NISA(ニーサ)口座の開設と変更!
NISA(ニーサ)口座とは?
あなたは、NISA(ニーサ)という言葉は聞いたことがあるでしょうか?最近は、大々的にCMを流していたり、新聞や雑誌などでも広告を出したりしていますので、目にしたことのある人も多いと思います。
NISA(ニーサ)とは、投資のための新たな税制優遇制度です。文字通り、税金が優遇される制度ということです。NISA(ニーサ)は、平成26年1月からスタートしたのですが、開始前から多くの銀行や証券会社で大々的に宣伝が行われました。
NISA(ニーサ)は、日本版ISA(アイサ)とも言われていて、イギリスのISAを参考にして作られた制度になっています。このイギリスのISAに日本の頭文字「N」を付けてNISA(ニーサ)となったのです。
NISA(ニーサ)口座のメリットとは?
NISA(ニーサ)のメリットは、毎年100万円(2016年からは120万円)までの非課税投資枠がもらえるということに尽きます。
投資金額100万円(120万円)分までの投資信託や株式投資にかかる配当金(分配金)や値上がり益が非課税、すなわち税金がかからないことになっています。
この非課税というのは、100万円(120万円)が戻ってくるという意味ではなくて、あくまでも100万円(120万円)まで投資した、投資信託や株式投資にかかる配当金(分配金)や値上がり益に対して非課税になるというだけです。
ですから、100万円(120万円)を超えた部分に対しては、通常通り約20%の税金がかかります。
NISA(ニーサ)口座はどれくらいお得なの?
以前はどうだったのかというと、毎年100万円(120万円)までの非課税枠の制度はありませんから、配当金(分配金)や値上がり益に対しては20%の税金がかかっていたのかというと、実はそうではありませんでした。
従来は証券優遇税制という制度があって、これによって、本来であれば20%の税金がかかるのですが、一律マイナス10%の優遇を受けることができました。なので、実質10%の税金しか払わなくてよいことになっていたのです。
この一律マイナス10%の証券優遇税制と100万円(120万円)まで非課税のNISA(ニーサ)では、どちらがお得なのでしょうか?
まずNISA(ニーサ)の制度が利用できるのは、20歳以上の国内居住者で一人一口座です。
非課税対象となるのは、上場株式や投資信託の配当金・値上がり益で、非課税投資枠は、毎年新規投資で100万円(120万円)まで、また、投資可能期間は10年間(平成26年〜平成35年)とされています。
また、非課税期間は投資した年から最長で5年間ですが、途中売却は自由とされています。ただし、売却部分の非課税枠は再利用ができないことになっています。
非課税期間の最長5年間とは?
非課税枠5年後のおすすめ選択とは?
非課税期間は投資した年から最長で5年間というのは、例えば、株を購入した場合、NISA(ニーサ)の非課税枠を使うためには、5年以内に反対売買、すなわち売却をしないとこの非課税の恩恵を受けることができないということです。
この場合、途中での売却は自由なのですが、非課税枠を使ったと見なされますので、再利用はできないことになっています。
例えば、投資信託を100万円分購入し、その1ヵ月後、その投資信託が値上がりしたので売却して10万円の利益が出たとします。この場合、20%の税金が非課税なので、2万円(10万円×20%)が税制優遇を受けたことになります。
本来なら2万円の税金を納めないといけないところなのですが、これを払わずに済んだということです。上記の例では、すでに100万円分購入して、その後売却しています。
非課税投資額は100万円が上限です。ということは、その年の非課税枠は、これで使い切ったということになるのです。つまり、100万円分購入してそれを売却した後、さらにもう一度100万円分購入することはできないということです。再利用は不可ということなのです。
5年以内に売却しなかったらどうなるの?
NISA(ニーサ)口座を利用して株式などを買ったけれど、それを5年以内に売却しなかった場合には2つの選択肢があります。
1つは、一般口座(課税口座)に移すことができます。例えば、平成26年に100万円を投資したとします。その後、5年間は非課税期間となります。この間に売却すればいいのですが、それを行わなかった場合には、一般口座(課税口座)に移行することができます。
もう1つは、新たな非課税投資枠に移すことができます。
具体的には、平成26年に100万円を投資したのなら、6年目の平成31年度の非課税投資枠に、100万円を上限に移行することができます。なので、実質的には最長で10年間非課税の恩恵を受けることができるということです。
ただし、一般口座(課税口座)に移行する方法を選択した場合には注意が必要です。
例えば、一般口座(課税口座)に移行する時の価格が、100万円で購入したものが200万円に上昇していたようなケースです。この場合、税金計算上の取得価格は200万円になります。
つまり、初めは100万円で購入しているのですが、それを一般口座(課税口座)に移行するタイミングで、200万円で購入したものとして計算することができるのです。
では、この後、さらに価格が上昇して300万円まで価格が上昇して売却した場合はどうなるのでしょうか?
本来なら100万円で購入したものが300万円まで増えたのですから、増えた200万円分(300万円−100万円)に40万円(200万円×20%)の課税がされるはずです。
ところが、NISA(ニーサ)口座を利用すると、一般口座(課税口座)に移行するタイミングの価格200万円が税金計算上の取得価格になりますから、その後300万円まで価格が上昇したところで売却をした場合には、増えた100万円分(300万円−200万円)に20万円(100万円×20%)が課税されることになるのです。
反対に価格が下がった場合はどうなるの?
非課税枠5年後の注意点とは?
