます。法律がその取り分を守っているのです。

 

つまり、遺留分という権利が各相続人にはありますよと、それは主張すれば当然のことながらもらえますよと、法律が遺留分という最低限もらえる相続財産を保障しているのです。

 

これは、先ほどの例で言えば、父親が全財産を作るために、妻(母親)は何も貢献しなかったのか、あるいは残り2人の子供は何の貢献もしなかったのか、ということを考えた場合には、決してそうではないからです。

 

夫が財産を作れたのは、いわゆる内助の功と言われる妻の影響力が多大であったはずです。

 

あるいは3人の子供の背中を見て、何とか一人前にしなければいけないと、疲れて帰ってきてもまた翌日がんばる、また翌日がんばる、ということを続けた結果財産が作れたとも言えます。

 

このように考えると、3人の子供は父親が財産を作れたことに貢献していることになります。

 

つまり、何か手伝っているというわけではありませんが、お父さんがより頑張るために、子供としていてくれただけで頑張ろうという気持ちにさせてくれたという意味で、精神的な貢献があるという考え方です。

 

ですから、父親が仮に全財産を長男にあげると遺言書を残して亡くなっていったとしても、残された配偶者や子供たちには、その最低取り分を主張する権利を法律が認めているということなのです。これが遺留分です。

 

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具体的な遺留分の計算方法とは?

 

前述のケースの場合、法定相続分は妻(母親)が2分の1、3人の子供たちにそれぞれ6分の1ずつということでした。遺留分というのは、この1人当たりの法定相続分の“半分”は最低限主張できるというものです。

 

ですから、たとえ父親が長男に全財産をあげると遺言書を残して死んでいったとしても、次男、三男は自分の法定相続分の半分、つまり、12分の1(1/6÷2)を遺留分として主張することができます。

 

妻(母親)も同様に、法定相続分である2分の1の半分、つまり4分の1(1/2÷2)を遺留分として主張することができます。

 

例えば、亡くなった父親の全財産が1億円あったとすると、次男は長男に対して、「この1億円のうちの12分の1は私がいただけるはずの相続分ですよ」と主張できるのです。これが遺留分の具体的な権利になります。

 

もちろん、それでいいということで争いがなければ、遺言書どおりに相続しても構いません。あくまでも遺言書に不満が出るケースの場合に、遺留分という最低保障の権利があることを法律は認めているということです。

 

ということで、遺産を本来もらえるはずの人が、「私のもらえるはずの財産を侵害していますよ、ですからその分は私に配当して下さいね」という権利が遺留分ということになります。

 

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