外国為替市場とは|投機と実需|政策金利と変動為替相場制

 

 

外国為替市場とは?投機と実需

政策金利と変動為替相場制..

 

 

まず各国の中央銀行は、経済の状況や為替レートなどを総合的に勘案しながら、政策金利を決定するわけです。日本でしたら、日本銀行がその役割を担っているわけです。ちなみに、政策金利とは、国の基準金利のことです。

 

そして、こうして決定された基準金利をもとに、金融市場を通じて、預金や住宅ローンの貸出金利など、様々な金利が決定されていくのです。

 

このような金融市場ですが、旧ソ連邦とか中国などの社会主義・共産主義国では、そういったマーケット自体がありませんでした。

 

というのも、国が決めた価格のみが全てでありましたから、マーケット自体、必要なかったのです。とはいえ、こうした国々も、最近はどんどん経済の資本主義化を推し進めていて、マーケットの機能を使う体制に移行しつつあります。

 

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外国為替市場とはどのように動くの?

 

これらを鑑みても、現在ではマーケットが、経済活動にとってなくてはならないものであることがわかりますよね。ところで、過去はどうだったと思いますか?

 

過去の外国為替市場を振り返ってみると、第二次世界大戦後に圧倒的な経済力を持った米国が、自国の保有する金(ゴールド)を裏付けにして、各国の通貨と米ドルとの交換レートを固定していたんですよね。

 

いわゆる金本位の固定相場制ですね。なので、この当時は、外国為替レートの変動はまったく気にする必要もなかったのです。

 

ところが、1971年に米ドルと各国通貨との交換相場が維持できなくなってしまったのです。それにより、この時点から先進国の通貨を中心に、外国為替レートは日々変動するようになったわけなんです。

 

 

固定相場制と変動相場制はどう違うの?

 

前述したように、固定相場制というのは、外国為替レートが固定されているシステムのことを言うのです。一方、変動相場制というのは、市場のメカニズムによって外国為替レートが変動していくシステムのことを言うのです。

 

変動相場制は、米国や日本など先進国の多くで採用されているシステムですが、今でも固定相場制を採用している国はあるんですよ。変動相場制ですと、価格はマーケットでの完全に自由なオークションにより決定されます。

 

これに対して、固定相場制ですと、1米ドル=現地通貨●●というように、交換レートが決まっているのです。

 

なので、固定相場ですと経済状況などを反映することはないわけです。それはつまり、中央銀行などがその決めた価格になるように、相場を維持するよう操作し続けなければならないということなのです。

 

とはいえ、現実的には、固定相場制を採用している国というのもそんなにはありません。

 

あの中国でさえ、管理変動相場制を採用していて、一定の値幅で変動することを許容しているくらいですから。経済がこれだけグローバル化している現在においては、むしろ変動相場制からまったく無縁であることの方が難しいのではないでしょうか。

 

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現代社会は、世界の端々までモノやサービスが流通しているわけで、外国為替レートの変動は私たちの生活にも直結して、大きな影響を及ぼしています。実際、日本でも多くの食料や原材料を、海外からの輸入に頼っていますよね。

 

最近ですと、原発事故によるエネルギー不足で、天然ガスなどのエネルギーをそれまで以上に輸入することとなりました。この天然ガスを買うための資金は日本円ですが、天然ガスで生計を立てている人々にとっては、現地のお金で受け取れなくては意味がありません。

 

そこで通貨の交換が行われるのです。ただ、こうした貿易には信用できる通貨で価格を表示する必要がありますよね。こうした事情もあって、ずっと米ドルが基軸通貨として通貨交換における中心的な役割を担ってきたという側面があるのです。

 

 

外国為替市場で実需と投機ではどちらが強いの?

 

意外に思われるかもしれませんが、基本的に外国為替のマーケットには規制がありません。つまり、いつでもどこでも、保有している通貨を誰がいくらで交換してもよいことになっているのです。

 

こうした事情もあって、正確にマーケットの規模を見積もるのは困難とも言えるのですが、国際決済銀行(BIS)の2004年の調査によれば、1日当たりの取引高で約200兆円の市場規模だそうです。

 

この規模がどれくらいかですが、東京証券取引所第一部(東証一部)に置き換えますと、2004年まではおよそ年間取引高が200兆円でしたから、1日で1年分の取引が行われていることになります。さらに、この規模は年々さらに大きくなっていると言われています。

 

さて、外国為替市場について色々と学んでいると、「実需」という言葉をよく目にすると思います。この実需というのは、自動車を輸出したり、コーヒー豆を輸入したりといった貿易を決済する取引のことを言います。

 

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テレビのニュースなどで、「為替レートが円安に向かったことから、企業の採算がよくなった」などという場合がそれですね。これは、海外で販売した製品の代金は外貨で保有しているはずですから、その外貨資産に為替差損益が出ているということなのです。

 

 

実は、投機資金は必要不可欠だった?

 

とはいえ、現実の外国為替市場の動きというのは、それほど単純なものではありません。

 

これは、自動車産業について考えてみるとわかりやすいです。例えば、X自動車が米国での自動車販売の成績を大幅に上昇させたとしますよね。ところがその工場が日本にあったとしたらどうなるでしょうか?

 

働く人は日本で生活しているわけですから、その売り上げによって得た外貨は日本円に交換しないと給料として受け取れませんよね。

 

この外国為替取引を、もしも実需のみの資金で行ったらどうなると思いますか?それだけで大幅に米ドルが売られるわけですから、急速に円高が進んでしまうことになります。

 

しかもこのような実需は、単にX自動車に限らず、Y鉄鋼やZ機械にもなるはずですから、その量は膨大なものとなるはずです。

 

ここで必要になるのが投機資金なんです。つまり、投機資金がないと、マーケットは安定的に運営していけないということなんです。投機資金というのは、為替差益を狙って動く性質のものです。

 

なので、実際にこの巨大なマーケットを動かしているのは、こうした投機資金の動きなわけで、決して貿易による資金ではないのです。

 

ちょっと大げさな言い方かもしれませんが、こうした投機資金が存在しているおかげで、常に安定した価格形成が行われているといっても過言ではないのです。

 

現在は、経済のグローバル化が進んだこともあり、より資金が世界中を駆け巡っていますよね。そこにはより多くの投機資金が参入しているわけです。また、外国為替市場では、誰でも自由に通貨の交換ができますから、物理的な場所はどこか一つに限られません。

 

なので、市場は複雑な網の目のような深くて大きな市場になっているのです。インターネットなどの発達もあり、それが個々の端末につながっている時代でもありますからね。

 

外国為替取引の中心になって巨大な資金を先導しているのは、銀行間でのマーケットであるインターバンク市場でもあるわけですが、これが外国為替相場のベンチマークとして機能しているということは知っておくとよいと思います。

 

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