例えば、一般口座(課税口座)に移行する時の価格が、100万円で購入したものが50万円に下がっていて、一般口座(課税口座)に移行した後、価格が100万円に戻ったところで売却したようなケースです。
この場合も、税金計算上の取得価格は、一般口座(課税口座)に移行するタイミングの価格になります。
なので、50万円が税金計算上の取得価格になります。ということは、50万円で購入したものが100万円まで上昇したことになりますから、50万円が100万円まで増えたのでその増加分50万円に課税がなされます。
つまり、10万円(50万円×20%)の税金を支払わなければいけないことになります。
価格が下がって元に戻っただけなのに、税金を取られてしまうのです。プラスマイナスゼロだと思っていたら、実質的には10万円の税金を取られてしまい、マイナス10万円になってしまったということなのです。
NISA(ニーサ)口座から一般口座(課税口座)に移行するタイミングで、価格が下がってしまったというケースについては、特に注意が必要です。このようなケースの場合には、5年以内に売却した方がよいと言えます。
口座開設数一人一口座とは?
NISA(ニーサ)口座は変更できるの?
NISA(ニーサ)専用口座というのは、現在証券口座を持っている人や、銀行で投資信託を買っている人が、自動的に与えられる口座ではありません。自ら金融機関に申請をして初めて、NISA(ニーサ)専用口座がもらえるからです。
口座開設数一人一口座というのは、どこか一つの金融機関でNISA(ニーサ)専用口座を開設したら、それ以外の金融機関では口座を開設することができないということです。
ちなみに、以前は一旦NISA(ニーサ)専用口座を開設したら、その後金融機関の変更ができませんでしたが、2015年からは1年に1回だけ金融機関を選択し直すことができるようになりました。
以前は金融機関の変更が認められていませんでしたから、これを理由に金融機関は必死に宣伝していました。どこか1つの金融機関でNISA(ニーサ)専用口座を開設されたら、もう自分のところでは開設してもらえないわけですから必死になるのもわかります。
金融機関からするとお客様の取り合い、早い者勝ちですから、NISA(ニーサ)スタート当初はそれはもう大変な宣伝合戦だったのです。
NISA(ニーサ)口座開設のおすすめポイントは?
NISA(ニーサ)口座は、商品ラインナップの多い金融機関で開設することが非常に重要になってきます。
例えば、「A銀行でNISA(ニーサ)口座を開設したら、投資信託しか買えなかった…、B証券会社で口座開設していれば、投資したくだけではなく、株式もREIT(リート)もできたのに」とならないようにして下さい。
商品ラインナップが多ければ、選択肢が大きく変わってくるからです。ですから、どこの金融機関でNISA(ニーサ)口座を開設するのかというのは、非常に重要になります。
もう1つは、手数料の安さです。せっかく非課税のメリットがあっても、手数料が高かったら意味がないからです。なので、商品の選択肢が多いというのと、手数料が安いという2つのポイントに注意してNISA(ニーサ)口座を開設するようにして下さい。
NISA(ニーサ)口座のまとめ
NISA(ニーサ)は、短期売買には全く向いていません。
これは、非課税枠の再利用ができないため、短期売買を繰り返すとすぐに非課税枠を使い切ってしまうからです。例えば、20万円分の株式を買ってそれを売って、また20万円分の株式を買ってそれを売って…、というのを5回繰り返すだけで終わってしまうのです。
また、投資対象は上場株式と公募株式投資信託のみとなっていますので、債券や外国株式などは対象外となっています。公募株式投資信託というと、100%不動産のREIT(リート)などは対象外となるはずなのですが、REIT(リート)は大丈夫です。
さらに、実質増税されるということです。非課税投資枠は100万円(120万円)までですから、多くの投資家からすると、これまでの一律10%減税の証券優遇税制の方が圧倒的に魅力的だったと言えます。
ただ、まだ投資をしたことのない初心者の方で、10万円くらい投資してみようかなと考えている人にとってはメリットもありますので、これは人それぞれです。
以上をまとめると、これから投資をしようと考えている人は、NISA(ニーサ)を活用することをおすすめします。
ですが、NISA(ニーサ)があるから投資をしても失敗しないということは全くありませんので、そこは注意してください。NISA(ニーサ)というのは、あくまでも投資から生まれた利益に対して非課税の税制優遇があるというだけだからです。
投資をしても利益が生まれなければ、NISA(ニーサ)の税制優遇を受けることはできないのです。
なので、何でもかんでも投資をすればよいということではありません。NISA(ニーサ)を上手く活用する方法としては、安定運用型の投資信託等で長期運用を前提に考えることです。そうすれば、NISA(ニーサ)のメリットが最大限活かせるはずです。
もちろん、値上がり益だけが非課税になるのであれば関係ないのですが、NISA(ニーサ)には、配当金や分配金も非課税になるというメリットがあるからです。
配当金や分配金も非課税になるのですから、長期的に安定した運用ができる投資信託等で配当金を受け取りながら、最終的にはちょっとした値上がり益も目指していくというのが一番おすすめの活用方法になります。
最後に、テレビや新聞、雑誌などではNISA(ニーサ)がもてはやされていますが、くれぐれも「何かすごい制度だ!」と勘違いして飛びつかないように注意して下さい。
あくまでもNISA(ニーサ)という制度は、これまであった優遇税制がなくなる代わりに、形を少し変えて違う制度ができただけなのです。誰もがビックリするほど魅力的な内容では全くありませんので、そこは勘違いしないようにお願いします。