「特定口座で源泉徴収あり」で
確定申告をする必要があるケース
次のようなケースで考えてみます。
■「特定口座で源泉徴収あり」で株式投資を行っている。
■昨年、株式投資で200万円の損失が出た。
■本年、株式投資で30万円の利益が出た。
■トータルでは170万円の損失だけれど、確定申告する必要はあるのか?
アドバイス
まず「特定口座で源泉徴収あり」なのでしたら、税金はすでに天引きされています。
ただし、損失が出ている場合には、確定申告をすれば損失を繰り越すことができます。損失を繰り越しておくと、翌年に利益が出た場合には合算できますので有利ですよね。
昨年の損失200万円と本年の利益30万円をどちらも申告しておくと、損失は170万円(200万円−30万円)となりますが、さらに翌年は、その分だけ利益を相殺することができますので節税になります。
とはいえ、利益が多く出ている年に確定申告をするのは若干注意も必要になります。それに合わせて社会保険等が高くなる可能性がありますからね。
FXの損失と株式の損失は
損益通算できるの?
次のようなケースで考えてみます。
■FXで損失が出たので損失繰越の確定申告をするつもりである。
■株式投資で配当金が税金徴収後に振り込まれた。
■配当金で徴収された税金は還付されるのか?
まず、FXの損失と株式の配当とは、損益通算できません。ですから、配当については、申告しない制度を利用するか、あるいは総合課税(配当控除を適用)、若しくは分離課税を選択することになります。
分離課税を選択した場合は、株式の譲渡益との損益通算できるわけですが、損益通算しないのであれば申告する意味はないかもしれませんね。
総合課税でしたら配当控除がありますが、こちらは一般に、課税される所得が330万円までの人でしたら、配当控除を受けた方が有利と言われています。
とはいえ、配当を申告するとなると、当然に所得が増えますから、国民健康保険など所得で判定されるものがある人でしたら注意した方がよいですね。
ちなみに、配当の場合は、国税庁の確定申告作成コーナーの配当所得の欄をクリックすると、入力画面が出てきますよ。
株の損とFXの利益は
損益通算できるの?
例えば、株で100万円の損失が出て、FXで100万円の利益が出た場合、税金を支払わなければいけないのでしょうか?
普通の人の感覚ですと、△100万円+100万円=0円ですから税金は支払いたくないと思うはずです。ですが、この場合、税金を支払わなければいけないのです。
なぜなら、FXの利益はFXの利益で集計し、株は株だけで利益あるいは損失を集計し、それぞれに税金がかかることになっているからです。つまり、FXと株の利益(損失)は合算してはいけないということです。
ですから、上記のケースでスト、FXの100万円についてはしっかり税金を支払い、株の損失100万円については、来年以降の利益と合算できるように繰越しの処理を確定申告ですることになります。
FXと株式の
損益通算はできません!
損益通算と言うのは、片方の損失ともう片方の利益を合算して計算できる制度です。例えば、Xという金融商品で100万円の利益が出ていて、Yという金融商品で100万円の損失が出ている場合には、これを差し引きすると0円になります。
つまり、もし損益通算ということができた場合には、税金が発生しないことになるわけです。
ただし、損益通算ができるかどうかについては一定の制限があります。まずFXの税金については、一定額以上の利益が出た場合には確定申告が必要になります。サラリーマンの場合は利益が20万円当たりが目安となります。
そして、FXで損失が出た年も確定申告をしておいた方がいいです。
FXとの損益通算が
できるものはあるの?
FXとの損益通算ができる金融商品としては、以下のものがあります。
■くりっく365などの取引所のFX
■店頭取引・相対取引・OTCのFX
店頭取引FXというのは、一般的に主流となっているFX業者のことです。要するにくりっく365などの取引所ではないFXが店頭取引FXになります。
■国内バイナリ−オプション
国内バイナリ−オプションは、日本国内で許可を受けているものです。
■CFD
CFDというのは、FXと似ている株価指数などを取引出来る金融商品です。
■商品先物
■日経225先物
以上はすべて損益通算が可能です。これらは1つのグループであると考えるとわかりやすいかもしれません。ですから、例えば、CFDと日経225先物しか取引していない場合でも、これらは損益通算ができるわけです。
一方、以下のものはFXと損益通算ができません。
■株の個別銘柄
企業の○○株というものです。
■外貨預金
■投資信託
このように、FXと株式は損益通算ができません。FXはFX、株は株で税金の計算をしなくてはいけないということになります。