確定拠出年金を始めよう!その始め方とは?
確定拠出年金とは?
そもそも確定拠出年金とはどういったものなのでしょうか。「拠出」という言葉自体、あまり日常会話で使われているものではないので、そこからして何となく難しそうに感じてしまうかもしれません。
「拠出」の反対は「給付」ですが、実は、これまで確定拠出年金を打ち出すまでは、「給付」が当たり前だったのです。
つまり、確定“給付”年金というのは、将来年金や退職金がいくらもらえるのかということが当然だったのが、これからは確定“拠出”年金、すなわち自分がいくらずつ出していくのかという考え方に変わっていくのです。
色々と年金と名称のつくものがあって、企業が普通にかけている企業年金などもありますが、年金制度がある中で、拠出してかける(自分でお金を払う)ものが確定拠出年金なのです。
「いくら支払っていくのかというところが確定している」というところが従来とは違うところなのです。あくまでも年金ですから、老後に受け取れるお金を自分でかけられる制度ということです。
確定拠出年金はあまり知られていない?
およそ10年ほど前になりますが、確定拠出年金という仕組みがで出来た当初に、私がある銀行に確定拠出年金の加入手続きをしようと思って行ったら、窓口の行員が全く認識していなくて、改めて資料を準備してもらったということがありました。
確定拠出年金は導入はされたけれど、まだまだ認知度は低くて、ほとんど知られていないものだったのです。
ただ、今でも企業に確定拠出年金制度がありますかと聞いても、「どうだったかな?」というところから始まったりします。また、個人型確定拠出年金に関しては、そういう制度があって自分が入れるということを知っている人もまだまだ少ないのが現状です。
確定拠出年金の企業型と個人型の違いは?
確定拠出年金には、企業型と個人型があるのですが、2017年1月から新たに施行される確定拠出年金改正法は個人型の方になります。
昨年大きなニュースになったのもこの個人型確定拠出年金です。これまでは誰でも入れるわけではなかった個人型確定拠出年金に、公務員や専業主婦の人も入れるということで、入れる人の範囲が広がったことがニュースになったのです。
おそらく確定拠出年金自体の認知度が低いので、知っている人からすると「すごい!」となるはずなのですが、多くの人は他人ごとに感じたのではないかなと思います。
そもそも十数年前、個人型確定拠出年金が制度化された時には、勤務先に企業年金のないサラリーマンも入れる制度として登場したわけです。今回、この対象者がさらに広がったということです。
具体的には、これまでは、専業主婦や公務員の人は入れなかったのが、2017年1月以降は入れるようになりました。
それから、会社に企業型の基金などがあって、入りたくても入れなかった人が、これからは自分の意志で年金を積み立てることができるようになりました。
個人型確定拠出年金のメリットは?
個人型確定拠出年金のメリットは、所得控除が受けられることです。つまり、年金を積み立てていったお金、すなわち自分が出したお金はそこに残っているのに、その積み上げた金額全額が所得控除になるということです。
私たちは所得税を税金として納めていますが、その拠出したお金に対しては非課税になるということなのです。
所得からそのかけた金額を差し引いて税金の計算をしてくれるので、結果的に税金が安くなります。積立をすればするだけけ税金が安くなるということですから、これはすごくお得な制度だと言えます。
極端に言えば、自分でタンス預金をするとか、普通に預貯金に置いておいても、税金には影響ありませんが、貯めておく場所を変えるだけで節税ができるのです。
確定拠出年金の節税メリットとは?
自営業者なら限度額が月額68,000円までとされていますので、もし毎月68,000円満額まで確定拠出年金に拠出すると、年間816,000円かけることになります。その816,000円全額が所得控除になるということです。
なので、税率は所得に応じて変わりますが、もし所得税と住民税を合わせて税率が20%かかるとしたら、所得控除がなかったらその20%ですから、約16万円(816,000×20%)を税金で払うことになります。
つまり、確定拠出年金として自分のお金として貯めておきながら、その貯めたお金の額面全額が所得控除になり節税できるというメリットがあるのです。
資産運用で必ず20%とか10%の利益を出して自分の手元にお金を残していくというのは至難の業です。
まさにハイリスク・ハイリターンの世界です。ですが、この確定拠出年金の所得控除は、かけた金額が必ず全額控除されるのが確定していますから、これだけでも大きなメリットだと思います。
確定拠出年金のデメリットとは?
