昨年は損失を繰り越し、今年は儲かった場合の
配偶者控除は?
例えば、会社員の夫の扶養に入っている妻が、FXのみ収入があり、昨年は100万円の損失を出したため、確定申告をして損失を繰り越したけれど、今年は利益が50万円出たようなケースです。
このような場合、夫の配偶者控除はどうなるのでしょうか?
まず、配偶者控除や扶養控除などは「合計所得額」によって決まるんですよね。ちなみに、「合計所得金額」というのは、次のようなもののことをいいます。
『純損失、雑損失、居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失及び特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除を適用する前の総所得金額、特別控除前の分離課税の長(短)期譲渡所得の金額、株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、山林所得金額、退職所得金額の合計額』
上記のように、FXの損失を前年に申告していて翌年以降儲かった場合の金額は、先物取引に係る雑所得等の金額に該当します。
つまり、収入はFXのみで、前年に100万円の損失を繰り越していて、本年50万円の利益を申告すると、税金はかかりませんが、配偶者控除や扶養控除は受けられなくなります。
なので、配偶者控除や扶養控除を受けた方が得だと考える場合は、申告する金額を38万円までに抑えておく必要があります。残りの62万円(100万円−38万円)については、さらに翌年に繰り越すようにすればよいわけですからね。
また、合計所得が35万円を超えてしまうと、住民税均等割も生じてきますし、国民健康保険に加入している場合は、こちらの保険料にも影響を与えますので、こちらの方も考えて計算する必要がありますよね。
専業主婦がFXで損失を出しても
夫に知られないの?
例えば、次のようなケースで考えてみたいと思います。
■自営業の夫を持つ専業主婦である。
■夫に内緒でFXをやっていたが損失を出してしまった。
■翌年に損失の繰り越しをするため確定申告をする場合、自分の名義でできるのか?
■自営業の夫は何も添付する必要はないのか?
まず、FXの損失を繰り越すための確定申告についてですが、損失を出したのは妻の方ですし、妻の税金に関わるものですから、妻が申告しなければなりません。
その際、FXで損失を出してしまったという証拠が必要になりますが、これは、FX業者の年間取引報告書などを添付書類として提出すればOKです。
会社員のみで稼ぐのとFX専業で稼ぐのは
どちらが税金が多いの?
最近は、脱サラしてFX(外国為替証拠金取引)専業で生計を立てている人も少なくないようですね。
ただし、税金の面から考えますと、FX専業の方が税金は多くなるでしょうね。FXの必要経費を200万円以上計上できないと、会社員専業の方が税金が少なくなりますからね。
必要経費と200万円計上出来て、ほぼトントンなので。仮に必要経費が0円として計算しますと、30万円程度(200万円×15%)程度の差が出ることになりますね。
それから、国民健康保険料はおおよそ50万円程度が上限になっていますので、この金額と比較してみるとよいと思います。