何でも上手い話はないわけですが、確定拠出年金にもデメリットというか注意点はあります。
それは、一旦預けたそのお金は、60歳以降にならないと自分の手元に戻ってこないということです。あくまでも確定拠出年金は「年金」ですからね。ですから、少し貯まったから車を買い換えようとか、旅行に行こうとか、そういうことはできません。
ただ、お金を引き出せないというのをメリットと考えることもできます。お金が下ろせれば使ってしまいますからね。ですから、お金を下ろせないというのも、ある程度自分への縛り、これも老後のためと覚悟ができていいのかなと思います。
確定拠出年金を運用している時のメリットは?
確定拠出年金を運用した時の運用益も非課税になります。少し前に、ニーサ(NISA)が大きなニュースになりましたが、ニーサ(NISA)は5年間という縛りがありました。
一方、確定拠出年金の場合は、これは年齢にもよりますが、例えば、30歳の人なら30年間運用し続けて利益が非課税なので、圧倒的にメリットが大きいといえます。
所得控除もあって利益も非課税になるわけですからね。しかも、確定拠出年金の場合は、将来60歳になってもらう時にも税金の優遇があるのです。
具体的には、退職所得控除で一時金でもらうか、年金でもらうのなら公的年金等控除が使えます。確定拠出年金を使わずに普通に自分で資産運用して、その運用益に対して税金を支払うのに比べたらかなりお得です。
つまり、確定拠出年金なら、3段階で節税のメリットを享受できるのです。公的に約束された秘密口座のようですが、そんなお得な制度が確定拠出年金なのです。国としては、それくらいしてもお金を動かしてもらいたいということなのです。
今回の法改正で枠が広がった人だけではなく、もともとこの制度が使えることを知らなかった人の方が多いはずですから、まずは興味を持っていただけたらと思います。
確定拠出年金の始め方は?
個人型確定拠出年金の場合、自営業者は月額68,000円、サラリーマンは月額23,000円が上限となっています。
ちなみに、サラリーマンの場合は入れない場合があるので注意して下さい。というのは、会社側が厚生年金をかけていて、さらに企業型確定拠出年金を導入している場合には、企業で手続きをすればいいので、個人でわざわざ手続きをする必要はありません。
ただし、企業型確定拠出年金だとしても、その企業型の中で運用先を何にするのか、単なる元本保証型の預金がいいのか、株式を国内にするのか海外にするのかなど、選ぶことができます。
この部分については、よくわからないので、何となく成り行きでやっているという人も少なくないようです。
企業型確定拠出年金であっても、自分で選んで自己責任で運用していく必要があるので、企業型だからお任せというのではなく、興味や関心を持っていくと面白いと思います。
結局、将来自分に跳ね返ってくることですし、自分のお金ですからね。
節税という観点では、特に積極的に運用しなくてもいいという考え方もありだと思います。そこにお金を入れるだけで所得控除の対象になりますから、この部分だけでも節税が10%〜20%できれば、かなりお得ですからね。
とはいえ、時間が20年とか30年あるのであれば、毎年2%とか3%と積み重ねていくだけでも、年数があればあるほどすごい差が出てきますからこれは大きいです。
まずはご自分の企業に企業型確定拠出年金があるかどうかを確認していただくところから始めてみて下さい。
今、ニーサ(NISA)などの話題性もあって、何か運用をしなくてはいけないのかなと思っている人も多いですが、それが苦痛だったり負担だったりするのなら、そんなに無理して運用しなくてもよいと思います。
確定拠出年金には、元本保証型の預金や保険がありますので、普通に預金している感覚で節税のメリットだけ受け取るというのでも十分だと思います。